紙の本
危機から逃れる手段
2019/09/14 20:46
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投稿者:コンドル街道 - この投稿者のレビュー一覧を見る
崩壊した社会を取り上げた上巻に対し、問題解決に成功した社会とその要因、更に現代における危機と、それを乗り越える為の方策を書いた下巻。
リベラルにありがちな観念論や企業悪玉論を徹底的に排した解決策は必読。
日本についても触れられているがオリエンタリズムを徹底的に排した論調なので好感。
紙の本
生き残った文明の原因を検証します!
2019/01/04 11:02
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投稿者:ちこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、古代文明の崩壊及び維持についてその原因を様々な視点から考察した画期的な書です。上巻は方秋下古代文明についての記述が主でしたが、下巻では危機に瀕しながら、的確に状況を捉え、維持してきた文明、例えば、徳川幕府の育林政策で森林再生を果たした江戸時代の日本、過酷な人口制限で社会のバランスを保つティコピア島などを題材に、それらが維持できた要因を解説してくれます。なかなか興味深く、読み応え十分な書です。
紙の本
文明を崩壊させないためには…
2017/04/29 12:14
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投稿者:コスモス - この投稿者のレビュー一覧を見る
「銃・病原菌・鉄」をも凌ぐボリュームになる本書。
崩壊した文明と、崩壊を回避し成功した文明との差について、膨大なデータや資料を基に考察しています。結論としては、その土地の環境にあった(環境を壊さないような)社会システム(政治制度や経済制度)を構築することが重要であると著者は考えていると思います。
もちろん、そのほかにも重要なことは多くありますが、それについては本書をご覧ください。
(上巻とレビュー内容は同じ)
紙の本
現代社会の未来は、崩壊か存続か? 私たちにできることとは?
2017/03/26 21:18
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投稿者:たまがわ - この投稿者のレビュー一覧を見る
上巻では主に、崩壊した社会について考察されていた。
下巻ではまず、崩壊しないで持続した過去の社会について、考察。
その中には江戸時代の日本が、森林管理を厳格に行うことによって
結果的に社会の崩壊を免れたという話も紹介されている。
そして、現代の問題。
アフリカのルワンダで近年起きた大虐殺の背景について。
一つの島を東西に分け合うドミニカとハイチの明暗について。
中国とオーストラリアで現在進行形の環境破壊について。
そして、今後の世界はどうなるのか、
将来に向けて個人に何ができるのか、などの考察。
世界の将来について著者自身は、「慎重な楽観主義者」であると言っているが
本書を読めば、相当な危機感を持っていることは分かる。
私は、現代の文明は少しずつ衰退に向かっていると読書前に思っていたが、
本書を読んで、もっと急速に近い将来に、混乱と社会の衰退が訪れるかもしれない、と思うようになった。
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一言「長ぇーー」
しかも、サクサク読める内容でもないので、読み終える頃には最初の方の内容を忘れてるし。
上巻より下巻の方が面白かった気がするが、個々の具体的な記述に関しては間違いが多いという指摘もあり。
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歴史上、文明崩壊の危機は多々訪れているし、崩壊した文明も少なくない、ということを再認識。(特にこの本で触れられてはいないけど、日本の大和政権以前や中世戦乱期も崩壊の危機だったのか)
その文明の歴史自体が続いて当然、と思って過去を眺めていたことに気がついた。現在の立場からの知識で見ていてはいけないな。
また環境面や経済的な問題にも目を配る必要性も感じさせられた。
価値観の転換、という部分がとても興味深い。
価値観をどうするか(守り続けるか捨てるか)でその社会の将来が決まる。
その選択の理由もまた探れるのではないのか。選択の主体は個人ではないから、全く自由に選べるわけではないはず。
少なくとも先進国では、教育は広まっているし、現在は過去の社会よりも正しい選択が行われる可能性は高いのではないかな。
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「〜文明は滅びて、〜文明が栄えました」を、詳細に多角的に推測。
歴史の副読本に!
かつ、現代の諸都市にもフォーカスをあてるので、ちょっと怖くもなる。
ゲンダイブンメイは滅びました。。。って言われたくないなぁ。
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上下巻を読み終えて…。
唸るほどに面白い。
2005年に書かれたものだが、古さは感じない。
現状を言い当てられているようだ。
『ある社会(文明)は、何故崩壊したのか』、滅びのメカニズムを分析して、そこに普遍性を見いだし、将来進むべき道を模索していく。
特に、下巻の第3部、第4部は興味深い。
【第3部 現代の社会】
第10章(アフリカ ルワンダ)
第11章(ドミニカ、ハイチ)
第12章(中国)
※最近ニュースで取り上げられている大気汚染についても書かれている。
第13章(オーストラリア)
【第4部 将来に向けて】
第14~16章は、本書を際立たせている。
『先進国の住民が現在享受しているライフスタイルを、あらゆる人が切望した場合、世界にどのような影響が及ぶのか?』
我々がとるべき行動とは何かを問いかけてくれた。
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過去の文明崩壊の原因として環境破壊がいかに多かったか、というところから、現代社会における環境問題に個人個人がもっと関心を持つように、という結論。
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話題となった著作『銃・病原菌・鉄』で、「人類の歴史をこんな形でとらえることが出来るのか」と、目を開かせてもらった学者、ジャレド・ダイアモンド。
その後続となる著作が文庫化されていたので、取り組んでみることにしました。
