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紙の本
究極的な人生の縮図
2023/11/03 14:00
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投稿者:あお - この投稿者のレビュー一覧を見る
本作を読もうと思った動機が、「惑う星」(リチャード・パワーズ著、木原善彦訳、新潮社)の商品説明で「21世紀の『アルジャーノン』」と評されていたことだった。逆に言えば、正直、この本と出合わなければ未だに「アルジャーノン」を読もうとは思っていなかっただろう。
大体のプロットは子どもの頃から知っていたが、実際初読の際は苦労した。知的障害を持つ主人公チャーリイの書く≪経過報告≫が物理的に読みにくく、また物語全体にどことなくフロイト心理学を彷彿とさせる難しい要素もあって、ストーリーを掴むのに精一杯だった。だが何度か再読するうちに、自分なりの本作の≪主題≫のようなものが見えてきた。
自分にとっては、この物語は人生そのものを表しているように思える。
知的障害を獲得しているか否かに関わらず、一人の人間が生まれ、子どもから大人になり、そして老いていく過程を見ている、と。
人は成長するにつれ、できることが増えていく。できないことが、できるようになってくる。
それと同時に、子どもの頃に持っていた、言葉が通じなくても伝わる何か――やわらかな心から生まれる温かさのようなものが、徐々に薄れていくような気がする。
本作にはいろんな大人が出てくる。知的障害者を見下す世間の人々。出世レースから振り落とされまいと血眼になって被験者の人権は二の次になっている学者。主人公のありのままの姿を認めることのできない家族。誰もが、自覚していようがいまいが、他の誰かを傷つけながら自身を守っているのだ。なまじ知能がある分、そういったことに躍起になる。
一方、人は周りの世界が広がるにつれ、考えることがいろいろ出てくる。自分は何者なのか。自分にとっての本分とは何か。人との繋がりについて。愛とは何なのか…などなど。
人為的に知能を増大させられた自らの予後を直感した主人公チャーリイ・ゴードンは、残された時間をかけてそれらに必死に向き合おうとする。その姿こそ、人生の値打ちと言えるものではないだろうか。
彼は急速に増大した知能をもってしても、自分を取りまく世界をすぐには理解できなかった。知識が増える、頭が良くなるに越したことはないだろうが、それだけで、生きていくうえで直面する問題が解決するとは限らない。人が人として生きていくのに、十分とは言えないのだと、読者に語りかけてくる。
後半からラストへ向かうシーンは、認知機能低下が進行していく人の病像をそのままたどっているようだ。記憶力低下、遂行機能障害が進みゆく中、チャーリイは愛について知る。獲得した知能が失われてもなお、その下の基盤、すなわち感性、情緒というものは確かに存在するのだと、どこか厳かな気すらした。
自分は「とても心を揺さぶられた」というほどの感性をどうも持てていないようだが、これまで生きてきた中でようやくチャーリイ・ゴードンに会えたことにささやかながら感謝しよう。
紙の本
読む魔法との評はハッタリではない
2023/10/16 13:36
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投稿者:ブラウン - この投稿者のレビュー一覧を見る
著者の逸話をなぞるようで悔しいが、「一体どうやって書いたんだ!」と尋ねずにはいられない。知的障害から抜きんでた天才への変遷を追う内に、何か読む魔法を見せられた気持ちになること請け合いだ。
紙の本
傑作
2023/08/23 22:13
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投稿者:マンゴスチン - この投稿者のレビュー一覧を見る
分かりきった辛い話だー。
当事者から外れた途端に自らも差別する側に周りつつあったことを自覚する絶望感、想像したくない。主人公以外の登場人物視点も読んでみたくなった。
移り変わる文体の表現が丁寧で凄い。翻訳かなり大変だろうに。
紙の本
翻訳の人の力がスゴイと感じた
2023/07/15 15:22
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投稿者:みえ - この投稿者のレビュー一覧を見る
最初のつたない文を、とても分かりやすく表現されていて、感心した。脳に何らかの手術を施されてからは、だんだん誤字がなくなり、理路整然とした形に変わっていく様が、逆にとても恐ろしく思った。
書店員さんのお勧めコーナーで目にとまったので読んで見たが、後味が悪かった。感動とはほど遠い。知的障害の人をからかったりしている様が、読むに耐えなかった。昔だから?今だと、家族でも地域でも、社会は手を差し伸べて助け合っている気がする。ホラー感があった。
電子書籍
名作
2023/04/17 17:15
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投稿者:ハム - この投稿者のレビュー一覧を見る
日本でも何度も映像化されている名作なので一度は読んでみたいと思っていました。名作だけあって泣けました。
紙の本
涙なくては読めない一冊
2023/04/11 19:30
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投稿者:みみりん - この投稿者のレビュー一覧を見る
最初ひらがなの羅列ばかりで、なんて読みにくい本なのだろうと思った。
でもそれが32歳のチャーリーの知能の現れなのです。
そんなチャーリーが、手術によって驚くべき知能を得るのですが、
知能を得てからのチャーリーは幸せではない。
そして、再び知能が衰えていくつらさ・・・・・・
自分ができなくなっていくことを自覚するつらさは、
認知症の人のつらさに似ているかもしれない。
涙なくては読めない一冊です。
紙の本
クライマックスに涙
2022/11/13 19:17
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投稿者:なっとう - この投稿者のレビュー一覧を見る
たくさん考えさせられる作品でした。
私の眼には、もうチャーリィのように他人を見る眼がないなと感じました。
クライマックス、もうどの感情で自分が泣いているのかわかりませんでした。安心したのか、寂しいのか、悲しいのか、感謝なのか…またいつか再読したい名作でした!
