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紙の本
原田マハがゴッホを書いたとなると読まずにいられない
2017/12/21 15:31
6人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:夏の雨 - この投稿者のレビュー一覧を見る
ゴッホといえば世界中の人が知っている画家であることは間違いないが、日本人ほど彼を好きな国民はいないのではないだろうか。
もしかしたら日本のどこかでいつもゴッホの絵が公開され、人々は長い列をなしているような気さえする。
おそらく日本人がどんな日本画家よりもその名を知っているゴッホをアート小説の旗手原田マハがどのように描いてみせるか、この作品ほど読む前から興味をひいたことはない。
そんな期待は多くの読者が抱いたと思うが、原田は単にゴッホとその弟テオ(そういえば日本人はこの兄弟の往復書簡も大好きだ)の関係だけでなく、そこの日本人の画商林忠正を配することで、ゴッホが愛した浮世絵との関係も浮かび上がらせることに成功した。
おそらく原田の創作と思われる林の部下である重吉という人物が、ゴッホ兄弟と林との仲介と林が持っていた野望と熱情を描くのに必要であったのであろう。
創作上のそんな構成は見事であっても、原田もまたゴッホの持っている悲劇性から脱却することはできなかったといえる。
もちろん画家ゴッホの生涯は確かに悲劇であるし、その弟テオも兄の死から半年で死んでしまうのであるからそれもまた悲劇であるが、もし純粋にゴッホという画家を評価するならば、そういう悲劇性から切り離れた描き方もあってもよかったような気がする。
それは画商林忠正をどう描くかによって違ってきたはずである。
ゴッホを描いた原田マハの次なるアートは何だろう。
紙の本
パリ市の紋章Fluctuat nec mergiturがタイトルに
2018/05/08 22:23
4人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ぴんさん - この投稿者のレビュー一覧を見る
日本人ってゴッホのことが大好きでしょう。もちろん彼の作品は素晴らしいし、人生そのものが小説的でもある。ただ、ここまで私たちがゴッホに惹かれるのは、何か他の理由があるんじゃないかとずっと考えてきた。ゴッホの弟で画商のテオは破天荒な生活をしながら絵を描いているゴッホを経済的精神的に支える。画商の林忠正はパリに浮世絵を広めゴッホは浮世絵に強く惹かれる。ゴッホとテオ兄弟愛と忠正との関係をリアリティ溢れる文章で描いていてマハさん渾身の一作になっているのでは。ゴッホの絵画に日本人が深くか関わっていたことは驚き。弟テオを通して語られるゴッホは、「銀河鉄道の父」で父の目から描かれた宮沢賢治を思い出した。
紙の本
ゴッホ兄弟
2018/05/05 22:54
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:咲耶子 - この投稿者のレビュー一覧を見る
今でこそ評価の高いゴッホも生きてる間は不遇で、そんな兄を献身的に支えた弟の存在は広く知られてます。
そんなゴッホ兄弟を題材に、親交のあった日本人画商たちの姿を描いてます。
少しずつ壊れて行くゴッホ、兄を愛しながらも天才に付いて行けない弟の苦悩や寂しさが描かれてます。
緊張感ある展開に一気に読んでしまいました。
電子書籍
ゴッホを身近に感じました。
2019/05/31 12:53
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:さくら - この投稿者のレビュー一覧を見る
パリの描写と人間関係の機微、皆パリで戦っている…。そんな臨場感がとても面白い。
ゴッホの作品を鑑賞しながら拝読。人となりがわかりました。
電子書籍
読んで良かった
2018/09/28 22:42
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:さくら - この投稿者のレビュー一覧を見る
前半の北斎の絵の世界も、後半のゴッホの絵の世界もありありと浮かんできました。実際の絵を見たくなって、ネットで何度も確認したほど。
人間の創り出す芸術のはかなさと深さに触れ、心に染みました。
紙の本
原田ワールドのゴッホ!!でも史実!!
2018/05/07 23:30
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:あっちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
読み応えがあります。どこまでが史実…???良いじゃありませんか!!だって共鳴できるんだもん。林氏とテオ、そしてフィンセントの出会いはこの本の中では史実にしちゃって良いんです。
紙の本
蕩々たるセーヌの流れ。たゆたうこと流れる熱い情熱と友情。 アートを通して描かれる、原田マハの人間賛歌。
2022/01/09 15:36
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:mitu - この投稿者のレビュー一覧を見る
炎の画家。
情熱の画家。
そして悲運の画家。
フィンセント・ファン・ゴッホ。
命の奥底から沸き出でる熱をキャンバスに描き続けたゴッホ。
物事を深く考えすぎ、絵を描くこと以外に全く関心を示さず、心の病と闘い続けた。
日本美術を愛し、日本を理想郷と信じた彼は、日本人になりたいとさえ願っていた。
だがその願いは叶えられることなく、生き急いだ天才画家は37歳の若さで自ら命を絶ってしまう。
彼は、弟のテオとその妻ヨーに支え続けられていた。
「この絵を部屋の中に飾ったら、まるでもうひとつ新しい窓ができるようだわ!」(ヨー)
画家と画商のゴッホ兄弟に、パリの日本人画商のパイオニア・林忠正とその弟子・加納重吉が深く関わっていく。
近代絵画の大きな分岐点となったジャポニズムと印象派。
そこにたゆたえども流れる熱い情熱と友情。
蕩々たるセーヌの流れが、常に変わることなく見守り続けてくれている。
アートを通して描かれる、原田マハの人間賛歌。
電子書籍
ゴッホ
2018/11/30 17:31
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:なま - この投稿者のレビュー一覧を見る
ゴッホと弟のテオのお話である。日本人画商、重吉については本当の話ではないと分かっているが、そんな事もあったかもしれないと思いながら読み進む事ができた。