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電子書籍
大奥(5)
著者 よしながふみ
五代将軍・綱吉の御台所が、京から呼び寄せた右衛門佐。家光が寵愛した有功の後、長く空席だった大奥総取締の座を手に入れた彼の目的は…!? そして、後継ぎのいない綱吉を巡り様々...
大奥(5)
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大奥 第5巻 (JETS COMICS)
商品説明
五代将軍・綱吉の御台所が、京から呼び寄せた右衛門佐。家光が寵愛した有功の後、長く空席だった大奥総取締の座を手に入れた彼の目的は…!? そして、後継ぎのいない綱吉を巡り様々な思惑が…!?
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紙の本
稀代の娯楽性と思想性を兼ね備えたマンガ作品 映画だけじゃなく原作も読んでほしい
2010/08/04 21:30
9人中、8人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:鬼島 空 - この投稿者のレビュー一覧を見る
「疫病によって男子人口が減少し、公的な役割をすべて女性が担うようになった日本」という設定の本作。「男女逆転大奥、女将軍のもとに美男が3千人」というその宣伝文句から、女性向けキワモノマンガだと思う人も多いように思うのだが(そして、それはそれで事実であるが)、しかし本作は、エンターテイメントであると同時に、非常に質の高いジェンダーSFでもある。というか、おそらくは思いつきに過ぎなかっただろうこのキワモノ設定から、作者は力業で、「人間にとって、生物としての自然と、文化や歴史とはどのような関係にあるのか」という人類学的な問いを展開していくのだ。本作は今年、第1巻のみが映画化され公開される予定だが、しかしその真価が現れるのは2巻以降であり、第2巻以降を読み進める読者は、男女逆転大奥という笑い事のような設定を楽しみながらも、「男女逆転大奥は本当に可能なのか」という笑い事ではない問いに向き合わざるを得なくなるだろう。そしてその問いは、「人間の構築する権力の制度(=文化)というものは、人間の生殖機能という自然から逃れられないものなのではないか」という問いにつながっているのだ。
第5巻の主人公は第五代将軍「家綱」。三代目将軍の父の身代わりとなった「家光」に引き続き、男女役割逆転の第二世代を担う。既に公的なものの女性への移行があらかた終了した「元禄期」にあって、有能で可愛らしく傲慢な家綱は一見、権力者であることと女性であることを問題なく共存させているように見える。「公=男/私=女」という二項対立が逆転した後なのであるから、女であることと権力者であることに矛盾はあるはずもなく、家綱には一見、第一世代の家光のような女性性の否定や苦悩は存在していないように見えるのだ。にもかかわらず、「将軍といえども閨で大奥の男たちをその気にさせなければ始まらないのであるから、可愛くなくてはいけない」という父の教えが、生涯にわたって家綱に影を落とす。この世界では、最高権力者自身が「生む性」であり、血統の持続のために生むことを要求される。閨というもっとも私的な空間で「欲望される客体」であることが、最高権力者・家綱を傷つけ続けるのだ。母となったときに権力者へとテイクオフしていった家光に対し、母になることに失敗した家綱は生涯、「欲望される客体」であることから逃れられず、権力者へのテイクオフに失敗する。「もっとも私的なことがもっとも政治的なこと」とは、フーコー以降、ジェンダー系研究のドグマみたいなものだが、「家綱」という問題系は驚くべきやり方でこのドグマを血肉化されたドラマとして展開していて、閨という私的空間と政治との連関をつきつける。権力とは、つまるところ多くの女を自由にできるということとイコールなのか。権力の根幹には、逃れがたい自然が潜んでいるのか。
