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オーデュボンの祈り みんなのレビュー
- 伊坂 幸太郎 (著)
- 税込価格:880円(8pt)
- 出版社:新潮社
- 発売日:2003/11/28
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紙の本
荒削りな面もあるが伊坂氏のもっとも得意とするところである卓越した伏線張りがデビュー作からたっぷりと堪能できる。
2005/07/10 00:12
5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:トラキチ - この投稿者のレビュー一覧を見る
ご存知、今をときめく伊坂幸太郎のデビュー作。
文庫化にあたりかなり改稿されたとのこと。
伊坂作品はまるでトレンディドラマを観るような感覚で楽しく読める。
私は氏がもたらした読書離れに対する功績はとてつもなく大きいような気がするのである。
本作はデビュー作ながら、伊坂氏のもっとも得意とするところである“卓越した伏線張り”が堪能できる。
内容的にはファンンタジックなミステリーと言えよう。
仙台から少し離れたところにある100年以上も鎖国を続けている“荻島”に、コンビニ強盗を失敗し逃亡中の主人公伊藤は連れ去られているところから物語が始まる。
荻島に住む人々がなんとも奇想天外で度肝を抜かれる。
嘘つきの画家園山、体重300キロのウサギさん、島の規律として殺人を繰り返す桜など・・・
個人的には架空の島である荻島に住む優午という“カカシ”の幻想性と彼をとりまく奇抜だが憎めない人物と、現実に伊藤を追いかけるために手段を選ばない残忍な警察官・城山とのコントラストが一番の読ませどころであり、作者の弱者への暴力の否定に対する願いがこめられているような気がした。
シュールな世界の中に現実感をもたらせた作者の意図は読者に十分に伝わるのである。
余談になるが、作中に“名探偵”に対する定義的な表現があるのであるが、本当に的を射ていてドキッとさせられた。
やはり伊坂幸太郎は読者の小説に対する“世界観”を変える凄い作家である。
少し物足りない点を書かせていただいたら、やはり主人公(というか語り口)が個性的でないこと。
島に滞在して成長を遂げたとか、あるいは強盗を起こしたことの反省であるとか、また恋人静香とのもう少し詳細な過去とか・・・
前述した名探偵的な役割を担っていると解釈するべきであろうか・・・
結論として近作に見られる軽妙洒脱な文章も本作においては多少なりとも不完全なような気もするのであるが、その後の伊坂氏の見事な成長振りを実感するためにはやはり必読の1冊だといえそうだ。
あと登場人物がリンクするので古い作品から順に読まれた方がより楽しめるのも間違いのないところであろう。
私の感想には何の伏線もありません、あしからず(笑)
活字中毒日記
紙の本
シュールで軽妙で奇妙な浮遊感覚
2005/03/26 20:14
3人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:オリオン - この投稿者のレビュー一覧を見る
どことなく高橋留美子の世界を思わせる、シュールで軽妙で(高所恐怖症の人間ならきっとゾッとするに違いない)奇妙な浮遊感覚が漂うユーモア・ミステリー。殺されるのは、鳥を唯一の友とする、優午という名の喋るカカシ。優午は未来を予測することができるが、未来を変えることはできない。それはちょうど小説の中の名探偵のようなもの。事件の真相を解明することはできるが、犯罪を止めることはできない。舞台は、江戸時代以来ずっと鎖国のまま、ただ一人の「商社マン」によって外界とつながっている荻島。島には古くからの言い伝えがある。それは「この島には何かが欠けている」というもの。先に探偵役が殺されてしまうという、倒叙ならぬ倒錯したミステリーにふさわしい捻れた時空。これをファンタジーや寓話と受けとってしまうと、この作品は楽しめない。記号を、それが意味するものにおきかえて事足れりとするなら、それは論文を読むのと同じこと。意味すること、あるいは謎の解明プロセスそのものを楽しむのでなければ、小説を読む意味がない。たとえ、記号に意味がないとしても。あるいは、真犯人がいないとしても。
紙の本
