金は天下のまわりもの
2020/09/14 14:03
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投稿者:るう - この投稿者のレビュー一覧を見る
肝が据わったかと思えば襲撃に怯える七郎右衛門。つくづくただできる男ではなく人間らしいなあと思う。
金策に来た若い侍に便宜を図りつつ金策の妙を教えたり、自分を襲いに来た連中まで働き口を世話したり。
彼の八面六臂の活躍で大野藩に金が回り始める様は痛快の域。
それでも時代の波の中、わが殿を大藩の主にする彼の願いは敵わなかった。
それでも彼が作りあげたものは主家と藩士たちを守る事になったのだから。
胸を張って殿と弟に会いに行った事だろう。
たぶん、それだけでいいのだ。
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投稿者:kurage - この投稿者のレビュー一覧を見る
莫大な借金を返済して、それで終わりじゃなくて、そこから次々と新しい事業を始めて、また資金繰りに奔走して…と、エンドレスでほんと大変そうでしたが、最後まで面白かったです。
公との最後のやり取りはしんみりしました。
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投稿者:藤 - この投稿者のレビュー一覧を見る
上巻から引き続き…すぐに読み終えてしまいました。
商人武士の本領発揮というか、才能を爆発させます。
知らぬ所で、あれやこれやと勝手に新事業を立ち上げられ、怒りながらもしっかりお金を用立ててくれる主人公はすごいです。
殿とのやりとりは相変わらず面白いです。
途中、殿がなかなか出てこない部分もありやきもきしてしまいましたが。
最後の方は、涙まで出てきてしまいました。
面白かったです。
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投稿者:nap - この投稿者のレビュー一覧を見る
こういう主人公が実際にいたかどうかは別として、大野藩のやったことは事実。
すごいことをやってたものだと思う。
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【昨日までの当たり前は、とうに去っていたのだ。】殿・利忠を支えながら、藩の借金を完済した七郎右衛門。だが黒船の襲来により、時代は大きく変わろうとしていた。新感覚歴史経済小説
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実在の藩、人物がモデルの物語。
わが殿に仕える七郎右衛門の姿が、殿がいない現代では、師匠と弟子の関係のヒントになると思えた。
師匠に学びつつ、師匠を守り、師匠の夢を共に実現していく弟子。そして師匠も弟子を護り、育てる。
既にある物事に囚われない柔軟な心と視野が大切だとも思った。
畠中恵さんの作品は、全て読んでいるが、この「わが殿」の物語が一番好きかも。
殿とのお別れは泣けた。
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新銅山の開掘、面扶持の断行、藩校の開設、類を見ない大型船の造船…。七郎右衛門は、幾度も窮地に陥りながらも、利忠の期待に応え続ける。だが、家柄もなく、殿の信頼を一身に集め、旧態依然とした大野藩の改革を続ける七郎右衛門には、見えざる敵の悪意が向けられていた。そんな中、黒船の襲来により、日本中に激震が走る。時代は移り変わろうとしていた―。
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内容紹介
昨日までの当たり前は、いつの間にか去っていたのだ。
新銅山の発掘、面扶持の断行、藩校の開設、類を見ない大型船の造船……。
七郎右衛門は、幾度も窮地に陥りながらも、利忠の期待に応え続ける。
だが、家柄もなく、殿の信頼を一身に集め、旧態依然とした大野藩の改革を続ける七郎右衛門には、見えざる敵の悪意が向けられていた。
そんな中、黒船の襲来により、日本中に激震が走る。
時代は移り変わろうとしていた――。
幕末最強バディ小説の誕生。
新時代を生き抜くヒントがここにある!