ジェンダー研究がしばしばテクスト上の思弁的空中戦に感じられてしまうのに対し、マンガである本作では、具体的登場人物によって思考は肉化され、登場人物たちは逃れがたい問題系をその身体で生きる。大奥という極端な舞台に、男女逆転という馬鹿馬鹿しいまでの捻れをかけることで本作は、身体と政治とのつながりを、社会科学に可能な深度を超えて問いつめることに成功しているように見えるのだ。また本作では、鎖国といった史実が、男女逆転した世界の論理に見事に組み込まれた形で生じていく。その史実の料理の仕方が実に高度である。この第5巻で著者がどのように料理するのかが楽しみになってくるのは、生類憐れみの令及び赤穂事件であるが、ネタバレを避けて一言言及しておくと、その出来映えは、「生類憐れみの令とは本当にそういう理由で起こったものなのではないか」などと一瞬思ってしまうほどであった。
まずエンターテイメントとして素晴らしく、そして読者を深く考えさせもする。『大奥』は、私にとって、マンガのある国に生まれてよかったと心の底から思わせてくれる現在進行形のマンガ作品のなかでも、その筆頭なのである。
紙の本
身にしみて深い漫画。ストーリーが実によく練り上げられていて、めっちゃ面白いです。
2009/10/06 16:00
7人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:東の風 - この投稿者のレビュー一覧を見る
江戸時代は徳川幕府の正史(実際の歴史)に対して、「日本男子の人口が女子の四分の一にまで激減。それに伴って、女将軍が誕生。大奥もまた、男女比逆転の世の中そのままに、美貌あるいは切れ者の男子で構成されるようになる」 if もしも・・・の江戸時代を描いた漫画。ストーリーが実によく練り上げられ、考えられていて、読みごたえがありますね。殊に、女将軍それぞれの性格描写と行動、大奥はじめ、将軍側近の人間たちが織り成す運命的な出会い、人間模様などが深いところまで掘り下げられていて、めっちゃ面白いです。
シリーズ第五巻の本書では、五代(女)将軍・徳川綱吉が君臨する元禄時代という設定。前巻のラストで大奥総取締の座に就いた右衛門佐(えもんのすけ)の活躍、愛する我が子を失った綱吉の惑乱と狂気、赤穂浪士の討ち入り(別バージョン)の話がメインとなっています。
なかでも印象に深く残ったのが、主要登場人物の邂逅。本巻のラスト、女将軍同士の一度きりの出会いを描いた場面もよかったけれど、格別、素晴らしかったのは、三代(女)将軍・家光公のもとで活躍したふたりが再会する場面。本シリーズ第三巻においては、密接に、深く関わっていたふたりの人生が、ここでは「何と遠くまで来てしまった事か」。カッコ書きにした家光公の台詞(第四巻 p.28)も思い出されて、なんや、しみじみしてしもたなあ。ふたりがたどった人生の変転、浮き世を離れた人生と世俗にまみれた人生の対比が鮮やかに描き出されていて、心にしみる味わいがありました。
絵という点で言えば、同一人物でも、若い頃と年をとってからの顔つきが描き分けられているのが凄いっすねぇ。綱吉の風貌の変化など、本当に見事。本の中で人間が年をとるってこういうことなんだなあと、ひとりの人物の一生に立ち会っている、そんな気持ちになりましたから。
紙の本
美しい綱吉
2023/06/29 17:01
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:mk - この投稿者のレビュー一覧を見る
綱吉は美しく色っぽく、男たちは皆恋してしまうというのがわかります。本当は頭がよく能力もあったのに、お世継ぎを作ることに専念すればいいと言われて政から遠ざかり、良い家臣にも恵まれなかったのが残念に思います。
電子書籍
老い方の違い
2023/01/25 22:24
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ao - この投稿者のレビュー一覧を見る
大飢饉や男性激減による変革など、生きることに必死だった家光の代とは異なり、ある程度安定した暮らしが出来るようになったからこその権力争い、父の期待と母としての悲しみに憔悴していく綱吉が悲しかったです。俗世を捨てた有功と俗世の権力争いに染まった玉栄の老い方の違いが印象的でした。
紙の本
受け継ぐ…
2023/01/25 17:02
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:るう - この投稿者のレビュー一覧を見る
かつての玉栄たる桂昌院の影響から逃れられない綱吉。
綱吉に世継ぎを産むことを期待する桂昌院
たしかにそこに父性愛も感じられる。
もしかしたらあの春日局の妄執を色濃く受け継いでいるのかもしれない。
綱吉にとって大奥は華やかな地獄そのものだろうに。
玉栄が若紫を殺した影響がこんなところで!
