バッタは群れることを知る
2022/06/16 18:31
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投稿者:nekodanshaku - この投稿者のレビュー一覧を見る
私の生活に直接関係はないかもしれないが、サバクトビバッタに関する研究の報告はとても興味深く面白かった。時に大量発生し、農作物を広範に食べつくす害虫らしいが、それはバッタの群生相がもたらすものだ。「害虫も数を減らせば、ただの虫だ」とはよく言ったもので、バッタの生態をしっかりと研究することにより、生物の多様性のバランスをうまく取れるようになるのだろう。日常生活に溢れている面白いことにいかに気づくことができるかが、研究者だけでなく、現代を生きる人が、生き切るために重要だと感じた。
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投稿者:咲耶子 - この投稿者のレビュー一覧を見る
『バッタを倒しにアフリカへ』『バッタを倒すぜアフリカで』で感銘を受けたのでこちらも。
難しい研究も分かりやす明るい文章で楽しく読める。
楽しそうに研究してらっしゃるけど、内容も環境もすっごく過酷。尊敬する。
遠い国の災害だけど、絶対に全世界に影響している問題だと思う。
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投稿者:BB - この投稿者のレビュー一覧を見る
ベストセラーになった「バッタを倒しにアフリカへ」の著者が、その5年前に刊行していた初の著書を新書化したものだそうです。
言ってみれば、研究書。
その中でも興味深いのは、著者について書かれた部分。
バッタに関する研究を始めるきっかけは、小学生の頃に感じた「自分もバッタに食べられたい」という思いだったとか。アフリカのモーリタニアで、農作物に壊滅的な被害を及ぼす害虫サバクトビバッタの研究に「人生を捧げる」と宣言し、その後に至る。バッタの話しも興味深いが、そんな著者の人生も興味深い。
注意書きをよく読んでお読みください
2022/07/15 12:57
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投稿者:ヤマキヨ - この投稿者のレビュー一覧を見る
「バッタを倒しにアフリカへ」の前史である本書は、買う前に冒頭の「注意書き」をよく読むことを筆者も進めています。「バッタを・・・」とはテイストが違う、学術書の色合いが強いからです。昆虫の研究とは、こんな地道な作業の中で進められるのかがよくわかりました。
誰でもとっつきやすい内容というわけではないので、あえて3点。
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アッサリ味の「バッタを倒しにアフリカへ」とは違って本書はコッテリ系だぞ、といきなり読者をビビらせる前書きに、恐る恐る読み始めたが、杞憂だった。
とんこつ味や二郎系は苦手な自分だが、充分楽しく読めた。濃厚だけどクドくないし、臭くない。
むしろ論理や論旨が明快で非常に分かりやすく、とても食べやすかった。いや、読みやすかった。
他の解釈や異論反論が出ないよう、確実に抜け穴を塞ぐ精緻なロジックで実験と考察を重ねていく姿が素敵だ。
まるで、良くできた推理小説を読むような爽快感と納得感がある。
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「一杯のラーメン」を「まえがき」にかえて
はじめに
第1章 運命との出逢い
一縷の望み/師匠との出逢い/サバクトビバッタとは?/黒い悪魔との闘い――絶望と希望の狭間に/相変異/コラム バッタとイナゴ/コラム バッタ注意報
第2章 黒き悪魔を生みだす血
相変異を支配するホルモン/白いバッタ/ホルモンで変身/授かりしテーマ/ホルモン注射/触角上の密林/論文の執筆/コラム バッタのエサ換え/コラム 伝統のイナゴの佃煮
第3章 代々伝わる悪魔の姿
補欠人生に終止符を/目を見開いて/代々伝わるミステリアス/コラム バッタ飼育事情/消えた迷い/相蓄積のカラクリ/仮説の補強/コラム バッタ研究者の証
第4章 悪魔を生みだす謎の泡
常識の中の非常識/戦慄の泡説/疑惑の定説/揺らぎ始めた定説/定説の崩壊/逆襲のサイエンティスト/理論武装/打っておくべきは先手、秘めておくべきは奥の手/一三年にわたる見落とし/追撃/戦力外通告後の奇跡/飼育密度の切り替え実験/論争の果てに/束縛の卵/えげつない手法/真実は殻の中に/研究はアイデア勝負/コラム 真実を追い求める研究者
