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不思議な不思議な話
2024/10/03 13:40
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投稿者:ふみちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
ネタばれ
第171回芥川賞受賞作品、作者は医師でもあるのでこのブラックジャック的な奇妙な世界にも信ぴょう性が生まれる。主人公の父親は胎内性胎児としてこの世に生をうけた(兄の体内でシシャモのように1年間を過ごす)、これはまた大変な物語だなと覚悟を決めて読み進めると、それどころではなく主人公(たち)は結合双生児で、全てがくっついていて顔面も違う半顔が真っ二つになって少しずれている、共通の膣をもっているからセックスは一人は気持ちが良くても、一人にはレイプとしか感じられない。オオサンショウウオに見えてくる白と黒の陰陽魚がくるくる回って一つになる、二人で一つ。一つの体に一つの意識、あたり前のことだけど、彼女たちはそうではない、片方が死んだときだけその瞬間が訪れる
医師としての当事者性?
2024/07/15 00:17
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投稿者:はぐらうり - この投稿者のレビュー一覧を見る
今の医師作家のなかでもっとも好きな朝比奈さん。今回も設定は凄まじいが筆致の安心感で没入できる。ベトちゃんドクちゃんが印象深く記憶されている世代なのもあるのかもしれない。
「分人」が2人住んでいる身体。意識と自我が複雑に絡み合って、でも当人たちはあまり複雑に捉えず受け止めようとしている。
芥川賞は受賞しておかしくない実力者。どうしても『ハンチバック』以降は当事者性が意識されてしまうだろうから、難しいところ。どちらにしても、今から選評が楽しみ。
意識と身体の関係がいりまじって脳内で動き回るような話
2024/07/25 20:02
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投稿者:みつる - この投稿者のレビュー一覧を見る
芥川賞受賞作品というだけあって、
所々で、頭が追いつかない部分がありましたが
なんとか読了。
結合児とのあらすじで読み始めたので
やはり想像してしまうのは
ベトちゃんドクちゃんのような体型ですが
作中の杏ちゃん、瞬ちゃんは
頭までぴったりつながった結合児として登場します。
なかでも印象的だったのが
文通をするシーンで、文通相手に
自分は結合児なんだと打ち明けたら
イラストが送られてきて、全然違うと
2人で楽しんでいるような感じがする場面です。
双子でよく、話さなくても意思疎通ができるとは
よく聞きますが、これも同じ感覚なのでしょうか。
後半になるにつれて、死についてかなり哲学的な話になり
今この思考は、杏視点なのか、それとも瞬視点なのか
身体の死は、結合児の場合
意識の死だとしたら、その判断はどう診断されるのか
死ぬことは、おそらく結合児でもそうでなくても変わらない
身体から意識が離れていくだけだとしたら…。
怖くないのか?でもやはり死ぬことは恐ろしさがあり
最後に、お互いがちゃんとお互いを認識できていて
ホッとしました。
医療系の話は、難しさと、考えささられることが多いです。
わたしにはわかりにくかった芥川賞受賞作
2024/11/29 07:08
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投稿者:夏の雨 - この投稿者のレビュー一覧を見る
第171回芥川賞受賞作。(2024年)
この回の芥川賞は2作の同時受賞ということで話題になったが、2つの作品の色合いの違いには驚く。
朝比奈秋さんの受賞作『サンショウウオの四十九日』の主人公は、29歳の杏と瞬という双子の姉妹だが、彼女たちの場合双子といっても「結合双生児」で、一つの身体に二つの人格をもっているという設定である。
穿った見方かもしれないが、芥川賞という文学賞にもそういう側面があって、今回の受賞のように二つの作品ながらまったく違う世界をもっている、そのこと自体が朝比奈秋さんが描こうとしたものに近いともいえる。
ただし、読み手からすれば、松永K三蔵さんの受賞作『バリ山行』の方が読みやすくしっくりとくるのではないか。
朝比奈秋さんの作品は読み手がどう映像化するかで悩むような気がする。
つまり、「結合双生児」の姿が映像化できない。
それは彼女たちの父親もそうで、彼は生まれたばかりの兄の身体の中で胎児として成長し誕生したという。「胎児内胎児」というらしいが、この設定も理解しにくかった。
選考委員の一人、川上弘美さんは「わからなかったそのことを隠していない」とこの作品を一番に推したそうだが、平野啓一郎さんの「大胆な着想の割に、思想的成果が乏しい」という選評の方がしっくりくる。
結合の双子
2024/09/17 19:39
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投稿者:エムチャン - この投稿者のレビュー一覧を見る
この作家さんはドクターだからこそ、これが書けたのだと思いました。主人公の二人、結合双生児の瞬と杏は、頭までくっついているためお互いの思考内容が分かる、といいます。この結合の二人って……。深いお話でした。
困惑から始まる
2024/08/21 00:20
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投稿者:uruuduki - この投稿者のレビュー一覧を見る
予備知識無しに読み始めると、語る人物がどうも?となって、困惑をする。
その状態も読み進めるうちに、共有する体の内で互いの思考が行きつ戻りつしているのだと分かり、分離手術の可能性が無い姉妹の因子が父親からだろうか?といった疑問を持ちながら最後まで行った。
ところで、「サンショウウオ」が今一つ話の内容に合わないような気がして、おそらく京都などの次第による葬式などから、陰陽の話を絡めてなのでは?と勝手な想像をしてしまったが、何かと専門的な知識を求める作品だった。
ただ、こういった話は、どうもベトナム戦争における土壌汚染などが想起されて、複雑な気持ちになる。