紙の本
昭和のエッセイでも気持ちいい風のよう
2020/05/30 08:24
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投稿者:夏の雨 - この投稿者のレビュー一覧を見る
ある作家のファンになると、その人の書いた作品を全部読みたくなるものだ。
だから、その作家の作家歴というか、書いてきたどの時点でファンになるというのが結構重要になってくる。
よく「同時代」作家という言い方をするが、そういう作家の場合、本が出る都度読んできたはずだから、作家の作家歴と共に歩んだことになる。
村上春樹さんの場合だ。
村上さんが『風の歌を聴け』で作家デビューしたのが1979年。もう40年以上前になる。
その年に生まれた人が村上さんの作品を読み始めた時にはすでに村上さんはたくさんの小説やエッセイを発表していたことになる。
ましては、『騎士団長殺し』からファンになった人にとっては、読む作品に困らないくらいたくさんある。
安西水丸さんのイラストが素敵なこのエッセイ集の場合、雑誌連載が1984年からで、単行本になったのが昭和61年、新潮文庫に入ったのが平成2年、そして今読むとして令和の時代。
なんと三つの時代をスイスイと泳いでいることになる。
平成生まれの人にとって、村上さんの本といっても、昭和のエッセイになる。
でも、「同時代」作家の村上さんを読んできた者としては、この頃の村上さんのエッセイ(そして、安西水丸さんのイラスト)はとっても面白い。それにおしゃれ。
爽やかな風を感じる文章は、平成の時代に読んでも心地いい。
村上さんの新しい読者にも必ず読んで欲しいエッセイ集である。
紙の本
水丸さんのカバーが素敵
2023/06/27 15:52
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投稿者:a - この投稿者のレビュー一覧を見る
村上春樹さんの文章は言わずもがなで、何年間も費やしてしんどい長編小説など書かなくても、こういう連載仕事だけで十分生活できそうな気がします。
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カエルと午後
2013/05/02 00:26
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投稿者:きいろ - この投稿者のレビュー一覧を見る
眠る前に気楽に読める本。前書きにあるように、お酒が飲めれば、お酒飲んだときの気分、などと言いたくなりそう。きれいな女の人がいれば、言うことなし。
最後の文章、「ランゲルハンス島の午後」は、あったかい春の空気、柔らかい地面、それの優しい感触が伝わってきて、なんで文章でこういうものを表現できるの?と不思議に楽しい。
紙の本
村上さんの小確幸
2002/07/08 14:24
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投稿者:くみこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
人生における小さくはあるが確固とした幸せ、略して小確幸。
村上さんは、
「引出しの中にきちんと折ってくるくる丸められた綺麗なパンツが沢山つまっている」
のを小確幸のひとつにあげている。
こんな小確幸にかこまれた人生を想像してほのぼのしてみたり、
「ニュースと時報」の章では、
タクシーの中の村上さんと一緒ににこにこしたり。
くすくす笑いや大笑いのページがあるかと思うと、
ページを繰る手をふととめてしまう章もある。
静かに読んでいても、心の中はけっこう忙しい。
めくるめく感情の起伏じゃないけれど、
悲しくないのに涙がにじんで、
懐かしいやら楽しいやら、複雑な心境。
何とも言えないこの読後感は
「切ない」という感情に似ている気がする。
わたしにとっての小確幸は、こういう本です。
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こちらも安西水丸さんのカラーイラスト入り。このシリーズにとりつかれてしまったように読んでしまった。あまりにもおかしくてぷっと吹き出してしまう内容なので、電車の中などでは読まない方が賢明だと思う。私のお気に入りは、『ONE STEP DOWN』、『UFOについての省察』、『猫の謎』である。
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お風呂場の方から「あははは」と笑い声が聞こえたので何かと思って見てみたら、
恋人がこれを読みながら笑っていた。
タイトルのとおり(かどうか本当のところは知らないけど)、
日曜日の晴れた午後に似合うエッセイ。
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エッセイ、というか、小文集ですね。馬鹿馬鹿しいものから、グッの胸に染み込むものまで。いつもとはちょっと違う水丸画伯の鮮やかなイラストもなかなか気持ちいい。表題作「ランゲルハンス島〜」は、深いリリシズムに満ちた柔らかな傑作。
