隠蔽捜査(新潮文庫)
著者 今野敏
竜崎伸也、四十六歳、東大卒。警察庁長官官房総務課長。連続殺人事件のマスコミ対策に追われる竜崎は、衝撃の真相に気づいた。そんな折、竜崎は息子の犯罪行為を知る――。保身に走る...
隠蔽捜査(新潮文庫)
商品説明
竜崎伸也、四十六歳、東大卒。警察庁長官官房総務課長。連続殺人事件のマスコミ対策に追われる竜崎は、衝撃の真相に気づいた。そんな折、竜崎は息子の犯罪行為を知る――。保身に走る上層部、上からの命令に苦慮する現場指揮官、混乱する捜査本部。孤立無援の男は、組織の威信を守ることができるのか? 吉川英治文学新人賞受賞の新・警察小説。
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ありえない総務課長の行動だが、つい引き込まれるストーリー展開
2008/03/09 22:00
10人中、9人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ドン・キホーテ - この投稿者のレビュー一覧を見る
この物語はテレビドラマ化されている。あいにく私は見損なったが、テレビ化されるだけのことはあるストーリーであると思う。
冒頭から描かれている主人公、竜崎伸也はあまりにも正直な性格なのか、皆から変人扱いされる。正義を主張し過ぎるように見えるのである。おそらく、この感覚は時代とともに変化していくものであろう。逆に言えば、現代はあまりにも不正直で、偽りに満ちた世の中であるといえよう。昔はここまで歪んではいなかったはずである。ごまかしや隠蔽、偽装だらけで始末に終えない。
竜崎は、警察庁長官官房総務課長である。これは誰でもが就けるポストではない。官房の総務、人事、会計の三課長はまさに警察エリートコースの入口である。これを歴任した者の将来はある程度保証されているといってもよい。
総務課長の重要な仕事にマスコミ対策がある。組織下に広報室を擁するのもそのためである。同期生に警視庁刑事部長がいる。この2人の関係を軸に、ストーリーは展開する。
たしかにマスコミ対策は広報室に属し、広報室は総務課に属する。しかし、総務課の仕事はこれだけではないはずだ。その割には主人公は広報やマスコミ対策に力を入れ過ぎている。実際はこんなこともないし、現場に出かけるということもないであろう。だいぶ誇張があるようだ。案外、刑事ドラマに影響されているのかも知れない。
あまりこれをやると、信憑性が失われてしまう。しかし、小説である。真の姿に近付けようとすると、逆に面白みが半減するのだろう。実際にはなくとも、あるように描くのも小説家の腕であろう。
同期生同士の交流、家庭の問題、揉み消し、ある事件を通して、本書は警察キャリアの実相を表現しているといってもよい。その実態があまり世間に出てこないキャリアの考え方、行動が描かれているのだが、その真偽のほどは分からない。しかし、小説としては結末も放り出さずにしっかりとまとめられている。それがあまりにも都合のよい結末であってもである。
最高!
2015/02/18 19:47
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ロゴ - この投稿者のレビュー一覧を見る
ドラマもすごく見応えがありました。杉本哲太さんと古田新太さんの掛け合いについつい惹き込まれていきました。
竜崎の原点
2022/11/30 22:29
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:lucky077 - この投稿者のレビュー一覧を見る
隠蔽捜査シリーズの第9作を読んだので、最初のころの話を読みたくなり再読しました。やはり第1作は主人公・竜崎の人となりが描いてあり、面白かったです。
「国家公務員たるもの国をつつがなく運営し、守っていく義務を負っているま。いざという時は、真っ先に死ぬ覚悟をしている。国を守るということは命懸けなんだ」という言葉は、今後の竜崎の行動、生き様を支えていると思いました。
一人の誠実な男の生きざま
2020/10/13 07:14
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:トッツアン - この投稿者のレビュー一覧を見る
続編のドラムを見て、面白いので最初から読みたく購入。
回りからは変人と言われる主人公竜崎だが、単なる上昇志向やエリート志向ではなく、官僚として警察組織、国を支えることに誠実に生きている(少し極端かもしれない)。官僚でなくなれば、それ以外には何も出来ない弱点も知っている。只管、官僚としてやるべきことにまい進している姿が、窮屈ではあるが好ましく清々しくもある。
幼馴染の伊丹との経緯や遣り取りがどこか可笑しい。
家庭を顧みなかった竜崎が自分の信念を貫き、最後は父親らしく振舞ったことに拍手。妻の冴子の内助の功に最大限の拍手。よい夫婦だと思う。子供たちも結局は竜崎を尊敬しているのだろう。こういう家庭は珍しい。
警察小説ではあるが、黒川博行の現場サイドの動きを追ったものとは異なる視点で面白いと同時に、家庭がよく描かれた小説でもあった。満足!
