電子書籍
この切なさがいい
2017/03/09 22:46
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投稿者:szk - この投稿者のレビュー一覧を見る
認知症の母親がもっと絡んでくる介護系小説かと思ったら、全然違った。最近予測がよくハズレル。しかしこの「外れ」は大正解。北海道、根室の雄大でありながら物悲しさが漂うミステリー。登場人物が多いので追っかけるのにちょっと苦労した(私は名前をすっ飛ばす癖がある)。行きつ戻りつもあるところから、すこーんと突き抜けたように相関図が見えてきた。こうなればもう怖いものなし。最終章、いろいろな謎が一気に解決に向かうのはやっぱり気持ちがいいものだ。岬の名前が物語の切なさをこれでもかと押し上げてくる。実在するなら行ってみたい。
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涙香岬にいってみたいですね
2021/10/22 10:37
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投稿者:kotep - この投稿者のレビュー一覧を見る
釧路の地で母子で書道教室を営む篠崎春江と夏紀。夏紀は母が寝言で口にした「ルイカミサキ」が気になっていた。夏紀には父親がおらず、出生のことも母から聞いたことがなかったため、そこに母のルーツがあると感じたからだ。新聞に投書された涙香岬の歌をよんだ人に会いに根室へ向かう。しかし涙香岬には過去に忌まわしい事件が起こっていた・・・。
最後に涙香岬で登場した人物が春江さんの待ち人だったんだろうね。時代に巻き込まれたとはいえ、ちょっと切ない感じでした。
紙の本
プロットはよいのだが
2021/03/04 01:16
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投稿者:コアラ - この投稿者のレビュー一覧を見る
登場人物の人生が巧みに縒り合されて物語が編み上げられていく。絶妙に交差しつつ編み上げられていく様は精巧な細工物を見るようだ。しかし残念なことにその巧みさがかえって不自然な感じを与えてしまう。
とりわけ最後にバタバタと種明かしをされてしまうところは鼻白む。これだけのプロットであれば長編小説が書けたであろう。読んでいて作家のプロット覚書を読んでいるような気持ちにさせられた。これを膨らまして将来一大長編をものしてほしい。
紙の本
じっくり書き込みを
2016/12/28 17:05
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投稿者:テラちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
書道教室の跡継ぎ娘、児童のいじめ問題で裁判を起こされた教師、さらには古い、ソ連の拿捕事件が絡んで展開する。性愛を書かせたら抜群の桜木氏だが、他方、ミステリにも定評があり、本作は後者の部類。ただ、様々なエピソードを詰め込むには短か過ぎる上、うまく整理がされていないため、ストーリーが分かりづらい。結果、凡作になった。
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【密漁、マフィア、拿捕……桜木ノワールの原点がここに!】釧路で書道教室を開く夏紀。認知症の母が言った謎の地名に導かれ、自らの出生の秘密を探る。しかしその先には、封印された過去が。
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釧路で母と書道教室を営む夏紀。軽い認知症の症状を見せ始めた母が呟いたルイカミサキという地名に母の秘密があるのではないかと思い立ち、偶然の出会いに導かれるようにして根室の涙香岬を訪れる。
一方、夏紀の訪問によって苦い出来事を思い起こした教師の徳一は、当時の後悔を胸に、ある謎を解き明かそうとしていた。
一人の女性の出生の秘密を軸に、信念と強い意志を持って生きた人々をちりばめながら、過去の過ちに対する懺悔と再生を描く。
どうしようもなく暗く救いのない事件や出来事を描きながらも、最後は薄明かりに包まれるような読後感がさすが。
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母親の過去を知ろうとする女と、失意のうちに職を辞して父と暮らす男が忘れられていた事件の呪縛に囚われていく。サスペンス劇場ばりの筋立てだが、人物造形のうまさで読み応えあるハードボイルドになっている。
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桜木紫乃の文章はどこか優しく、悲劇であっても後を引かず読後感がとてもいい。男女の恋沙汰の物語かと思いきや、サスペンスのように展開していきハラハラとさせられる。北の大地の物悲しさをベースに登場人物たちが謎を紐解いてゆく。物語は意外な結末を迎え、それまで鉛色だった空が青空に変わるように感じた。涙香岬を一目見てみたくなった。
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桜木紫乃の真骨頂である。男女の想いはもちろんのこと、いくつもの親子の姿が凝縮されている。サスペンス風にドラマが進んでいく中で、それぞれの後悔、哀惜、失望が色濃く映し出されていく。胸の痛みが取り除かれることはなく、過去は交差しないままに未来は日常を紡ぎ続ける。ただ風景を切り取った最後の2行にとんでもなく心を揺さぶられる。まさに風葬なのだ。この感情を呼び起こせるこの小説は名作である。
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はじめての桜木紫乃。自分が北海道在住ということもあり、北海道の道東を舞台にしているところに興味が湧き手に取りました。
人間関係が少し入り組んでおり、どの登場人物も何というか、さらさらとした感触で、最初は人物像や世界観をつかむのに戸惑いましたが、文章も同じくさらさらと、綺麗に爽快に流れて行くので、自然にストレス無く読めました。
展開は途中である程度はわかってしまうのですが、ラストはとても良く、全体的に淡く綺麗な物語でした。
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複数の視点から物語が進み、徐々に話が絞られ核心に迫っていくスタイルの小説。書道教室を営む夏紀が、認知症の母の涙香岬というつぶやきをきっかけに、自分の生い立ちを探り始めるストーリーが主軸になっている。北海道東端の物悲しさが全体に漂った桜木さんらしい小説であった。たびたび視点が変わるので、通勤時にチョビチョビ読むのにはふさわしくない小説であった。
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ホテルローヤルからの2冊目。桜木さんのストーリーは登場人物たちの重い過去や謎がテーマであるにもかかわらず、風景を見ているように美しく語られる。風景画のようで、次を早く知りたいとページを繰る手が止まらない展開。読了後は明るい明日を信じたくなる。
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最高である・・・・・・
シリアスでありグイグイと引き込まれていく。
この感覚はなんなんだ・・・・
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一気読みせず、数日空いて読んだりしたので、あれどうだっけ?とひっくり返したりしてしまったせいか、いろんな人物の視点だからか、落ち着かない感じだった。
全体的にドラマか映画を観ているように読んだ。
そうつながるのね、となるまでに、人間関係を考えながら読むのが面白かった。
物悲しい空気が流れているお話ではあるが、最後は救われる終わり方であろうか。
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一気に読みました。
北海道の美しい風景の中でつづられる日常生活ですが、
それぞれが抱える悩みや家族を思いやる気持ち。
ラストまで目が離せませんでした。
読了後の感覚は、なんとも言い表せません。
桜木紫乃さんには、いつも圧倒されます。