日本発祥の芸術文化。いけばなの歴史と華道に生きる人々を描いた本

日本のいけばなの概要を通史としてコンパクトにまとめた、ハンディタイプの入門書です。時代別に92のテーマを取り上げ、見開き形式で簡潔に解説しています。いけばなの源流に始まり、文化としての成立、ほかの芸術分野との関係性、さまざまな流派や流儀の特色など、その歴史と全体像を把握することができる一冊です。

未生流家元・笹岡隆甫による、いけばなを中心とした日本の芸術文化論が記された新書です。日本文化の特性、その根底にある美意識や思想、さらには「型」の重要さや、花を活ける際の数学的論理の必要性などがわかりやすく説明されています。各流派の特徴や家元制度の利点、今後の華道界の展望についてもまとめられています。

メディアでも活躍するフラワーアーティスト・假屋崎省吾のフォトグラフィな自叙伝。彼の生い立ちと華道家としての活動、飽くなき向上心と好奇心、美しいものへのこだわりが、語り口調で読みやすく綴られています。豊富なカラー写真によって、「新たな美」を生み出し続ける芸術家の鮮やかな世界観も楽しむことができます。

戦国時代の華道家元・池坊専好（初代）を主人公とする歴史小説。乱世の京で専好は美を愛し、市井の営みを慈しみ、千利休とよしみを結びます。やがて弾圧により、信念に殉じて刑死した利休の仇討ちと華道家の誇りを懸け、時の権力者・豊臣秀吉と対峙することに。花の名手ならではの戦いのさまが描かれます。

時は江戸時代後期。京の大覚寺の少年僧・胤舜（いんしゅん）が、たぐいまれな才で華道を究める姿を描いた時代小説です。花を活ける修行を通じて世間を知り、人情の機微を学び、胤舜は成長していきます。主人公の穏やかな佇まいに花の美しさの描写が相まって、清々しさと静謐な雰囲気を楽しむことができる良作です。