- 現在お取り扱いが
できません - ほしい本に追加する
- 予約購入について
-
- 「予約購入する」をクリックすると予約が完了します。
- ご予約いただいた商品は発売日にダウンロード可能となります。
- ご購入金額は、発売日にお客様のクレジットカードにご請求されます。
- 商品の発売日は変更となる可能性がございますので、予めご了承ください。
紙の本
受験生にコーヒー・ブレークとして本書を…、甘いか、
2007/01/09 12:25
6人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:栗山光司 - この投稿者のレビュー一覧を見る
ここに登場する高校生時田秀美君は、あまりにも恰好良すぎる。勉強ができないからと言って、アホだとは限らない、むしろ、勉強ができるんだけれどアホな輩は沢山いる。でも同じ高校生でも四方田犬彦の『ハイスクール1968』(新潮社)に登場する高校生達は勉強もできるけれど、アホではない、勿論、格好悪いヤツもいるけれど、処世に長けた優等生ぶりを発揮している。それは東京教育大学農学部附属駒場高等学校という超有名校という舞台だと言う特殊だけでなく、1968年という時代性もあるでしょう。
でも、山田詠美の本書の舞台は多分、1970年後半から80年初めが時代背景にあると思う。1959年生の作者自身が小学校に通い始めたのが、1968年以降位でしょう。それ以前と、それ以降は教育現場はがらりと変わったのではないか、その70年、80年、バブルの夢体験が刷り込まれて、とにかく富をかき集めなければ幸せはない、経済成長だけが人びとの幸せを呼び込む。
そんな価値観がバブル崩壊しても人びとに共有され、学校現場でも受験科目に対応したテストの点だけの競争原理が教育指針として打ち立てられる。悩んだり、戸惑ったり、ぐるぐると同じところを行ったり来たりすることは負け犬に一歩近づく。世の中に、疑念を差し挟んで批評する躊躇は、一歩の遅れを取ってしまう。そんな迂回は許されない。「青春」なんて甘っちょろいことを言っちゃあおしまいよ、ってことになるのでしょう。
でも、何のために生きる?、お金のタメ、愛のタメという臭い問いを立てると、臭くともやっぱし愛のタメと言うのがマットウな感性でしょう。中には「夢実現」のタメという至極マットウな答えもあるでしょう。でも、その夢の中身がない、お金がそこそこあるんだけれど、小遣いをもらえて不自由がないんだけれど、愛のカケラはない(異性にもてない)。そんな空虚を埋めるためにとにかく「夢実現」と言ってみる。そのような寒々とした青春を一笑に付すモテモテ男の秀実君なのです。
おじいちゃんと同居の母子家庭で母親は編集者という仕事をこなしながら、お洒落で恋多い女。じいちゃんも助平爺。と言っても息子の秀実もショットバーでアルバイトをしながら、ちゃっかりと女店主の桃子さんと性と愛の手ほどきを受けている。学校ではサッカーをやっており顧問の先生にも愛されている。桃子もじいちゃんもここぞと言うときは的確なアドバイスを秀実君にする。全くカッコウのいい家族なのです。あまりにも格好良すぎる小説なので、何かイヤミを言いたくなるのですが、そんな粗探しは徒労だと思う。素直に本書を味合いたい。
僕の好きなエピソードに秀実君が小学校の頃、教頭の白井先生との「生きているのと、死んでいるのって、どう違うのですか?」っていう問答がある。教頭はワイシャツの袖を捲り上て腕を出す。秀美は白井の腕に噛みつく。血が滲む。「どうだ、時田、先生の血は?」/「あったかくって、ぬるぬるします。変な味がする」/「それが生きていることだと」
本書の主調音は身体性だと思う。結局、「身体」を拠所にするしかないのではないか、そこから倫理が立ち上がると作者は言いたげだ。
「生きている人間の血には、味がある。おまけに、あったかい」/「じゃ、死ぬと味がなくなっちゃうんですか?」/「そうだよ。冷たくて、味のないのが死んだ人の血だ」/へえっと、驚きの声が上がった。/「だからな、死にたくなければ、冷たくって味のない奴になるな。いつも、生きている血を体に流しておけ」
歩行と記憶
紙の本
自然体を装う
2023/04/18 09:01
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Koukun - この投稿者のレビュー一覧を見る
しっかりとした自我を持っている、そしてその自我を客観視している or 客観視していると信じている主人公の造型が非常に魅力的である。もっと若い頃にこの作品を読んでいたら、感銘の受け方もよりいっそう深かったのだろうなと思う。
ただし、番外編の分度器の章は余分だと思う。語り口も本編とは全く違うし読後感も良くない。
紙の本
高校時代っておもしろい
2022/08/07 19:46
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:わかめ - この投稿者のレビュー一覧を見る
子供達が、何を感じ考えているか、大人に真剣に意見を述べていることに気づかせてくれた。自分も子供時代があったのに、このことを忘れて価値観を押しつけていたことを反省した。でも、読み進めると楽しくなるストーリーである。
紙の本
イイオトコの卵
2002/07/22 22:00
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ごまた - この投稿者のレビュー一覧を見る
主人公の秀美君は17歳の高校生。勉強は出来ないけれど、女性には良くモテる。
母親と祖父は秀美君の良き理解者で、勉強よりも大切なものがあると、教えてきた。
秀美君がモテモテなのは母親の教育の賜物。母親は、素敵な男性になるように、
秀美君を育ててきた。秀美君はショットバーで働く年上の桃子さんと恋愛中。
桃子さんもとても魅力的な女性だ。学校は居心地が悪くて嫌いな秀美君のちょっと
変わった高校生活の物語。秀美君、本当にかなり魅力的で、勉強できてモテないヤツよりも
モテる方がいいや、と言う価値観にそうだそうだと頷いてしまう。
紙の本
素敵な男の子
2002/01/29 21:33
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:すいか - この投稿者のレビュー一覧を見る
勉強はできないが、僕は女にもてる…そんな秀美君のハイスクール・ライフ。
彼の母は秀美君を「素敵な男」に育ってほしいと願ってきたが、高校生の秀美君はその願いどおり、素敵な男の子だ。学校の勉強はできなくても、人生の勉強は母や祖父、年上の恋人、慕っている先生などから、しっかりうけて、素敵に成長してきた。
母の願う「素敵な男」になるのも、もうすぐだ。
そんな大人の男に成長した秀美君の話も読んでみたいと思った。
紙の本
勉強ができないのがなんだ
2001/10/18 13:52
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:かずの - この投稿者のレビュー一覧を見る
勉強ができず、家は貧乏でおまけに母親は浪費家。けれど、この少年はとっても格好がいい。年上の素敵な彼女もいる。勉強なんかできなくったって、人生の中に素晴らしいことは山程あるし、生きていくのにちっとも不便じゃない。頭の善し悪しはテストの結果だけで計れるモノではなく、勉強ができないことは素敵な恋になんのデメリットもないのだ。
この少年の良さ、分かって欲しいなあ。
紙の本
ぼくは勉強ができない
2001/08/14 04:09
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:有馬 - この投稿者のレビュー一覧を見る
そのまんま、勉強の出来ない男子高校生のお話である。しかし、ここで言うのは、学校の勉強のことであって、彼が本当に勉強のできない人間なのかどうか、あなた自信で確かめてほしい。