伏線回収の快感がたまらないミステリー小説

IT企業の就活最終選考会に臨む大学生6人の心理戦が楽しめる一冊です。当初は全員で採用を目指しますが、途中でルールが大きく変わるところから物語が動き出します。意外な展開と緻密な構成が絶妙で、新事実によりキャラクターの見方が二転三転して、ハラハラさせられます。「伏線の狙撃手」の異名を持つ浅倉秋成の手腕が発揮された、物語の着地も見事です。

地下施設に閉じ込められた9人のうち、1人が犠牲になれば全員が助かり、そうでなければ全員が死ぬ状況で、殺人事件が起きます。タイムリミットの1週間のうち、犯人は見つかるのか？全員は助かるのか？2022年のミステリー界を席巻した話題作です。

死んだはずの恋人に瓜二つの女性が主人公の前に現われます。さらに、主人公は恩師の亡き妻とそっくりな女性が被害者となった密室殺人事件に遭遇。彼女たちはいったい何者なのか？時代を反映した伏線の配置と回収も見事な、特殊設定を生かしたミステリーです。

霊媒を名乗る女性・城塚翡翠が、推理作家・香月とともにその能力で複数の事件を解決していく姿を描きます。発売時の帯に書かれた「すべてが、伏線。」というキャッチコピーが話題となり、2022年にはテレビドラマ化もされた人気作。騙される快感を堪能できるシリーズの第1弾、傑作です。

猟奇連続殺人鬼・ハサミ男が次の犠牲者にと選んでいた少女が、模倣犯に殺害されているのを発見してしまいました。ハサミ男はその犯人を追うことになる、ひねった物語です。張り巡らされた巧妙な仕掛けに終盤の怒涛の伏線回収、真犯人が分かったうえでも再読したくなること請け合いの、ミステリーの歴史に残る名作です。