系図を読み解く。
2017/10/03 09:36
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:名取の姫小松 - この投稿者のレビュー一覧を見る
系図関係の本は読み解くのが大変だ。『国史大系』の『尊卑文脈』を開くとページを破かないようにするのに一苦労する。
この本は解説すべき血筋をピックアップして、載せてくれている。やはり男女が結びついて子どもが生まれるようになっているので、父方だけでなく、母方の親戚もついてくる。天皇家や古くからの伝承のある家系の妻方、母方、なかなか無視できない。
本書では触れられなかったが、平安初期の藤原冬嗣の兄の真夏の子孫は室町時代の日野家になる。古代で外戚になれなかったが、室町将軍の時代に外戚になっている。
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:earosmith - この投稿者のレビュー一覧を見る
永井路子先生も、「美貌の女帝」などで母方の血を重視していたので、なるほどと思うことが多く楽しめました。系図を見るのは面白いですが、複雑で頭が混乱しました。
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:七無齋 - この投稿者のレビュー一覧を見る
情勢の系統に着眼したのはとても良い。歴史は男子に偏りすぎている。しかし著者の下世話な言い回しが引っ掛かり、せっかくの成果が興ざめしてしまう。
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ペンギン - この投稿者のレビュー一覧を見る
著者の大塚さんは日本史における女性の影響力を評価したいんだと思う。ヨーロッパだとハプスブルク家が結婚政策で栄えたのは有名な話だけど、日本は地理的にどん詰まりだから結婚は外交の手段にはならなかった。だからといって日本で「政治的に女性の影響力が軽視されていたわけではないんだよー」言いたかったのでなないか。
私自身は以前古代史に興味があって、そのとき家系図の重要性を感じていたから内容自体はそれほど違和感はなかった。最後のところで出てくるイカガシコメの話が興味深い。奥さんをモノ扱いしているのはヤだなって思うけど、配偶者の地位がそれなりに重かったというのはいい話のような気もする。
投稿元:
レビューを見る
女系図でみる驚きの日本史
大塚ひかり
新潮新書
発売日 2017年09月
ISBN9784106107351
http://www.shinchosha.co.jp/book/610735/
投稿元:
レビューを見る
<目次>
第1章 平家は本当に滅亡したのか
第2章 天皇にはなぜ姓がないのか
第3章 なぜ京都が都になったのか
第4章 紫式部の名前はなぜ分からないのか
第5章 光源氏はなぜ天皇になれなかったのか
第6章 平安貴族はなぜ「兄弟」「姉妹」だらけなのか
第7章 「高貴な処女」伊勢斎宮の密通は、なぜ事件化したのか
第8章 貴族はなぜ近親姦だらけなのか
第9章 頼朝はなぜ、義経を殺さねばならなかったのか
第10章 徳川将軍家はなぜ女系図が作れないのか
<内容>
平安時代を中心に、「女系図」(女性中心の系図)を作ることで、歴史を違う視点から見るお話。「新潮45」に連載した記事に書きおろしを加えたもの。古典の解釈で斬新な解釈を提示する著者らしい内容である(徳川家は「女系図」を作れない。理由もわかる)。若干、使っている論文が弱い気もするが、読み物としてはとても面白い話である。
投稿元:
レビューを見る
皇室から平安時代の藤原氏、そして各時代の将軍家。資料に記述される表の歴史では滅亡してしまっているはずの一族が、女系に視点を置いてみてみると違った面が見えます。血という観点から考えると、一族の血は絶えておらず、それどころか時代の中心に今も居続けていることがわかります。そしてそれが昔はむしろ重要であったこと。それが歴史の重要なポイントをみるときに必要な視点であることが書かれています。古代、中世の人間関係を、このポイントで押さえた説明を読むことで、なるほどと合点がいくことになり新鮮さを感じながら読ませていただきました。
投稿元:
レビューを見る
は〜、そうなのか〜!という驚きの連続。
なるほど男系図だけでは見えなかったことが、女系図によって見えてくる。
愛憎も見えてくるようだ。
投稿元:
レビューを見る
戦略的にやってるんだろうけど、この人の露悪的な言い方がどうも鼻について…と思っていた。
が、やはり面白い。
古代の天皇制についてはほとんど知識がないので、藤原光明子があと少しで天皇になるところだという話にびっくり。
しかもそうすれば、天皇家が姓を持つ事態になっていたかもしれないと聞けば、刺激的だ。
(今年出た本なので、女性天皇ことも考えさせられる。)
頼朝の母、常盤御前は、「雑仕女」とされ、地位の低い人と思われているが、当時義朝の唯一の正妻として、社会的に重んじられていた、とあるのも初耳。
武運を上げるために醜女を娶ったり、秀でた学者は特異な容貌をしているという文化的伝統も、興味深い。
これは『美男の立身、ブ男の逆襲』などに書かれているそうなので、機会があれば読んでみたい。
投稿元:
レビューを見る
