生きていく上で力になる言葉と出会える、大江健三郎のオススメ本

30代のころに書かれた55編のエッセイを収録した一冊。終戦を10歳で迎えた著者が、被爆者や沖縄、戦争や憲法、自衛隊について考えてきたことや、戦後文学に関しての考察が収録されています。自分の言葉に強い責任感を持って紡がれた文章は、どのページを開いても読者に重く、深く残るものばかりです。

「なぜ学校に行かなければならないのか」「勉強のやり方」など、小学生の問に答える形で書かれた17の話が詰まっています。やさしい文体ながら、子どもにこそ伝えたい、考えてもらいたいことが真摯な言葉で綴られています。彩を添える挿画は、妻の大江ゆかりによるものです。

息子の大江光に向けて書かれた20の話が収録されています。大江光は障害を持っていて、現在は作曲家として活躍しています。小説では、大江健三郎が父親として逃げずに息子と向き合う姿が描かれてきました。著者がそこから得た「家族」や「生きること」のついての思いが綴られています。

作家の「僕」が、妻と障害を持つ子との生活や思い出を綴った短編小説集です。小説とはいえ、著者の心象風景が描かれていると感じることでしょう。難解な文章もありますが、何度も読むことで深く心に言葉が刻まれていく体験ができるはずです。

朝日新聞掲載のコラムをまとめたエッセイ集。大江健三郎が人生で出会った、忘れられないさまざまな言葉が登場します。著者が人生のいろいろな場面で出会った言葉を噛み砕き、出会い直し、自分のものにして生きていく。その大切さが伝わってきます。