【著者プロフィール】
高知県生まれ、名古屋育ち。名古屋造形芸術短 期大学卒。漫画家を経て、二〇〇一年『しゃば け』で第十三回日本ファンタジーノベル大賞優 秀賞を受賞してデビュー。以来、「しゃばけ」 シリーズは大ベストセラーになり、一六年には 第一回吉川英治文庫賞を受賞した。他に、「まんまこと」シリーズ、「若様組」シリーズ、「明治・妖モダン」シリーズ、「つくもがみ」シリーズ、『ちょちょら』『けさくしゃ』『うずら大名』『まことの華姫』『とっても不幸な幸運』な ど著書多数。
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時代の移り変わりにも順応する七郎右衛門が隠居したいと言っても、手放さない殿の気持ちも解ります。大政奉還になっても、持ち前の商人レベルのお陰でお家は栄えて良かった。一つだけ、奥さんの子供じゃなくて側室っぽい人の子供を、奥さんが育てなきゃいけないのが残念でした。
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初出 2017〜19年福井新聞ほか9紙
全体のレビューは上巻に書いたので、下巻について若干補足。
経済活動には情報が重要だと気付いて情報収集に努めたときに、描かれてはいないが尊皇攘夷運動の波には飲まれなかったのか、ほとんど書かれていないので気になるところ。
杞憂だった農民一揆より、よほど危機的だったのではないだろうか。洋式軍備に切り替えた開明派の利忠公なら、近くの越前の松平慶永と近かったのではないだろうか。
このコンビが幕政に携わったら、幕末維新史は大きく変わったかも知れない。
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着々と返済される大量の借金。七郎右衛門の有能さに舌を巻きますが……え、下巻に入ったばかりなのにもう借金完済? これで終わっちゃうの?
と思いきや。黒船到来とともに、変わりゆく日本の情勢の中で新たな活路を見出すため、またしても必要なのはお金。ああもう本当にいつの時代も同じですよねえ。今回は長期の収入も見据えて編み出された秘策がまた! これは本当に打ち出の小槌というほか。苦労もしているけれど、それ以上に出る結果が見事すぎるなあ。
だけど当然いいことばかりではなく、周りの反発や妬みなどもあって、心穏やかではありません。しかしわからないでもない。新しいことって希望もあるけれど、それ以上に不安が大きいものだし。新天地に思い切って踏み出すよりは今の環境でぬくぬくしていたい、という人は少なくないはず。ちょっと身につまされるものがありました。
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新銅山の開掘、面扶持の断行、藩校の開設、類を見ない大型船の造船…。七郎右衛門は、幾度も窮地に陥りながらも、利忠の期待に応え続ける。だが、家柄もなく、殿の信頼を一身に集め、旧態依然とした大野藩の改革を続ける七郎右衛門には、見えざる敵の悪意が向けられていた。そんな中、黒船の襲来により、日本中に激震が走る。時代は移り変わろうとしていた―。新時代を生き抜くヒントがここにある!
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七郎右衛門、相変わらず殿の打ち出の小槌に日々勤めている。何か事が起こり、窮地に立たされるほど、己の裡にあるものが閃きとともに表出し、突拍子もない策として形になるような印象である。常に次の手を考えているという証だろう。利忠公との信頼関係も、さらに深まり、公はもはや完全に七郎右衛門を信頼し、それ故、新しいものごとに向かって無茶をすることにもなる。止まるということを知らない殿である。だが、年月は容赦がなく、誰もが年を取る。悲しい別れも幾たびも経験することになるのである。殿と七右衛門と彦助との最後の穏やかなひとときには胸を熱くさせられるた。江戸が終わって明治の代になるとともに、感覚的には親しみを覚えるが、地続きには武士の時代の波乱があったことを、不思議な感慨をもって実感できるようになった気もしている。充実の上下巻だった。
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実在の土井広忠と内山七郎右衛門の大野藩の建て直しと幕末の混乱時に藩の財政をやりくりして、殿様の支出を支えてきた話。これは今の時代にも通じる話であり、実際この小さな大野藩の様なシンガポールが政府が会社を起こし、投資会社を起こしてお金を回しているところなんどそっくりですね。それを100年以上前の日本で行っていたのはなんと言う素晴らしいことか。今の日本の財務省に見習ってもらいたい。
ただこの財務改革も、やはりトップの意識が違わないとなんともならない。この大野藩の殿様がやはり立派であった。
殿様のやりたい、軍政改革、蝦夷への開拓をするために武士が商売をするなどと普通では考えられないことをした七郎右衛門がすごいこと! こんな財務大臣、今の日本に欲しい!
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飄々とした作風のしゃばけや若旦那シリーズと比べて、しっかり読み応えのある作品。越前大野藩に実在した殿と支える者を描いている。七郎右衛門の知恵袋があってこその名君と思った。
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最後まで藩と殿のために尽くして駆け抜けた人生だったのがひしひしと伝わってきます。
教科書で、大々的に取り上げられる内容ではないですが、とても興味深く是非訪れてみたいと思いました。