元記者の作家が描く、新聞記者が主人公のミステリー小説

「連続殺人犯と新聞記者の紙上公開討論による対決」という胸躍る設定を、期待通りに過不足なく、見事なミステリー小説へと仕上げた秀作です。さまざまなかたちで散りばめられた仕掛けや、その回収方法も絶妙で唸らされることでしょう。2022年にはドラマ化された、元朝日新聞記者だった著者のデビュー作です。

群馬県の地方紙で記者をしていたときに遭遇した日航機の墜落事故。その実体験をもとにした小説で、 横山秀夫の代表作の一つです。デスクに任命された主人公・悠木の目線で綴られる、事故取材の怒涛の日々。実際の現場にいた人間にしかわからない重みと熱量がひしひしと伝わってきます。ドラマ化、映画化もされた名作です。

誤報や虚報、フェイクニュースという、メディアが抱える問題を題材にした連作短編集。膨大な情報が飛び交う現代社会に生きる私たちに対して「正義とは何か？」という問題を提起してくる、読み応えのある一冊です。地方の新聞社での記者経験を活かしてデビューした塩田武士ならではの視点で、業界の深部を鋭く描いています。

担当するとなぜか大きな事件が起きる「事件持ち」の記者・永尾。連続殺人事件を捜査する警察と、それらを取材・報道するマスコミ。それぞれが矜持を持って犯人に迫っていきます。元記者の著者本人が「事件持ち」だったという、臨場感たっぷりで読み応えも抜群の一冊です。

長年にわたりスポーツ紙「サンケイスポーツ」に携わってきた経歴を持ち、スポーツやマスコミを題材にした作品が多いことでも知られる作家・本城雅人の代表作。誤報を出してしまった過去の事件と類似する「とある事件」を追う記者の姿がリアルに描かれ、新聞に携わる人々の仕事や価値観、生きざまにも触れている傑作です。