ある奴隷少女に起こった出来事(新潮文庫) みんなのレビュー
- ハリエット・アン・ジェイコブズ, 堀越ゆき/訳
- 税込価格:693円(6pt)
- 出版社:新潮社
- ブラウザ
- iOS
- Android
- Win
- Mac
- 予約購入について
-
- 「予約購入する」をクリックすると予約が完了します。
- ご予約いただいた商品は発売日にダウンロード可能となります。
- ご購入金額は、発売日にお客様のクレジットカードにご請求されます。
- 商品の発売日は変更となる可能性がございますので、予めご了承ください。
知らなかった!知らなければいけない!
2017/09/11 17:02
7人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:RASCAL - この投稿者のレビュー一覧を見る
この本が、米国では、「ジェイン・エア」などと並んで古典として読まれている本だとは全く知らなかった。この本を文庫化し、今年の「新潮文庫の100冊」に選んだ新潮社に拍手を送りたい。
この本を日本に照会した堀越ゆきさんにも敬意を表したい。彼女はこの本の訳者だが、小説家でも、翻訳家でも、歴史学者でもない。東京外語大学、米国の大学院を卒業、大手コンサル会社に勤務するエリート会社員である。
訳者は、出張の新幹線の中で開いたkindleで偶然にこの本に出会い、心を打たれた。彼女は、自分の人生を自分で切り開いていくタイプの人なのだろう。そんな彼女だから、格差社会、限定された未来、閉塞感のある世の中で、自らの力で変わっていける意志を日本の女性に持ってもらいたいと思ったのではないだろうか。
奴隷所有者が、女性の奴隷との間に子どもをもうける。子どもの肌の色から父親が白人であることは明らかだが、その父親は公然の秘密となる。女主人は嫉妬と猜疑心の塊になり、その女性を鞭打ち、やがて子供は主人の所有物として売られていく。
奴隷に産ませた子供に父性愛を感じることはないのだろうか。奴隷制は、奴隷とされた人たちの人権はもちろん、所有者の社会の倫理感も破壊する。
それにしてもドクター・フリントのリンダに対する執着心はストーカー以上に変質的である。リンダは奴隷の身分で彼をとことん嫌い、別の白人の子を産んだり、屋根裏部屋に7年もの間潜伏したり、手段を選ばずに戦い抜いた彼女の原動力は何だったのだろうか。
少し残念なのは、抽象的、間接的な表現で意味が分かりにくい箇所があり、読みづらいこと。中高生に勧めたい本であるが、そこはちょっと残念。
原文のせいか、それとも訳者のせいか、機会があれば、原作を読んでみたい。
奴隷少女の自伝小説
2022/02/11 15:42
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:BB - この投稿者のレビュー一覧を見る
アメリカでBLM運動が盛んになってから手に取って、いろいろ驚いた。
まず、この小説が、実話であること。歴史などで多少学び、知識も多少あり、奴隷の置かれた状況はなんとなく想像はしていたものの、それを絶する壮絶な内容だったこと。
次にこの小説がアメリカでは有名な古典であること。著者不詳のフィクションだと言い伝えられていたこと、さらにしばらく忘れられていたが、調査研究により、黒人女性であるハリエット・アン・ジェイコブスによる手記だったと判明して、ベストセラーになったこと。
訳者あとがきによれば、偶然を経て、日本語に訳され、自分がこうして読めたこと。
帯に杏さんが「160年前の異国の話だけど、知らない、分からないですませたくない」と書いているが、本当にその通り。
佐藤優氏の巻末の解説も素晴らしい。
信じたくない事実
2022/11/03 08:56
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:なっとう - この投稿者のレビュー一覧を見る
奴隷制度の非道さを、これでもかと思い知らされました。
書くのも躊躇うような出来事が、奴隷制の犠牲者それぞれに起きたのだと思うと悲しい。
同じ人間同士でこういったことが行われることが、それを良しとできる世界があるのが何より恐ろしいです。
自由を追い求め果敢に運命に立ち向かった少女の物語
2022/08/30 09:51
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:タラ子 - この投稿者のレビュー一覧を見る
人間が人間を物のように売買し、そして死ぬまで過酷な労働や、時としてひどい罰まで与える。肌の色が異なるというだけでここまでひどいことが同じ人間に対してできるものかと、この物語を読んで何度も感じた。しかも非道なことを行なっている人がキリスト教を崇拝し、ミサにまで行っているというから皮肉なものだ。
時には人に裏切られ、さらに命の危険をおかしてしかこの主人公が手に入れられなかった自由。生まれたときから当たり前のようにあった自由がこんなにも尊いものに感じられたのは始めてだった。
今なお続く人種差別。私達は歴史から学ばなければならない。
貴重な史実です
2017/07/22 00:00
5人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ねったいぎょ - この投稿者のレビュー一覧を見る
奴隷が、その実情を書いた本というのは初めて読みました。奴隷は読み書きができないことが多いですから、本当に貴重な史料だと思います。しばらくは小説だと思われていたらしいですが、それも納得できます。文章が上手で、ひきこまれてしまいます。文庫で買いやすい値段ですし、買って読みたい一冊です。
実話
2020/12/07 09:33
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:くみみ - この投稿者のレビュー一覧を見る
奴隷制度と自らの経験を淡々と記している自伝。序盤話が前後していたり、登場人物の紹介が乏しいので、相関図必須。主人公が利己的で、更に周りに恵まれ過ぎていた様に思え、そこまで悲劇に感じなかった
実話
2023/06/14 01:45
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:エムチャン - この投稿者のレビュー一覧を見る
実話とあったのですが、これは本当にフィクションではないのですか?と言いたくなりました。つい、100年あまり前のお話ですよね……。奴隷の女に、子を産ませた、血のつながりのある父親、つまり雇い主は、親として愛情持たないのに驚き。
奴隷
2018/12/14 17:58
2人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ハム - この投稿者のレビュー一覧を見る
奴隷の経験のある女性が執筆なさった貴重な歴史だと思います。特に女性は大変な辛い目に遭ったんだろうと思うと辛い。