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作風の模倣から新しい小説が生まれる!はじめてのパスティーシュ小説
「パスティーシュ(pastiche)」とは、フランス語で作風の模倣を表す言葉。先行する物語の登場人物や設定、文体などを模倣してまったく別の物語を生み出すことを指します。パロディやオマージュと似た二次創作の一種ですが、原作を下敷きにしながらも新しい感覚で読める小説として、その広がりが注目されています。ここでは、はじめてのパスティーシュ小説としてオススメの本をそろえました。
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著者は日本のパスティーシュの名手、清水義範。国語が苦手な受験生が、家庭教師から問題の解き方を教わる体裁を取る本書には、学校教育や受験国語への痛烈な風刺が込められています。表題作のほかにも、実在しない料理の説明や野球選手風の解説など、ユーモアにあふれたパスティーシュがたくさん収録されています。
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「シャーロック・ホームズ」シリーズには古今東西多くのパスティーシュが存在しますが、本書はホームズとワトソンを両方とも女性に、そして舞台をAI技術が台頭する現代にした意欲作。2012年、オリンピック開催に沸くロンドンで、難事件の解決に乗り出す2人。随所に登場する原作のモチーフも楽しい一冊です。
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田山花袋の『蒲団』のパスティーシュ『FUTON』でデビューした中島京子のパスティーシュ短編集。夏目漱石、森鴎外といった明治の文豪から日本の民話、アンデルセン童話、映画、戯曲など幅広いジャンルを取り上げています。巻末には下敷きにした原作の一覧もあるので、パスティーシュ小説から原作を読む楽しみも味わえます。
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ミステリー作家・有栖川有栖がアガサ・クリスティ『そして誰もいなくなった』を再解釈し、大胆な展開やトリックで生み出された短編を集めた一冊。表題作のほかにも、電車の車掌の制服を着たウサギがアリスのもとに現れ、線路の国での大冒険を描く「線路の国のアリス」など、多種多様な14のパスティーシュ小説が収録されています。
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