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村上春樹の中で一番、構えずに読める本。
エッセイ。
これがエッセイだと思った。
ココロが暖まるはずだ。
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これも安西水丸が絵を担当。作者曰く、文章が「気持ちの良いなじみのバーのカウンターで、友達に手紙を書いている」ような性質を帯びるらしい。『シェービング・クリームの話』『小確幸』あたりが「らしい」。
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カフェーで読んでいて、つい「うふふ」笑ってしまうようなエッセイです。哲学としてのオンザロックも、小確幸も何気ないのに妙に自分に照らし合わせて合点してしまった。
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緩い雰囲気なちっちゃいエッセイがいっぱいある。うちの母親が唯一私から借りて読んだ本。気軽に読めていい。
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内容(「BOOK」データベースより)
まるで心がゆるんで溶けてしまいそうなくらい気持のよい、1961年の春の日の午後、川岸の芝生に寝ころんで空を眺めていた。川の底の柔らかな砂地を撫でるように流れていく水音をききながら、僕はそっと手をのばして、あの神秘的なランゲルハンス島の岸辺にふれた―。夢あふれるカラフルなイラストと、その隣に気持よさそうに寄り添うハートウォーミングなエッセイでつづる25編。
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これも安西水丸さんと組んで女性誌に連載したもの。
薄いながら、前ページフルカラーで、安西さんのイラストもふんだんに盛り込まれてて見ていて楽しいおしゃれな一冊でした。
でも、「象工場〜」とは趣きが違うよね。こっちはやっぱり「女性誌」で掲載されていたなぁという雰囲気が漂っている。
でも、「村上朝日堂はいほー!」に感じた不快感はないね。
詳しい年代順は判らないけど、多分こっちの方が新しいんじゃないかな?
なんというか、「どの程度自分の考えを書くと不快にならないか」という「こつ」みたいなのを村上自身が理解して来たように感じるんだけども(まぁ、字数の問題もあるだろうけどね(笑))。
それと安西さんと一緒の本って、村上のエッセイの文章も楽しそうな感じがするな。
たとえば、一人の場合を「ひとりごと」とすると、安西さんとの共作の場合は「近しい友達に話を聞かせる」という感じがする。具体的に「受け取る側」がいる事によって、文章がリラックスして踊っているような感じがするのはなんでかなぁ〜。
安西さんのイラストも、村上の文章の内容と「一見関係なさそう」で「でも文章のイメージを広げていく」不思議な力を感じる。この一連の共作を目にするまで、安西さんのイラストをちゃんと見た事がなかったんだけど、しみじみ、「すごいなぁ」と思ってしまった。
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人生における小さくはあるが確固とした幸せ、「小確幸」は素敵な造語ですね。
村上さんに好かれるためにも、地図を上手く描けるようになろうかな。
いやーそれにしても「ONE STEP DOWN」の店名はセンスあるなぁ、うん。
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11冊目
「レストランの読書」
”静かな喫茶店”や”午後のレストラン(この場合静かで、明るくて、すいていて、椅子の座り心地がよくて、ワインと軽い前菜だけでも嫌な顔をしない店)”をいくつか確保していると日常は思いもかけぬほど滑らかにすすんでいく。
雑誌の特集には書いていないもので、細かい現実的情報は自分の足でコツコツと探して頭に刻みこんでいくしかなくて。
それはわたしにとってのごはんメモと同じ位置付けのものになるのかな。なんとなく。
「小確幸」
ズボンのことをアメリカ風に「パンツ」と呼ぶようになったので、ときどきその下にはく従来のパンツをなんと呼ぶべきなのかわからなくなってしまうことがある。
ウム。これはわたしもいつも思う。そしてたまに困る。
「ランゲルハンス島の午後」
「『ぽかぽかとした』という形容がぴったりする、まるで心がゆるんで溶けてしまいそうなくらい気持の良い春の午後」が目に浮かぶ。
春が待ち遠しくなる。「キョウチクトウ」がまたキタね。「めくらやなぎと、眠る女」にも出てきね。なんかきになる植物だね。
というわけで、この本は上記3つの話が特に印象深く残ってるかしら。