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天平の甍(新潮文庫) みんなのレビュー

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一般書 芸術選奨 受賞作品

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みんなのレビュー116件

みんなの評価4.1

評価内訳

116 件中 1 件~ 15 件を表示

紙の本

先人の苦労を偲ぶ(しのぶ)

2008/07/11 21:01

14人中、12人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:kumataro - この投稿者のレビュー一覧を見る

天平の甍(てんぴょうのいらか) 井上靖 新潮文庫 

 10年ほど前、仕事でむしゃくしゃしていた早朝にテレビで「そうだ、奈良へ行こう」というコマーシャルを聞いて、数日後に奈良を訪れました。それ以来毎年、年に数回奈良県を訪れるようになりました。奈良は京都と違って、広々としていているところが気に入っています。
 高松塚古墳がある明日香村の畑を見ると小学生だった頃の想い出がよみがえります。畑にはキャベツ、キャベツの上には青虫、青虫はさなぎになってやがて綺麗なチョウチョになる。天高くひばりが舞い上がり空中でさえずる。
 天平の甍とは中国の高僧鑑真がつくった唐招提寺の瓦をさすのだと思います。本の中に書かれているお寺さんには行ったことがあるところがたくさんあります。時代は奈良時代です。西暦700年代。日本の僧侶たちが遣唐使で中国へ行き鑑真を日本へ連れ帰るための苦労辛苦が記述されています。今でこそ飛行機で簡単に行き来できますが、私もこの本を読んで初めて知ったのですが、遣唐使は命がけの船旅であり、中国へ行くと15年ぐらい帰って来ることができなかったり、その行程で亡くなる者、帰国できず中国で生涯を終える者が出てくる。私は先人の苦労に感謝したのでした。
 サラリーマンの出世争いのようでもあります。歴史教科書のように事実経過が並べられていきます。しいて言えばドラマがありません。鑑真を日本へ送り届けるために努力した興福寺の栄叡(ようえい)の死は悲しい。
 諸外国と日本の交流が途絶えてしまったのは、江戸時代の鎖国制度の影響であったことがよくわかります。
 人が死亡した記述がピンときません。「物故する(ぶっこする)」「葬る(ほうむる)」「薨る(こうじる)」
 わたしはこれからも何度も奈良へ足を運ぶでしょう。

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紙の本

井上靖の最高傑作のひとつ

2008/12/24 20:03

10人中、10人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:ベストビジネス書評 - この投稿者のレビュー一覧を見る

井上靖の最高傑作のひとつ。歴史版だ。井上靖の著作は全部読んでいるが、この本にも井上靖の哲学がありありと出ている。永遠と瞬間そして独特の厭世観だろう。この世に生まれていったいなにをすればいいのか。いったいなにが価値のある行為なのだろう。悠久なる時のながれにおいて個々人の行為はどういった意味をもつのだろう。ちっぽけな人間の存在、けれどもなにか時を越える行為があるのではないか。数名の留学層の生き方を通じて読者にじっくり考えさせてくれる。

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紙の本

道を選ぶ。何かを選ぶことは何かを捨てること。人生とはなんでしょうね。

2008/06/05 09:25

9人中、9人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:銀の皿 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 「せんとくん」とか「まんとくん」とか、「平城遷都1300年」とやらが話題になっているのが刺激になったのかもしれないが、古い蔵書から引っ張り出して再読した。これによって遣唐使、鑑真和上などに人目が集まるようになった、という歴史小説である。もちろんこれは小説であり、作家の創作した登場人物の心理や言葉が多いことはわかってはいるのだが、充分現実的な想像力を刺激する、さすがに歴史小説の大家の残した名作である。

