ブックキュレーターhonto編集員
物語の迷宮へようこそ。めくるめく入れ子構造の小説
物語の中で物語が展開するという形式は、枠物語と呼ばれています。劇における劇中劇、小説における額縁小説の総称であり、その実験的な入れ子構造は古くから愛されてきました。まるで物語の迷宮に足を踏み入れたような気持ちになる小説の数々。その中から珠玉の名作を紹介します。ぜひ、「物語の中の物語」をさまよってみてください。
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アイルランドの小説家、フラン・オブライエンの代表作。トレリスという作家を主人公とする小説を書こうとする語り手と、自分を主役とする小説を構想するトレリス自身と、作者であるトレリスの小説を書こうとする登場人物という三重構造をなしていて、もはや小説そのものを語る小説といった体裁を取った枠物語の極みといえる傑作です。
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小畑重則というサラリーマンの日常風景から始まる物語は、あるきっかけを経て兼業作家の大畑重昭の物語に変わり、また別の自分の物語に変化します。本書は「夢」をキーワードに同一人物を主役とする並行世界を移動し、多重層の人生を描き出した意欲的な実験小説であり、まさしく筒井康隆の本領発揮といえる傑作です。
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日本の三大奇書に加えて「第4の奇書」とも呼ばれるアンチ・ミステリーの傑作です。推理小説愛好家の大学生が、仲間の小説と同じかたちで殺害されるという奇妙な事件が起こります。それを契機に物語は現実と虚構を行き来し、どこまで実際の世界なのか作中作なのかわからなくなっていきます。竹本健治の衝撃的デビュー作です。
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