日本の食文化は幅広く奥深い。伝統食や調味料をまずは文字で味わう本

豆腐の発祥、日本への伝来から受容、そして派生した食文化の広がりが詳しく記されています。豆腐文化の変遷や豆腐の製造法の進化が、社会のあり方に影響していく様子が興味をかきたてます。豆腐と日本人の関係の深さに驚かされるとともに、健康食ブームに乗って海外にも広がる豆腐文化のパワーが感じられる一冊です。

和食の味付けに欠かせない三大調味料の歴史、醸造法、利用法をコンパクトにまとめた一冊です。これらの調味料を作るのに欠かせないのが、国菌である麹菌です。発酵調味料は奈良時代から活用され、原料や製造法の違いで独自の風味が生まれるなど、その奥の深さは感動もの。醤油、味噌、酢を知らずして和食は語れません。

和の食材はなんとたくさんあることか、と感心させられます。山の幸から海の幸、都市から地方に至るまで、さまざまな食材や郷土料理があり、一生のうちに食べ尽くすことができないほど豊富です。創造的な和食を楽しみながら、失われつつある伝統食をどのように継承していくのか、和食を見直すきっかけになるでしょう。

締めのラーメンや雑炊など、夜食は会社員や受験生の強い味方です。古典落語にも登場するように、夜更けにそばやうどんを売り歩く商売は江戸時代からありました。夜食を必要としたのはどのような人たちなのか、都市と地方では内容や食べ方に違いがあるのかなど、夜食に関する歴史や文化を学術的に論じた異色の書です。

つけものなどの発酵食品や動植物の乾燥食品、調味料など、昔ながらの品々を紹介しています。製造工程に加え、作っている人たちの声や姿を生き生きと描写。そうした人たちの人生観も垣間見え、民俗学的な好奇心をくすぐります。初めて見る食品も多いなか、紹介された自然食を思わずお取り寄せしたくなること間違いなしです。