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これぞ模倣のおもしろさ!極上のパロディ・パスティーシュ小説
既存の作品を模倣することで新たな面白味を生む手法があります。技法としての模倣には滑稽化させるパロディのほか、特定の作品に尊敬の意を表して作るオマージュ、文体や設定といった形式を模倣するパスティーシュなど複数存在し、創作の世界で愛用されてきました。ここでは、文学的模倣をテーマに珠玉の模倣小説を紹介します。
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17世紀スペインで活躍した作家セルバンテスの世界的名著で、書名に聞き覚えのある方は多いでしょう。本書は、中世ヨーロッパで流行した騎士道物語の壮大なパロディ小説であり、騎士道物語を読みすぎて現実と架空の区別がつかなくなって、騎士として旅に出た中年男の珍道中を描写しています。大長編ですが、ぜひ読破してほしい傑作です。
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イタリアの文豪ウンベルト・エーコの知的遊戯が光るパロディ集です。ウンベルト・ウンベルトが老女に魅了される「ノニータ」、コロンブスのアメリカ発見を実況中継する「アメリカ発見」、ほかにもマンゾーニの『いいなづけ』を『フィネガンズ・ウェイク』の続編と断言する論文など、著者の高度な遊び心に触れることができます。
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1962~1976年に発表された筒井康隆の作品を収録した短編小説集。小松左京の代表作のパロディである表題作は、タイトル通り日本列島以外の陸地が沈没したため、世界中の有名人が押しかけて大混乱に陥る傑作であり、映画化もされました。人物・形式・文化などのパロディ要素を含む、抱腹絶倒間違いなしの一冊です。
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高橋源一郎が大胆不敵にも、宮沢賢治の24作品を原形をとどめないほどアレンジしたパロディ短編小説集です。「注文の多い料理店」ではAV業界のADが奔走し、「セロひきのゴーシュ」では1人のホームレスが神格化されて語られるなど、著者ならではの発想と節回しで変貌した作品群に読者は度肝を抜かれることでしょう。
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