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ニュークリア・エイジ みんなのレビュー
- ティム・オブライエン (著), 村上 春樹 (訳)
- 税込価格:1,045円(9pt)
- 出版社:文芸春秋
- 発売日:1994/05/10
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文庫
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紙の本
愛おしい作品
2021/07/29 22:14
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ichikawan - この投稿者のレビュー一覧を見る
この作品が大傑作といえるのか、といえば留保せざるをえない。ティム・オブライエンにはこの他に文句なしの傑作がある。しかしこの作品はどこまでも感情を揺さぶる愛おしい作品なのである。訳者村上春樹による注の域を越えた注も楽しめる。
紙の本
読みやすい作品
2019/01/28 23:01
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投稿者:ふみちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
1989年にこのティム・オブライエンの作品を村上春樹が翻訳した。村上氏の翻訳のいいところは、読みやすいところ、ただ読者は村上春樹氏自身の小説を読んでいるような錯覚を覚える。しかし、この作品は読みやすいがそんなに村上氏が翻訳したという姿があまり出てこないところがいい(「やれやれ」という村上ワールド語も使われているがあまり気にならない)。作品の内容はアメリカが核兵器をソ連との戦争に本気で使おうと思っていた時代の話。ベトナム戦争のことはあまり詳しくないのだが、分厚い訳者の注によってホローしてもらえた。
紙の本
そして、私も遅れてやって来た「ニュークリア・エイジ」であった
2001/04/03 23:55
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:読ん太 - この投稿者のレビュー一覧を見る
1960年代に青春時代を送った主人公「僕」は、ヴェトナム戦争の徴兵を拒否して逃走する。革命を起こさんとする大学の仲間達に加わり行動するが、何に対しても「僕」には確固とした信念を持つことができない。「僕」の頭に確固として存在するものは「核兵器は実存する」ということだけだ。
意気高らかな同志の革命活動も、ヴェトナム戦争の終結に向けて穴の開いた風船のようにしぼんでいく。
「僕」は意中の人を手に入れて結婚する。かわいらしい子供も授かる。だが、「僕」の心に平和が訪れることはなかった。なぜなら、「核兵器は存在する」からだ。
彼が取った、一見奇妙な行動とは?
事の起こりが判然とせず、結末もまた判然としない。不思議な雰囲気が漂う。
ヴェトナム戦争について仔細に記載されているわけではないのだが、これほどヴェトナム戦争について理解できる読み物も少ないように思う。世界の覇者を気取って、関係のないことに首をつっこんで起こしたヴェトナム戦争。資本主義下であろうと、トップが決定を下したことに関しては、国民は大なり小なり引きずられて行かざるを得ない。
JFK、ジョンソン、ニクソンなどの歴代大統領が少しつながった。ブラックパンサー、ヒッピー、イッピーなんかも漠然とわかった。当時大ヒットした歌で、今日でも耳にするものの背景を知り、「いいメロディーだわ」と思いながら聞いていた自分がおかしくなった。マクナマラ他多くのヴェトナム戦争に関わった人達の名前も列挙されるが、本書にはただの1人の英雄も出てこない。
広島、長崎の歴史を背負う国に生まれ、「私は何をのほほんと暮らしているのか!?」と思った。これからの自分の暮らし方が変わるわけではないが、頭の中のスイッチを1つパチンと入れてもらえた。
最後に本文から一部引用してみます。これを読んで皆さん、どう思われます?
暗い映画館で君はバターのかかったポップコーンを食べている。誰かが叫ぶ。「核戦争だ!」と。
君は笑う。
でも「火事だ!」というのはどうだろう?
ポップコーンなんか放り出して一目散に逃げ出すだろう。
さあもう一度想像してほしい。「核戦争だ!」というのを。