続編も読んでいきたい。
最初は、いやなやつと
2018/05/20 09:10
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:たあまる - この投稿者のレビュー一覧を見る
今野敏という作家は、ST警視庁科学特捜班シリーズをドラマで知って読み、碓氷弘一シリーズ、スクープシリーズ、樋口顕シリーズと読み、隠蔽捜査シリーズにたどりつきました。
シリーズ第1作の『隠蔽捜査』は、だれにも変人と言われるキャリアの警察官僚が主人公。
最初は、いやなやつと思うのですが、だんだん面白みが出てくる。
読み終わって、よーし、このシリーズまだまだ読めるぞ~と先が楽しみになりました。
面白い!
2016/01/25 00:12
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ゆゆこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
連続ドラマを見てから全巻買って、読みました!
主人公の原理原則を大切にして行動するところが好きです
周りから変わり者と呼ばれてしまう主人公がシリーズを通してだんだん人間らしく(笑)なりそうでならないところにハマりました!
まずはここから!
2015/10/23 13:19
1人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:のっち - この投稿者のレビュー一覧を見る
キャリア官僚をテーマとした警察小説。
自分の原理原則に従うあまり変人と言われる主人公の竜崎。
豪放でいて実はちょっとナイーブな幼馴染の伊丹。
二人の人物描写が秀逸。ぶれない二人が微笑ましく愛おしい。
人気シリーズの第一作。まずはここから!
原理原則の人
2015/08/19 22:23
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:shooting-star - この投稿者のレビュー一覧を見る
今野敏さんの本はそれまであまり読んだことがありませんでした。この隠蔽捜査シリーズの2「果断」を読んで、主人公・竜崎伸也のキャラに引き込まれ、シリーズ全編購入。この「隠蔽捜査」はその1作目です。
警察庁のエリート官僚である竜崎は、常に原理原則に則り行動しています。上司に対してもおかしなことは堂々と言うのですが、それが竜崎が言うと変に納得してしまいます。幼なじみの刑事部長・伊丹にも昔いじめられた記憶から、非常に冷たい態度をとるのですが、困ったことがあると伊丹は竜崎を頼り、意見を求めるんですよね。何者にもへつらうことがなく、正しいと思うことを貫く竜崎の話を読んでいると、本当にすっきりします。
視点の違いが面白い警察小説
2019/01/03 15:09
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:りんごさん - この投稿者のレビュー一覧を見る
こちら、シリーズ1冊目!警察ものだけどキャリア官僚の話。ドラマや小説では悪役的立場がお決まりのポジションだけど…
今野敏さん、初読みでしたが良かったです。
竜崎は東大卒のエリート官僚。警察庁で長官官房の総務課長として忙しい日々を送っていた。
そんな中、ある連続殺人が起きる。被害者にはある共通点が。そして容疑者と思われる人物が浮かんだ時、警察組織は大きく揺れ動く。
そして竜崎自身もある個人的な事件で危機的状況に。果たして竜崎は、そして警察組織はどんな決断をくだすのか。
まず最初の数頁で思ったこと。「何、この竜崎ってやつ!やなやつ!」
「まさか、この人が主人公じゃないよね?…え?まさかの主人公?」
この時点で完全に心掴まれてました。読み進めていくうちに、「あれ?竜崎ってそんなにやなやつではないかも」…「あー、こういう考えか、なかなかやるじゃん!」…「なんか、竜崎、かわいい…」
頁を捲る手が止まりませんでした。
2巻がまた新たな展開になりそうで楽しみ!
シリーズ的にはここからなのかもですね!これは必然的にこの先を追いかけてしまいます。
真面目で変人と言われる竜崎だけど、自分の仕事に対しての誇りと芯の通し方はカッコイイ。かといって頭が固すぎるわけでもない。
すっかり竜崎ファンになってしまいました。
警察小説シリーズもの
2018/10/30 16:48
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:端ノ上ぬりこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
竜崎伸也は、エリート警察庁長官官房総務課長。マスコミ対策担当。原理原則の変人で、当然嫌われている。連続殺人らしい様相の事件で、竜崎は現役警察官が犯人では、と疑い始める。小学生時代同級生の伊丹も、キャリアだ。ただし竜崎が東大卒であるのに伊丹は私大卒。しかも竜崎は伊丹の仲間からいじめを受けており、一番いやな相手。その伊丹と情報交換することに。
警察小説でも、主人公は嫌味な人物。しかも変人。だが、原理原則を貫くエリートが、実際どのくらい官庁にいるのかとても知りたくなった。始めのイメージがだんだん変化していく感じがいい。次が早く読みたくなる。
一味違う警察小説
2018/09/14 06:52
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:美佳子 - この投稿者のレビュー一覧を見る
現場の刑事の活躍ではなく警察庁のキャリア官僚を描くところが普通の警察小説とは一味違っています。