第5章 バッタde 遺伝学
紅のミュータント/バッタでメンデル/顕性の法則/分離の法則/隠された紅の証/消えたミュータント/独立の法則/バイオアッセイ/成長という名の試練
第6章 悪魔の卵
悪魔を生む刺激/Going my way 己の道へ/博士誕生/混み合いの感受期/感受期特定実験①長期間の混み合いの影響/感受期特定実験②短期間の混み合いの影響/混み合いの感受期のモデル/バイオアッセイの確立/壁の向こう側/混み合いがもつ三つの刺激/バッタのGスポット/塗り潰し実験/切除実験/昔話「バッタの耳はどこにある?」/カバー実験/Physical or Chemical factor 物理的もしくは化学的な要因/最短の混み合い期間特定実験/こする回数/目隠しを君に/あの娘にタッチ/接触刺激の特定実験/育ちが違うバッタにも反応するのか?/異種にも反応するのか?/暗闇事件/孤独に陥る闇の中/闇に光を/光り輝く夜光塗料/不可能を可能にする魔法「ルミノーバ」/光るバッタ/光を感受する部位の特定実験/夢を信じて/体液の中に/ドロ沼/アゲハの誘惑/異常事態/カラクリだらけのホルモン仕掛け/セロトニン/コラム 虫のマネをするファーブル/コラム 一寸の虫にも五分の魂
第7章 相変異の生態学
なぜ子の大きさが違うのか?/力の差が出るとき/瞳を見つめれば/ルール違反の発育能力/掟破りの産卵能力/海を越えて/コラム 先住民の住む森/国際学会/運河の孤島 バロ・コロラド島/コラム 栄冠は手をすり抜けて/エサ質実験 ①発育/エサ質実験 ②成虫形態/エサ質実験 ③産卵能力/切り倒すか、たたき倒すか/コラム ミイラが寝ているその隙に/男たるもの/一皮むけるために/Dyar’s law ダイヤーの法則
第8章 性モザイクバッタ
奇妙なバッタ/オスにモテるがメスが好き/コラム 図の美学
第9章 そしてフィールドへ……
バッタの故郷/夜にまぎれて/砂漠の道化師/バッタ狂の決意/旅立ちのとき/いざアフリカへ/ミッションという名の闘い/トゲの要塞/己の力を試すとき/決戦/食うか、食われるか/ウルド誕生/新たなる一歩/忘れられた自然/アフリカで研究するメリット/サバクトビバッタ研究を通して/伏兵どもが夢の中
おわりに
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筆者の初著作。2作目の「バッタを倒しにアフリカへ」が大ヒットしたので新書化されたエピソード1。
バッタについて真摯に立ち向かっている事が伝わってくる一冊。筆者がファーブルに惹かれたように本書も研究職の魅力を伝えてくれる。気をてらった内容が流石に一作目は少ないので好感を持って読める。
こういった科学本は笑いと真面目な研究の部分のバランスが難しい。本書は二冊セットでちょうど良い味付けのように思われる。
本書の最終章のモーリタニアのフィールドワークからあのベストセラーを産んだ企画に携わった方々の慧眼も素晴らしい。
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ある学生が修行を経て、世界へ羽ばたく。アフリカの危機に立ち向かう話。
問題は解決はしてないけど、希望を感じられる内容で読後感が良かった。研究が好きな人なら楽しめるのではないだろうか。
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著者が前書きにも後書きにも書かれている通り、専門知識の入門書という位置付の新書としては、ものすごく専門性が強く、なかなかかみつきにくい。実際、つまみ食いで進んでしまった。
ただ、文章自体はとても面白く書かれており、読者が楽しく読み進められるよう苦心されているように感じた。
続編の『バッタを倒しにアフリカへ』も面白かったので、専門性を多少残しつつ、文筆業も継続していただきたい。
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「バッタを倒しにアフリカへ」の前日譚?的なかんじ。より研究内容も詳しく書かれている。
おもしろく書いてあるけど、本当のとこは地味で投げ出したくなるような作業が大半なんだろうと思う。
それでも続けられるのは、やっぱり新しい何かを見つけられた時の感動や楽しさがあるからなんだろうな。
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コッテリアッサリ論争に従い、快速・読み飛ばしコースを選択!