紙の本
生きづらさを抱えた人間はどこに行くのか。
2022/10/07 09:13
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投稿者:ごんざ - この投稿者のレビュー一覧を見る
明るい話ではなく、つらい描写も多いです。人によってはあまりにリアルなため読むのがつらくなるかもしれません。ですが、希望がまったくないわけでもありません。
リアリティがあるからこそ救われる部分もあるんじゃないでしょうか。
紙の本
感動できる名作
2022/07/22 19:23
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投稿者:パター - この投稿者のレビュー一覧を見る
本当にすごい!冒頭を見ただけで、何だこれ?!ってなるような異彩を放つ文の書き方で鳥肌がたちました。この作者は人物の書き方が非常に上手いので読んでいてリアルさがあります。ただただ圧巻するばかりの名作です。
紙の本
やるせない
2020/11/06 16:16
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投稿者:MR1110 - この投稿者のレビュー一覧を見る
脳に障害のある青年が脳手術によって一時的に知能が高くなる物語。一見知能が高くなったことが素晴らしいように見えますが、手術前のピュアな人格まで変わってしまったような悲しい気持ちになります。本当の幸せとは何なのかを考えさせられる作品です。
紙の本
訳者がすごい
2020/09/20 11:02
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投稿者:ぽ - この投稿者のレビュー一覧を見る
これ、訳前はどうなってるんだろう。スペルミスとかが多いのだろうか?とにかく、訳の言葉選びや故意の誤字脱字で主人公の知能の移り変わりがよくわかる。内容ももちろん素晴らしいが、その内容を損なうことなく日本語的再現をした訳者に感謝したい。
電子書籍
本当の知能と幸せを求めて
2020/05/05 23:39
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投稿者:Todoslo - この投稿者のレビュー一覧を見る
テストや偏差値では測り切れない、人間的な知性について考えさせられます。チャーリイが見つけ出した、ひとつの答えが感動的です。
紙の本
起こり得る未来
2020/04/30 20:51
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投稿者:m.i. - この投稿者のレビュー一覧を見る
本人は覚えていなくとも、知ることがもたらした数々の経験は、チャーリーの人生から消えることはない。誰しも、将来チャーリーのようにどんどん記憶をなくし、身体のあらゆる機能が低下する可能性がある。その時が近づいたとき、自分の行く末がわかったとき、私は何を思い、どう行動するだろう。
紙の本
アルジャーノン
2020/02/26 19:56
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投稿者:earosmith - この投稿者のレビュー一覧を見る
若い時に読んで、ただただ悲しすぎるように思いました。関係ないかもしれませんが、あまり不自然な治療は神の領域を超えてしまうのかもしれないと思いました。
紙の本
実際に起こりうる内容だと思った
2019/06/30 19:59
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投稿者:ルリラ - この投稿者のレビュー一覧を見る
自分は外国の小説をあまり読まないのですが、今回チャレンジしてみました。最初、文字が読みづらくてイライラしますが、その字の読みにくさが主人公の知能と比例しています。読み終わったときの達成感が大きいのでぜひ読んでみてください。