主人公は警察庁長官官房総務課長の竜崎伸也(46)。連続殺人事件のマスコミ対応に追われながら、事件の真相(現職警察官が犯人)に気づき、隠蔽という愚によって警察機構の威信が地に落ちるのを防ぐために奔走します。一方、浪人中の息子がヘロインを吸っている現場を発見してしまい、対応に悩みます。エリート意識は強いものの、建前や原則を守る一本気な姿勢によってかなりの変人扱いを受けていますが、こういう官僚ばかりならばさぞや日本という国もましな国になるであろうと思えるような好人物です。同僚の伊丹刑事部長に小学校の時にいじめられていた恨みを抱き続けているなど大人気ない所もご愛敬ですかね。
庁内の勢力争いや様々な人間関係の縺れなど、現実にどれほど即しているのかは分かりかねますが、臨場感とドラマがあり、中間管理職としての葛藤などがひしひしと伝わってくる素晴らしい筆致です。
竜崎夫人は専業主婦で、最初はなんというか世間体とかそういうのに囚われているタイプの人なのかと思いましたが、なかなか肝の坐った味わい深いキャラで感心してしまいました。
現場の一匹狼が官僚的警察組織に牙をむくというよくあるハードボイルドかと思っていたがなるほど吉川英治文学新人賞受賞作品だ
2008/07/18 15:27
5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:よっちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
エライ奴はワルイ奴である。
使命感が欠落している薄汚い奴だ。
権力欲・金銭欲の権化であり、ありついたポストは絶対に手放さない。
そのエライ・ワルイ奴を現場密着型のはみ出し野郎が徹底的に痛めつける。この爽快感がまぁ警察小説のひとつの典型といってよい。
だが、そうしたこれまでの警察小説の定石を手玉にとって、型破り、驚きの作品だった。まったく新しいヒーローの誕生である。警察内部の不祥事をテーマにした警察小説は数多くあり、この作品も同じなのだが、著者の切り口の斬新さに脱帽。
鼻持ちならないエリートというのがいる。
主人公竜崎伸也、46歳、東大卒、警察庁長官官房総務課長となれば出世コースの先頭に立っている。
東大以外は大学ではないと彼は思っている。
部下を決して信用しない。疑り深く行動も発言も慎重だから陰険に見える。
こうして竜崎伸也は物語の冒頭で鼻持ちならないエリートの印象で登場する。当然のことだが現場の人間からは嫌われる。
しかしその一方
「彼はこう考えていた。エリートは、国家を守るため、身を捧げるべきだ。私はそれに従って生きているにすぎない。」
偽者ではない、つまりノーブレスオブリージュに徹することのできる本物のエリートなのだ。
「組織を揺るがす連続殺人事件に、竜崎は真正面から対決していく」
事件の真相を隠蔽しようとする警察組織のベクトルに逆らうことになるのだから今後の順調な出世はおぼつかなくなる。お偉いさんの反感を買い、目下や現場のものからはつまはじきにされる。私大での同期生である伊丹は小学校時代に同級生だったこともあってこれもまた胡散臭い存在だ。四面楚歌、周囲にもみくちゃにされながらも信念を貫こうと苦闘する男の物語である。
ストーリーも面白いのだが、あるべき官僚の理想像と嫌味たらしいエリート意識が混在するカリカチュアライズされたユニークな人物造形がこの作品の魅力を倍加させている。
家庭内ではどうか。家の中のことは全て妻に任せる。息子は東大受験を押し付ける。娘が大阪府警本部長の息子と付き合っているのは自分にとって都合がいいことだ。あぁこれは一昔前の通俗小説によくでていた「企業戦士の家庭」なんだと、実に懐かしい思いがした。
よく考えてみればこれはサラリーマン中間管理職の苦悩を描いた非常に親しみやすいテーマなのだ。彼にとって都合が悪いことには息子がとんでもないことをしでかす。身近に起こりえるかもしれない家庭内不祥事に「あなたならどうする」と読者は問題を突きつけられることになる。
新機軸の警察小説であると同時に笑いと涙の感動ホームドラマでもある。
蛇足ながら私の友人がそうだったが、昔の大蔵省にはこういう本物のエリートがいたものだ。
ネタバレあり
2023/11/07 17:04
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:うさぎのみみ - この投稿者のレビュー一覧を見る
先に「同期」シリーズを読んで「隠蔽捜査シリーズの方が面白い」と感想を見たのでこちらも読んでみました。
東大出、法律、警察官、正義、ルール、という枠から絶対に出ることのない主人公。ある事件をきっかけに公私ともに窮地に立たされ、その枠組みから出なければならないかもしれない…というお話でした。人間的魅力は半分くらいまで読まないとあまり感じません。むしろ同期で幼馴染の捜査一課の刑事の方が魅力的に感じます。結局、すべてさらけ出して正直に不正を隠蔽しないということが彼の人生の全てであり、そこがなんだか面白いようなつまらないような…不思議な感じでした。
一番すごいのは。。。奥さん
2016/11/18 11:15
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:maki - この投稿者のレビュー一覧を見る
宰領よんでて、竜崎さんって、どんなふうに左遷になったんだっけ・・・と読み始め。
ほんと、最初の方に描かれる竜崎って、食えないヤツだと思うけど
伊丹さんとのぎくしゃく加減も半端なく、でもこうして再び友情が芽生えたのね~。
息子君も、立派になって!!って感慨ひとしおの1冊ですね。
やっぱり、奥さんがステキだわ^^