ブックキュレーターhonto編集員
天然痘、ペスト、新型コロナ・・・病気が映し出す人間社会の本質を知るための本
古代には天然痘、中世にはペスト、近代はスペインかぜ、そして現代の新型コロナウイルスなど、人間は常に病と闘ってきました。医学の進歩をあざ笑うかのように耐性菌や新型ウイルスが登場し、がんや生活習慣病、さらには複雑化する社会を反映して心因性の疾患も増えています。病によって浮き彫りになった人間社会の矛盾や課題を知ることができる本を選びました。
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体に病変が見られないにもかかわらず眠り続ける少女など、謎の病気を追う医師によるルポルタージュ。体の異常を修復すれば病は必ず治るというものではなく、個々の患者の文化的、社会的背景にも配慮した全人的アプローチの重要性を説いています。複雑化する社会が難解な病を招いているのでは、と考えさせられます。
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いち早く新型コロナウイルスワクチンを導入しながら、なぜ接種が思うように進まず、先進国で最も多い死者を出したのか。アメリカ社会の歴史的背景、底流にある市民感情などをたどりながら、その矛盾を解説しています。格差や人種差別などアメリカが抱える根深い課題を、病が改めて浮き彫りにした過程を活写します。
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本書を読むと、歴史は病との闘いの連続であると思い知らされます。近代、人口が増え人の交流が盛んになるにつれ感染症が世界に拡散し、それを防ぐ技術や薬が開発されます。しかし途上国ではワクチンが不足し、先進国では生活習慣病が新たな課題に。病が社会の矛盾を示し、その根本解決を迫っているかのように思えてくるでしょう。
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