読みかけとなっていた本です、最後まで読みたいと思っておりますが、現在このような本に部屋が占領されてきており、苦渋の決断ながら処分することに至りました。近い将来、この本を読破できる機会が来ることを願っています。
2018.1.1作成
途中までしか読んでいませんが、以下が気になったポイントです。
・平時信の娘の夫が平清盛であるが、その末裔が90代亀山天皇、93代後伏見天皇を経て、今の天皇家に繋がっている(p18,19)
・平氏というと、清盛の一門だけでなく、清盛の妻時子も平氏で、伊勢平氏の清盛の家系より家格の高い、堂上平氏と呼ばれる一族(p20)
・男側の系図で見るから滅びたりする一族がいる、一転視点を女の側に向けると、栄えているのは滅びたはずの一族だったりする。(p23)
・天皇は姓を授ける側であって、名乗る側ではないので、天皇には姓が無い。同じころ、臣・連といった姓(かばね)ができて、蘇我の「臣」、大伴の「連」などと、氏について朝廷内での序列を表した。姓は身分を表す爵位のようなものである(p25,26)
・名字は氏姓制度が崩壊したのちに、平安時代に生まれた通称、名字は北条や梶原であっても、氏=本姓は「平」という具合である(p26)
・天皇の妻は上から、皇后→妃→夫人→嬪という序列があり、正妻である皇后は別格である(p27)
・古代の王族にとっては、父方の親族は王位を争ういわばライバル同士、それに対して母方の親族こそがわが身内という指摘もある(p58)
・実名忌避の俗信とは、名前と人間は一体であるという考え方から、実名を知られると呪いをかけるのに利用されたり、災いを受けるなど危険であるとして実名を秘したり、別名で呼ぶ習慣のこと(p71)
・義経は源義朝の子で、頼朝の異母弟である(p174)
・江戸時代の将軍の母親は側室である場合が多い、正室は3人のみ(p197)
2018年1月1日作成
投稿元:
レビューを見る
著者が楽しみながら、好きなように書いていることがよく分かる本だった。歴史を学ぶのに、自分の手を動かして作業しないといけないと思っていたところ、著者が自前で女系図を作って古典を楽しんでいたというのは良い例だと思う。知らない人物、言葉が多過ぎて何か新しい知識が頭に残ったような気はしないけれど、発想の種みたいなものは得られた気がする。読んでて楽しかった。
180214
投稿元:
レビューを見る
興味はあったんだけど、この手の話がうまく頭に入ってこない頭の構造なんだと自覚した。
ほら。平面図が頭の中で立体化しない人もいるように。
脳の傾向?向き不向き。
後半慣れてきたのか、大分楽しめた。
投稿元:
レビューを見る
胤よりも、腹が大事?!
平家は滅亡した。
確かに私はそう習った。
壇ノ浦で、幼い天皇を抱き、皆が入水自殺した。
はずだった。
もちろん平家の落人の村、なんて言い伝えも確かにあるが、主流ではない。
と思っていたら、なんと、今上天皇にまで系図が続いているのだそうだ。
そんなバカな?!
確かに今まで見たことのある系図は、父が誰かに重点が置かれ、母は単なる「女」とか、「〇〇の女」(菅原孝標女など)「〇〇の母」(藤原道綱母など)であった。
しかし、なぜ男系なのか?
父がいれば当然母もいるわけで、そこに焦点を当てると、常識が覆る。
物事を疑ってみる、多面的に見るとはこういうことかと目からウロコだ。
作中、手塚治虫の『奇子』が登場する。
まさかここでこの作品を耳にする(目で見ているのだが)とは。
詳細は省くが、奇子の生まれた旧家における人間関係の入り組み方は、日本の歴史そのものだ。
これが普通だとしたら、恐ろしいが、残念ながらこれは日本だけではなく、諸外国にもあてはまる。
有名なのがハプスブルク家だ。
さて、第五編の「腹」の話を読むと、国語の授業で、古典を読むというのは、なかなかキワを責めているのかもしれない。
よく考えてしまうと、結構、アレがアレだ。
それに、我が国の名作である『源氏物語』はまことに厨二病をこじらせた物語だ。
私がこんな素敵な彼に見初められて愛されちゃったら、こうなってこうなって.......。
イタすぎる。
夜中に書き溜めちゃったポエムの方が何倍かマシかと思うのだけれど、そう思えば、古文の授業はきっと楽しくなるだろう。
「いづれの御時にか 女御更衣あまたさぶらひ給ひけるなかに」が、睡眠のまじないではなく、覚醒の呪文になりますように。
投稿元:
レビューを見る
著者は早稲田卒の自称・家系図オタク。「腹」とか「胤」とか露骨なのがナンだけど、父方の家系図では見えない繋がりが見えて面白い。
各時代(平安時代の摂政関白、鎌倉時代の将軍と執権、室町時代・江戸時代の将軍)の権力者の正腹率の割り出しってのもエグい。
しかし女性って、名前が残ってない。「昭平親王の娘」とか「公任の妻」とか「定頼の母」としか呼ばれないで歴史に残ってる女性が本当に沢山いる。名前のない人物ってイメージが結び難くて、すぐ混乱する(涙)。
投稿元:
レビューを見る
面白く興味深く読みました。平安期は上流貴族の女性といえど、人格の無い人形のような扱いで、数奇な人生を過ごした女性が多くいます。待賢門院の扱いもいかがなものかと思いましたが、二条は乱倫です。財政基盤によって女性の地位が高かった平安女子ですが、院政で男性に権力が移行すると、厳しい波紋が生じたのですね。紫式部の“はとこ”である斉子女王のスキャンダルが源氏物語の野宮の場面に影響を与えたという指摘は一聴に値します。