最初は頑張っていたけれど実験データ難しい…
途中から斜め読みハイパーで進めました。
とは言えやはり面白いところは面白い。
高校で習った生物が、本当に生きた法則として自然界で成立する様が分かるのはわくわくした。
虫好き高校生、是非読もう。
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前作ではバッタの話が盛り沢山なのを期待してた派だったのでものすごく楽しめた
母親が過ごす環境に応じて産む子供の特性を変化させてるなんて、考えてもみなかったので感動だった なんか人間もそうらしい(妊娠中ダイエットなどで栄養が少ないと胎児が発現させるDNAを変えたりするらしい?よくわからないけど それで少ない栄養で太りやすくなったりする)というのをテレビで見たばかりだったので、生き物ってすごいなーって思う
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あれ、この本、東海大出版で出ていた(らしい)やつだな、『バッタを倒しに〜』でモーリタニアのフィールド初日の様子はここにかいてある、と説明されていたな、と思い、手に取る。
※その時点では、表紙のキャラクター(!⁇!)には気づいてなかった。
読み始めてから、作者のまえがきに納得。
たしかに本書はこってり味。素人あてに広く浅く読みやすい作風だった『バッタを倒しに〜』とは対照的だった。
でも本人が、疑問、実験の手順を考える、師匠に相談、思いつき、実験、結果、考察、師匠に相談、工夫、実験、考察、と繰り返す様子が本当にたのしそう。
相変わらずユーモアあふれ、チャレンジ精神も旺盛、そして謙虚。
研究者とはタフだなあと思う。
師匠が、前野さんの論文へのライバルの反撃というか屁理屈に対して、「じゃあ次の論文で息の根止めて完全に沈黙させてやるよ」的なことを仰っていてカッコ良かった。
そのライバルとも別に共同研究もしなくもないし、人間関係は良好ぽい。
登場する先行論文がなかなか古くて(19世紀のものまで出る!)、このジャンルの歴史と、生物相手の学問の時間の流れをおもった。
パナマ旅行、面白かった。
バッタの餌やりは大変ですね。
専門的な話が続くけど、論理は明快なので読むのには困らない。
素人の私からみれば、へーー、こういうことを疑問に思うんだ?それで実験しても毎回この結果が出た理由はこれ、それともこれ?とずっと深みに入っていくんだなあ、果てしない…と思った。
余談だけど、これを書くために、スマホの変換に、前野、といれただけで、ウルド浩太郎、とサジェスト欄に出てきてびっくり。すごいなあー。
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著者の「バッタを倒しにアフリカへ」の前段階、大学院受験に失敗してからポスドクとしてモーリタニアを訪れるまでが描かれている。何をきっかけ実験を計画し、どのように解析し、次の実験をどのようにデザインしたかを細かく、しかもある程度分かりやすい言葉で説明されている。この本を読んで、著者がいかに田中先生から大きな影響を受けたかが分かった。田中先生との出会いは運命的であり、著者の進路を明確に示してくれたのであろう。理系研究者としてのこの手の本、もっとたくさん世の中に出てきてほしい。
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「バッタを倒しにアフリカへ」の前著。サバクトビバッタが大群になる仕組みを追求した記録。「バッタを倒しにアフリカへ」が万人受けするあっさりラーメンだとしたら、本書は少しとっつきにくいかもしれないけど病みつきになるこってりラーメンとのこと。地道で丹念な研究結果には、敬服しかない。