 仏教の高僧を日本に呼ぶという使命をもって遣唐使となり大陸を踏んだ若い僧侶を中心に、僧侶達の生き方、考え方が分かれていく様子が描かれていく。使命感に燃え、鑑真と共に日本へ渡る途中に命を落とす者。学ぶことをすて、還俗して現地に家族を持った者、机上の勉学よりも多くをみたい、と大陸をどこまでも歩くことを選んだ者。どの道を選んだにせよ、何かを選ぶことは何かを捨てること。それぞれにそれぞれの思いがあったのだろう。選ぶこと、捨てることへの苦悩や痛みが伝わってくる。
 みずからのできることに限界を感じ、学ぶことよりも経典を写し取り日本に送ることに意義を見出して写経に熱中する僧の描写には、著者もひとしおの思いを込めて描いたのではないかという力が感じられる。自らの限界を認めた謙虚さが、写した経典を命に代えても日本に届けなくてはという執念に変わっていく姿は壮絶でもある。
 何かになりたい、何かをやり遂げたいと立ち上がっても、「志半ばにして」終わることは少なくない。山登りで言われるように、「断念する勇気」も時には必要だ。千年以上も昔の日本人にも、あれだけの大事業に関わった者たちにも、さまざまな「成功だけではない」思いがあった。鑑真を招聘し、自らも無事日本に帰りついたのは、はじめは意外に冷めていた主人公一人、というのは皮肉な設定である。成功したように見える主人公と、それぞれに散っていった他の者たちと、その人生に優劣などつけようもないのではないだろうか。

 何度も失敗をくり返し、視力も失いながらも日本にやってきた鑑真和上の辿った道筋も丁寧に描かれている。鑑真もまた、なぜそこまでして日本へ行こうと決意したのか。有名な坐像にみる穏やかな表情を思い浮かべ、つい問いかけてみたくなる。「人生とはなんでしょうね」と。

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紙の本

遠い奈良の時代の人たちの物語

2005/03/17 22:24

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:みなとかずあき - この投稿者のレビュー一覧を見る

 2005年新春に国立博物館で「唐招提寺展 国宝鑑真和上像と盧舎那仏」が催されていた。これまで、唐招提寺でしか見ることのできなかった鑑真和上坐像と盧舎那仏などを間近で見ることが出来たのだが、鑑真像はかなりリアルで、よくよく見ると髯や睫などまで描きこまれていたところからすると、生前の姿をかなり忠実に写したものなのかと思えてしまった。
 鑑真については、学生時代の記憶として、日本に真の仏教を伝えるために苦労して、眼が見えなくなるほどの困難を乗り越えて来日し、後の唐招提寺で講義などをした人だ、と理解はしていた。だが、それ以上でも以下でもなく、あの姿をした高僧がどのようにして日本に訪れたのか、そして日本でどのように活躍したのかということを、改めて知りたくなってしまった。そんな時に、私が思いついたのはこの『天平の甍』しかなかった。
 ところが、最初からとまどってしまった。いきなり遣唐使の話から始まるのだ。しかも漢字のやたら多いこと。振り仮名は振ってあるけれども、今現在では使わない言葉ばかりで、学生時代の日本史の勉強を改めてさせられているような感じにはなるし、わからないからと言って後ろにある注解をいちいち読み返すのも面倒だし。しばらくは読み直しては、読み直してはページをめくるということになってしまった。
 そうしているうちに、やがてこの物語が、鑑真の来日という歴史上の出来事を踏まえた、当時の僧籍にある者たちの生き方を伝えようとしているのだ、と思えてきた。先の遣唐使で渡唐した栄叡、普照ら4人と、すでに唐に何年もいた業行の、それぞれの生き方とその顛末に焦点が当てられており、鑑真は、仏に身を捧げた信念の人ではあるが、特に中心に描かれているわけではなかった。そして、そこに描かれている者たちの生き様は、奈良時代の人間だけに特有なものでもなく、今では想像もつかないような方法で艱難辛苦を排して唐にまで至った者だけの特殊な話でもなく、人が生きていく上でどの時代でも共通する思い、悩みで溢れていたのだった。道半ばにして倒れる者、自らの思うままに生きていく者、己の生きてゆく分を見定めて邁進する者、何者ともつかず定めに流されていく者と、読み進めていくうちに自分と比べてみたり、距離をおいてみたりして少しずつ考えさせられてしまった。
 総じて客観的で事実を踏まえた文章が淡々と続く中で、時々栄叡らの会話が挟み込まれて話は進展していく。そうした文章の展開がまた、彼らの会話を印象深くしている。実際には彼らの記録というものはほとんどなく、井上靖の想像の産物なのだろうけれども、この会話があたかも本当のことであったように思えてきてしまうのは、大作家の筆の成せる技とでも言うべきものなのだろう。
 このような名作と呼ばれる物語は、この頃ではどの程度読まれているのだろうか。文体が古めかしいとか、漢字が多いとか言って、読まれていないのだろうか。確かにすらすらと読めるものではないかもしれないが、名作はやはり名作であり、いつ読んでも、どのような立場で読んでも、何かしら響いてくるものがあるように思う。それを再認識させてくれた話であった。
 もっとも、当初もくろんでいたような、鑑真の人となりはよく分からず終いではあったのだけれども。