電子書籍
綱吉
2021/08/18 16:54
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ねこにゃんこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
ただ世継ぎを産むことだけを求められた女将軍たち。綱吉は、父親の干渉が酷すぎて、可哀想な人生だと思うが、その影響を受けざるをえない国民も悲惨だ。晩年の有功と玉栄の再会のシーンは見られてよかった。
電子書籍
綱吉編(その2)
2020/10/06 17:40
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:aya - この投稿者のレビュー一覧を見る
いよいよ「生類憐みの令」が出てきた第5巻。この作品はあり得ない空想SFを描きつつ、江戸時代の史実や文化は忠実に再現しているところが面白い。赤穂浪士による吉良亭討ち入りも当然描かれた。
電子書籍
父親っていうものは、、、
2020/03/13 21:39
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:qima - この投稿者のレビュー一覧を見る
子供を無くした娘と、たった一人の父と。綱吉をめぐる人たちの業の深さ。いろいろ怖くて、切なくて。最後に出てくる吉宗だけが一服の清涼剤。
電子書籍
有り得るもしも
2020/01/07 00:50
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:uruuduki - この投稿者のレビュー一覧を見る
もしもこうであったらという話は多いが、さすがに、歴史の裏で、男であった人が女であったら、それもこれだけ大規模にとなると少ないのではないだろうか。しかも、そうなった理由づけが、もしかしたら本当に有るかも知れないといった話だけに説得力が有り、話の厚みとともに、引き込まれる作品だ。
実際、過去に連載をたまたま少し読んだ時に、これは凄いのではと感じて、いつかはまとめて読んでみたいと思っていただけに、読み始めたら第五巻まで一気に読んでいた。
電子書籍
毒親
2017/12/29 16:14
1人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:pope - この投稿者のレビュー一覧を見る
ネタバレあり。
桂昌院が毒親過ぎて、綱吉が気の毒になってきた。
もう子供など産めないのにまだ期待される綱吉・・・
秋本が実妹と関係して他の女との間に子供を作りたくなくて大奥に入ったのと対照的。
紙の本
5巻
2017/10/14 21:55
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ぽんぽん - この投稿者のレビュー一覧を見る
生類憐れみの令とか赤穂浪士の吉良邸討ち入りとか。
男女逆転なんだけど、いろいろ歴史の勉強にもなる…かな?
紙の本
大奥
2015/09/05 06:56
1人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ぽぽ - この投稿者のレビュー一覧を見る
映画化もされたマンガです。男女逆転ということ以外は歴史にもとずいてストーリーが進んでいくので読みやすいです。
紙の本
面白いよ
2015/09/05 06:50
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:タタ - この投稿者のレビュー一覧を見る
赤穂浪士の吉良邸討ち入りなどの歴史的な事件がわかりやすく描かれていて勉強にもなります。おもしろいですよ。
紙の本
男女逆転
2015/07/31 21:46
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:しましま - この投稿者のレビュー一覧を見る
男女が逆転している江戸時代の話。この巻から読み始めました。面白かったので1巻から全部買いそろえようと思います。
電子書籍
痛々しく美しい
2023/11/09 15:48
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ぽんぽん岩 - この投稿者のレビュー一覧を見る
徳川十五代将軍でも知ってるひとが多い第五代将軍綱吉
病で仕方がないとはいえ、男性社会だったのに、女性が中心となった社会の歪みみたいなものが感じられます。
史実が活かされた流れで違和感なく武家の女子相続が決定され、その後廃止されるも男子を排除することが慣習化されたんですね。