いいなあ、このカバー。単行本より文庫版のほうが上じゃあないかなあ。もしかして小説の中味もそうだったりして。今、もっとも注目されている作家の一人、伊坂のデビュー作、心して読もう、驚くぞ
2003/12/02 20:21
4人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
世の中には、自分の時代感覚が試されるような本が存在する。例えばウィリアム・ギブソン『ニューロマンサー』、これはコンピュータ時代の幕開けを告げる作品と評判だったけれど、出版当時の私には全く理解できなかった。楽しむ以前の問題。それに比べれば、P・K・ディックなどは易しい、ヤサシイ。
その点、推理小説の場合は簡単だ。話が理解できないときは、90%は作者の未熟さが原因だ。文章上の表現能力もあるけれど、自分でも何を書いているのかわからないんだろうなあ、というのを見かけたものだ。特に、10年前の京大生の諸君、わかるかね、君たちだよ、といっていれば安心できた。
ところが、何と京都大学ならぬ東北大学から、そうした私の心の平穏を脅かす作品が現れた。いま、『重力ピエロ』が評判の伊坂幸太郎のデビュー作がそれだ。いやあ、ぶっ飛んだ。東北大学には革命児が出るとは聞いていた(たとえば新しいところで田中耕一、西澤潤一、大見忠弘などがそうだ)けれど、文学では佐藤賢一の登場以来といっていい。
主人公の伊藤は、幼い頃から同級生の城山に苛められ続けてきた。それは城山が警察官となった現在も変わらない。その悪縁から逃れるために伊藤が向った仙台沖の荻島は、江戸時代以来、鎖国に近い状態。いや、それでも本土との定期便はあって、限られた人間だけが行き来しているという。
そして島には、口を利く案山子 優午がいる。彼?は島の人々の未来を予言するが、その彼がある日、殺された? なんと言ったらいいのかなあ、話が見えるようで見えてこない。おまけに恋人静香と伊藤の置かれた状況が変である。ともかく人間関係が普通ではない。正直200頁あたりまで読んだところで、読むのをやめようかと思った。
でも我慢はしてみるもの、300頁あたりから何故か慣れて来る。未来を予知する案山子は、何故自分の死を予知できなかったのか。伊藤は、迫る城山の追求の手を交わすことが出来るのか。城山の魔の手が伊藤の恋人 静香に迫るあたりで、話自体は嫌な展開ではあっても、何となく楽しんでいる自分を発見する。
謎解き部分はガチガチの本格。でも、どこか変。それが分っているだけに、困る。新潮ミステリー倶楽部賞受賞で、しかも問題作とあるのが納得できる。もしかしてこれってファンタジー? むむう、珍しく新潮社が「外したか」という感じ。それなりに読むことが出来るだけに、踏絵の前に立たされたような気がしてならない、お、お代官様、ゆ、ゆるしてけろ、だね。
これに比べれば舞城王太郎は、その才能の凄さも含めて、まだ分りやすい。それにしても、話をする案山子が殺される本格推理小説なんて、あんまりぶつかりたくないなあ。わたしゃ、前衛、苦手なんだよね。
紙の本
天才バカボンの世界
2013/06/03 10:58
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ジミーぺージ - この投稿者のレビュー一覧を見る
登場人物の個性をいかに想像するかがこの本の面白さだと思う。私は、赤塚不二夫の天才バカボンの世界を感じました。
紙の本
オーデュボンの祈り感想
2017/07/08 19:39
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:右ソルデ - この投稿者のレビュー一覧を見る
伊坂幸太郎先生のデビュー作。
どういう頭をしていたら、どういう経験をしていたらこういう発想になるのだろうかと思う、かなりシュールな設定。
何気ない、断片的なことが私にはつながらないまま物語の終盤で急速につながりだす。この伏線の回収の仕方は凄いと思った。
カオス理論、ミステリー小説の主人公の役割の伊坂先生の解釈、面白かった。
紙の本
不思議な世界
2014/12/22 00:15
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:UMI13 - この投稿者のレビュー一覧を見る
異次元に迷い込んだ感じ。
もとの世界に戻るにはどうしたらよいのだろうかと考えつつ読みました。