「文明」について、その興隆と滅亡を分ける要因とはなにか。
イースター島など、滅亡した文明や、厳しい環境のなかで存続している文明を分析することで、その答えを模索しています。
もともと、「環境破壊と文明の繁栄」についての研究というのが始まりだったようなので、その面での考察に多くのページが割かれています。
上下間合わせて1100ページに及ぶ大著。
論点も多岐に渡るため、簡単にまとめるべきではないとは思いますが、全体を通じて僕が受け取ったのは以下のようなことです。
・人間が生きていく上で、衣食住に関わる資源は、間違いなく必要なものである。
・かたや、文明が繁栄すると、人口は増える。
・人口の増加に対して、資源の調達が追いつかなくなると、その文明は滅びる。
文明存続に成功した事例として、江戸時代の政策によって高い森林占有率を保っている日本も、挙げられています。
物流の発達により、世界的に資源のやりとりができるようになった現在の世界では、上記の考え方に加えて、経済的な優位性と安全保障という切り口が加わるのかな、などということも考えました。
ひとつひとつの事例も興味深く、膨大な知識をもって書かれた著作なのだなあと感じる力作でした。
この後の著作も発表されているようなので、文庫化を待って読んでみたいと思います。
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自分たちの文明が崩壊しないためにできることはあるのか、最後に著者が問いかける。
考えさせられる本の一つでした。
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時代や国を縦横無尽に駆け巡り、知性と感性に訴えかけつつ現代への警鐘を鳴らす。
久しぶりに、本当に、読むに値する本に出会った気がする。
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ホテル・ルワンダで有名なツチ族80万人(ツチ族の4分の3)の大虐殺は、単にフツ族との民族紛争でなく、過密になった人口圧力と飢餓によって同じ民族同士で殺しあったという。
アフリカで人口が急増したのは、北米原産のトウモロコシ、豆、サツマイモなどがアフリカにも取り入れられ、食料生産が飛躍的に拡大したことがあげられる。
ところが、足し算でしか伸びない食料生産の増加は、掛け算で伸びる人口増加のスピードに追いついていない。
衛生状態が改善されて、抗生物質や予防接種が乳児死亡率を低下させたこと、マラリアなどの風土病も抑止されたこと、国家が統一され、国境が定まったことによりこれまで無人地帯だったところも居住可能になったことなどから、ケニアなど人口が毎年4%も伸び、17年で人口が倍増している。
過密になった人口が農地開拓や森林伐採によって環境を破壊したことが、イースター島や、古代マヤ文明、ノルウェー領グリーンランドの文明が崩壊した原因だった。 「世界はひとつの干拓地」だ。 環境破壊による文明の衰退は現在のオーストラリアや中国、ハイチとドミニカ共和国でも静かに進行している。
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本当に読む価値のある本は少ない。本書はその一つである。
かつての滅亡した文明を分析し、一番の要因は環境破壊にあったと解く。自然科学的なアプローチで、世界の歴史、滅亡の歴史を必然として説明する。そして、現在進行中の環境破壊に対しても、警鐘を鳴らす。人類は歴史に学び、人類の滅亡から免れることが出来るのか?
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文明がどのように姿を消したのか、また生き残るために社会がすべき意志決定について興味をもち手に取る。
あまり興味のなかった環境問題の本を読んで、重大な意志決定を行う(長期的な繁栄と存続のため)には多面的に捉えることが重要であることなどをはじめ、物事の見方に大きく影響を受けました。
上巻の内容の総括もふまえると、
世界で人口の増加が進む中で食糧消費が増大し、
それをまかなうために有限な資源(森林、海洋生物、農地)から
再生可能量を超える過剰な生産を行うことで資源が枯渇していく恐れがある。
これからの未来を人類がどう歩むべきかについてを現在発生しているいくつかの問題を例に挙げて論じている。
上巻を踏まえても、国家や人類が長期的に存続していくためには、抱える問題をしっかりを捉え、短期的な利益だけを追求することなく、長期的に安定した利益を得られるような意志決定をしていくことが必要であることがわかる。
国家は政治、経済を豊かに保つために様々な問題や情勢を踏まえて短期的、長期的に政策決定をしていくのだが、国内が抱える問題の規模などから短期的利益をもたらす選択を高い優先順位にすることが多いだろう。
また現在の社会はグローバルに結び付き、資源などを相互依存しているため
一国の利害を考えるだけで意志決定を行うことは非常に難しい。
依存しあっているからこそ、ひとつの国で起こった問題の影響は波及していくことは過去の金融危機などからも明らかであろう。
これは環境問題でも同じである。
一つの有限な資源が枯渇したり制限がかかることは、多くの国に影響を与えることにつながる。
長期的な繁栄を考える上で、環境問題は様々な利害関係が複雑にからみあっており、有限な資源をめぐっては、場合によっては双方ないしは全員に利益をもたらす選択をする、またはそのような選択を準備することは難しいだろう。
これらを成し遂げることは容易ではないが、対応するために2種類の選択があると筆者は述べる。
・政府の徹底したトップダウン型の対策措置の実施
・地域や人民によるボトムアップ型の対策措置の実施
トップダウンには厳格な統制機構と、それを行う社会の風潮(適切な言葉がわからないです)、そして最低限の経済の発達があるように思う。
個人的には共通の利害関係の認識をもった国民が自主的に問題を発見し、それを防止・解決するために活動をしていくボトムアップの方が望ましいと思われるが、
それには国民に共通の認識が必要であるしどちらも組み合わせてこそだとも考える。
日本は国土の70%以上を森林を持つ国であるが、国でつかわれる木材はオーストラリアから輸入し被害を他国に押し付けているとの記載があったがショックを受けた。
このようなことからも、物事には一面的にみることができないことはたくさんあるということを気づかされました。
複雑な問題を抱える現在の社会を生きる人にとって、解決策を考えるためのヒントになる本���と感じた。
ぜひいろんな人に読んでほしいです。