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三大奇書の次はこれ!推理小説の枠を超える実験的ミステリー
洋の東西を問わず愛読されているミステリー。その中には、「日本三大奇書」と呼ばれる『ドグラ・マグラ』『黒死館殺人事件』『虚無への供物』といった従来の推理小説・探偵小説の形式を覆すアンチ・ミステリーのような、メタフィクション要素を取り入れた実験的手法で書かれたものも少なくありません。そんな特殊なミステリー小説を紹介します。
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半年前に失踪した夫の捜索を依頼されるも、捜せば捜すほど失踪者との距離が開いていき、やがて探偵自身も都会の中をさまようことになる奇妙な探偵小説です。都会を他人だけの砂漠に見立て、疎外された人間の圧倒的な孤独感が描かれています。安部公房作品の不条理と探偵小説の様式が見事に融合した傑作です。
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「金田一耕助シリーズ」を見て探偵を求める老婆。その孫娘を通して訪問することになったのは、探偵とは縁遠い東大卒のイラストレーターでした。探偵役を任された主人公は鬼頭家旧当主の十三回忌に起きた殺人事件を巡り、どこか浮世離れした人間関係を築きながら真相に近づきます。メタ要素が光るポストモダン・ミステリーです。
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多ジャンルを渡り歩く筒井康隆が推理小説を手掛けたらどうなるか?本書がその回答です。郊外の洋館「ロートレック荘」で数日間のバカンスを楽しんでいた人々は、突然の惨劇に見舞われます。自然に進行する物語の中で巧妙なトリックが用いられていて、読者が推理するのは非常に難しい構造になっています。
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「人間荘」という木造アパートに引っ越してきた男は、部屋の奥に隠されている黒色のノートブックを見つけます。そこには過去の間借人たちの殺人に関わる体験談が書き込まれていて、「人間荘」の奇妙な人間模様を知ることができました。短編小説集のように見せ、巧妙なカラクリで読者を驚かせる山田風太郎の手腕が見ものです。
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「京極堂」シリーズの出発点にして京極夏彦のデビュー作です。久遠寺産科医院に関する奇妙なうわさを、旧友の京極堂こと中禅寺秋彦に伝える関口巽。久遠寺家を取り巻く噂の真相を解き明かそうと奔走する彼は、予想外の事態に直面します。妖怪、幽霊、哲学。膨大な蘊蓄と奇抜な登場人物が繰り広げる秀逸な怪奇ミステリーです。
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