その謎は、少し切なくほろ苦い。学校が舞台の青春ミステリー小説

何事も「省エネ」主義の少年・折木奉太郎が、なりゆきで入部した古典部。そこで出会った仲間たちとともに、学校に潜む不思議な謎を解き明かしていく短編集です。個性的な登場人物たちのかけあいが楽しく、ミステリーの入門にもオススメ。タイトルの意味が浮かび上がったとき、ほろ苦くも忘れられない読後感に包まれることでしょう。

屋上から転落した少女が忽然と姿を消した「少女消失事件」の謎を追う長編ミステリー。高校という舞台を存分に活かした設定や張り巡らされた伏線が非常にうまく、繊細かつ多感な学生時代を描いた青春小説としても読み応え抜群の贅沢な一冊。怒涛の展開からのラストは、もう一度読み返したくなること必至の驚きが待ち受けています。

突然、時が止まった無人の校舎に閉じ込められた8人の高校生。脱出のカギを握るのは自殺した級友の存在ですが、それが誰なのか思い出せない。疑心暗鬼になるなかで、それぞれが抱える過去と向き合いながら自殺者を探します。真相を追いながら生徒たちの葛藤や悩み、閉塞感が丁寧に描かれる。青春×ミステリーの逸品です。

描きかけの絵を残して転落死した女子生徒。事故とされた死の真相を探るのは、同じ美術部で「変人」の男子。なぜ彼は熱心に彼女の死を追うのか？みずみずしい感情や人間模様が、透明感あふれる筆致で描かれます。すべての真実が明らかになったとき、前後半でぐるりと世界が一転するような構成が見事で、美しくも切なく心に迫ります。

密室になった教室で発見されたのは、同級生の死体と遺書。さらに、机と椅子がすべて消えていた。この謎に挑む皮肉屋な主人公をはじめ、登場人物たちはどこかクセがあって、若い感受性のまぶしさと青い痛みを持ち合わせているさまは、まさに青春小説。事件に隠された驚きの真相、鮮やかな伏線の回収とともに二転三転する怒涛の解決編から目が離せなくなるはずです。