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紙の本

遙なる天平の薫り

2003/09/27 23:54

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:北祭 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 国宝“鑑真和上像”を間近に見たことがある。
 瞼は静かに閉じていた。ごく自然な瞑想のさまが穏和で寛容なる精神を感じさせる。一方、写実的で肉感的なつくりの細部に目を向けてみると新たな一面が浮かびあがる。そのがっしりとした顎、筋の入った太い首、広い肩幅、静かなる精神の根底にある和上の確たる意志の強さを感じさせる。
 伝承によるとこの像は、弟子の忍基が夢で和上の遷化の近いことを知り、その姿を脱活乾漆技法を用いて写した寿像であるとされる。しかしまた一説には、天平の天才彫刻家・国中連公麻呂(くになかのむらじきみまろ)作ではないかとするものがある。いずれにせよ、類稀な“天平時代の肖像彫刻の白眉”であることは確かである。
 この“鑑真和上像”という肖像彫刻の魅力の源はなんであろう。彫刻家の腕が良いのはいうに及ばないが、はたしてそれのみであろうか。モデル鑑真和上その人の魅力こそ源なのではないか—。

 本書の舞台は天平5年(733年)の第九次遣唐使船出港で幕をあける。当時、日本では公地公民の制が崩れ、重税から逃れる為に農民がこぞって寺院に入り僧侶になるといった堕落のていであった。そこで唐より正式な授戒を行える大師を招くという使命を帯びた2人の僧侶が遣唐使船に同乗する。栄叡(ようえい)と普照(ふしょう)である。
 唐に渡った栄叡と普照は、当時、第一流の名僧と崇められていた鑑真にめぐりあい、日本への来遊を懇願する。取り巻きの僧侶が皆尻込みするなか鑑真は「是は法事のためなり、何ぞ身命を惜しまん。諸人去かずんば、我すなわち去かんのみ」と喝破し、渡日が決定した。
 鑑真は5度の受難、失明に見舞われるも、遂に6度目にして渡航に成功する。栄叡すでに亡く、普照のみ鑑真とその弟子たちと共に20年ぶりの帰郷を果たす。

 作家は、この普照なる留学僧に焦点をあて、当時の僧侶達が如何なるものを考え行動したのかを確かな創造力で描き出してみせる。特に“言葉”や“会話”そして“心の語り”の風景がすばらしい。鑑真和上の生きる姿や発する言葉を、側にいる普照の目で見させ、感じさせ、そして心で語らせる。ひとつの時代小説が、“天平時代の肖像彫刻の白眉”へと肉薄し、その形に生命を与え、しぐさ、言葉、そして思想を甦らせるかのようである。

 本書を読み終えたとき、遥かなる“天平の薫り”を感じ、“鑑真和上”の静かな声を聴く、そんな心地よい錯覚にとらわれることを期待し、瞼を静かに閉じていた。

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紙の本

入唐僧:普照を中心に描いた歴史書

2021/07/26 22:15

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:岩波文庫愛好家 - この投稿者のレビュー一覧を見る

遣唐使と言えば、遣隋使の時代の後にあった使い・・。第10回といった程、頻度高く渡唐します。本書はその遣唐使に於ける主人公:普照を中心として描かれた歴史小説です。
 本書を書き上げるに於いて井上靖氏が参考にしたであろう学者への投げ掛けや、膨大な文献資料をバックボーンにしたであろう事は容易に想像がつきます。
 本書では鑑真が登場人物として出てきますが、決して主人公ではなく、あくまで普照が中心です。その普照の心の葛藤や心理描写が秀逸です。普照を取り巻く他の入唐僧との絡みを含め、歴史小説として深入り出来る良書です。

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紙の本

鑑真渡来を陰で支えた僧侶たち

2015/08/23 23:51

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:historian - この投稿者のレビュー一覧を見る

奈良時代、日本に真の仏教をもたらすために海を越えた4人の留学僧たち。彼らは唐でも最も権威のある鑑真を日本に招くことに成功するが、その前には幾多の苦難が待ち受けていた。志半ばに倒れた者、異国での勉学に疲れ還俗し世を送った者、何とか使命を果たし故国に戻れた者、勉学に飽きたらず真の仏道を求めて印度に発った者・・・様々に生死した僧たちの顛末を描く。

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紙の本

人生の折々に読みたい本

2015/08/31 12:30

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:Otto - この投稿者のレビュー一覧を見る

少年時代に初めて読んでから、何度となく読み返したくなる本です。
一人の人間は矮小なものかもしれませんが、その高潔な覚悟、崇高な
使命感で、仮に夢や目標は果たせなくても人生は有意義なものになる、
と勇気づけてくれる作品です。

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紙の本

本当の評価は読者の力量次第

2009/02/20 23:03

7人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:JOEL - この投稿者のレビュー一覧を見る

 有名な鑑真の渡日を描いた本である。40年の時を経過しているので、いくらか読み難いところがある。それは、ひとつには漢字が多用されていることである。これに比べれば、最近の書物がいかに「ひらがな中心」であるかが分かる。

 もうひとつは、鑑真よりも、これを渡日させようとした日本人留学僧4人の運命を、淡々と描き出しているからである。起きた事実を通して、各々の内面を想像することを読者に託している感じがする。いたずらに、その時々の内面を登場人物に語らせはしない。

 こうして、『天平の甍』は、その名の知れているほどには読みやすくはない。事実に託して、読み手の想像力を試すところが大きい。

 それにしても、鑑真の5度にわたる渡航の試みは、波乱に満ちている。そして、その決心は、失明しても揺らぐことがない。その強靱な力には敬服するしかない。当時の船の航行能力はいかにも頼りなく、命懸けであることを本書がよく教えてくれる。鑑真の開いた唐招提寺がいかに歴史的な所産であるかも分かる。

 それにしても、この堂々たる鑑真と対比したとき、日本人留学僧たちの悲喜こもごもの暮らしぶり、選び取った道の複雑なさまがくっきりと浮かび上がってくる。

 本書は、歴史小説というよりも、もはや歴史の方に大きな比重がかかっている。小説に期待するような人情の機微はかなり抑制されており、読者は自らの力で補うほかはない。

 井上靖の小説は、平成という年号を20年も過ぎると、新しい段階に置かれてしまったようだ。読み手を選ぶという意味で、星3つとし、本当の評価は読者次第としたい。

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紙の本

遣唐使

2023/06/23 21:05

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:みみりん - この投稿者のレビュー一覧を見る

昔歴史で学んだ、「唐から高僧を招くために留学僧が遣唐使として大陸へ渡り、鑑真を日本へ招くことができた」。
歴史の教科書ではその一文で済まされていた出来事が、この本では余すことなく書かれている。

日本への航海の度重なる失敗により、鑑真は失明した。
当時、日本と中国の間を航海することがどんなに困難だったか。
しかしそれでも唐へ渡って、高僧を招かなくては。
そんな思いや、経典を学ぶことができるなら命をかけてもよい。
そんな思いに支えられて、遣唐使という制度は続いていたのかもしれない。

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2004/11/13 13:05

投稿元:ブクログ

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2005/10/30 17:45

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2006/09/15 19:52

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2007/03/14 11:02

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2007/06/12 15:37

投稿元:ブクログ

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