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出版翻訳業って憧れる。でもどれだけスキルがあっても、出版社との契約トラブルによってどうなるのかの運命が決まりそう。著者も出版翻訳の仕事自体はすごく意欲的なのに、最終的に全て出版社とのイザコザが原因で訴訟に発展してるもんな…。
逆にこの本を読んでの出版社側の言い分とかを聞きたい。
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ええ…出版社怖い…そんなに簡単に?契約を反故にするの?嘘に嘘を塗り重ね、最後は裁判沙汰になるしかないなんて。約束を100%守らない出版社ってないと著者に言い切られる出版社。そりゃー「なるんじゃなかった」と言われるわけだ。
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思えば私たちは出版された本しか知らない。けれど、世に出ることなく消えてしまった本もあるということに気づかされて胸が苦しくなった。生まれることが出来なかった本の出版をめぐって、どれほどたくさんの辛労辛苦があるのか普段私たちは知ることすらできないのだ。学生の頃、英語教師に「翻訳家に向いてる」と言われて以来、出版翻訳家は憧れの職業だが出版社ではあまり大事にされてないようなのが心苦しい。出版翻訳家の組合とかないのかな。出版社を相手に翻訳家1人でやりあうのは負担が大きすぎる。
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【概略】
「7つの習慣 最優先事項」をはじめ60冊もの書籍を翻訳・著作してきた出版翻訳家が、出版翻訳家を志し、実現するまでのパズルピースを一つ一つ紹介。さらには著者が直面した出版業界の闇、神経が削られていく様、出版翻訳家という肩書きをおろす顛末を、内容とは裏腹に軽妙なトーンで綴っていく。
2023年01月14日 読了
【書評】
ある意味、日本の産業、そこに潜む悪癖が凝縮した図式が垣間見えるね。ここでは著者である宮崎さんと出版社という形になっているけれど、出版社の社員(中間管理職)という立場もいて、色んな金属疲労が見えて面白い(「面白い」という言葉のチョイスは適切ではないこと、許してほしい。当事者からすると噴飯ものだものね)。
超絶個人的なボヤきになるけど、「喜餅さん、英語落語やって欲しいのだけど」って声かけをしてもらった時、真っ先にお金とか条件といったことを決めたい。それが一旦決まれば、よほどの大きな事象が加わらない限り、どれだけ見込みが外れようが当事者としては飲み込むつもり。それを最初にしない相手、多いのよ。
そんなモヤモヤをもっている自分が、「えぇ~?そんなことあるの?!」ってのが出版業界のアレコレ。業界の方に話を伺うと、現代のビジネスの世界から離れた・・・誤解を恐れずに言うならば、出た結果から遡って分け前を分配するというおいはぎ集団のような感じ。親分やそのアプローチを納得して親分についていってる手下ならいいけど、今回の著者さんは、そんな立場には、ない訳で。ここも、日本の悪癖。エンドユーザーに届く値段が先に決まって、そこから逆算して原価や必要経費を算出するという意味わかんない流れが横たわってる。安いことを正義とする、求める人達よ、自分達がカジュアルに主張してることの罪深さを知ったほうがいいよ、マジで。
本書から脱線してしまった。こういった出版業界の闇、それをヒシヒシと感じることができるということの他、著者である宮崎さんのご自身の売り込み方であったり、ご自身のやっていることに対するプライドであったりといった、セルフプロデュースできる職人マニュアルとしてもすごく参考になる。翻訳家としての実力を磨くことはもちろんのこと、それをしっかりPRするということ、それを宮崎さんは着実にやっていらっしゃるという。だからこそ、自身がやってきたことに対するプライド、(ゴースト翻訳家ではなく)自身の名前がしっかりとクレジットされることに対するプライドに反映されているのだなと。それに対する(少なくともこの本に登場する)編集担当者のプライドのなさというか、「面白い本を出したい」ではなく「売れる本を出したい」という部分のズレが興味深いね。
もう一つ、翻訳というものは(宮崎さんについては)英語の能力の高さとともに日本語の能力の高さも要求される訳で。宮崎さんご自身の筆力も素晴らしいと思う。その時、その状況に陥っていた時の宮崎さんの心境、本当に大変だったと思うけど、いざストーリーテリングとして形成された時の軽妙なリズムであったり描写であったりが、素敵。あとはお人柄が出ているというか、注釈でしっかり���補足してくれてる。注釈の文字が小さくで一定の年齢以上の読者にはちょっと厳しいのは内緒だけど。
ある一定の金銭的な余裕が自分にあったらなぁ~なんて思ってしまった。宮崎さんご自身、めちゃめちゃ原書を読みまくってる。だからすでに宮崎さんご自身に目利き能力ができてるのだよね。だからご自身が出版社の社長兼目利き兼翻訳家として活動するといいと思う。資本を出せる立場にあったら、連絡したいもの。あとは経理感覚が優れた女将さんみたいなポジション(性別は別に男女関係ない。ここでは「女将さん」という言葉がもつイメージを優先。「番頭さん」でも可)の人さえチームにいれば、きっと素敵な仕事ができると思った。
「本」という存在の将来、ちょっと不安だけど、それでもダイヤモンドの原石を探し出して、それを研磨(ここでは翻訳)して別の国で紹介するという部分は、「本」という形態から変化しても、必要な能力だと思うから。
あぁ・・・お金があれば楽しめるワクワクなのに。・・・って、本の感想からまた外れてしまった。
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広く書物を愛する私は翻訳業というものにも一時興味を持った過去もある…ということでこの本を手に取ってみたが凄絶な地獄絵図として捉えることしかできなかった。
出版不況と言われて長く苦しい時代が続いているが、傍からみるのと、ど真ん中でそれを体感するのとではこれほどか!
著者、有名な翻訳家の先生が、足を洗うまでの闘いを読ませていただいたけれど、この本が今後も売れ行き好調となりますようお祈り申し上げます。
文筆業、そして広く携わる諸々の職域の方々のためにも出版業界がこれからも社会的にもっと認められるということ、祈らずにはいられません。
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職業体験を綴った個人の日記(本書のことだったかどうかは定かではないのだが)がおもしろいと翻訳家兼エッセイストの村井理子さんがtwitterで呟いていたことがあって、気になっていたシリーズ。
どんな仕事でもその業界ならではの常識や習慣があるんだろうけれども、はたから見ればおかしな事、改善されるべきこともたくさん有りそう。
AIで翻訳が当たり前になってきているし出版業界も厳しいと聞くけれど‥文体にはそれぞれの翻訳家の技術や個性が滲み出るものだから、「翻訳家」はこれからも憧れの職業であってほしい。
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ベストセラーになったときはこっちまで嬉しかったけど、著者と出版社のトラブルなどをみてるとめっちゃ可哀想になった。自分が翻訳家であったことに対して「ちょっとやそっとでは他人が真似できないことをやったという自負がある。後悔などあろうはずがない」と思っているのに、もう100%約束を守ってもらえるような誠実な出版社があらわれない限りは翻訳を引き受けることはないと…どれほどまでに出版社に痛めつけられたのかと。出版社のイメージが変わりました。
あと宮崎さんが訳したのに、ある外国人著者が自分の見栄のために自分自身だけで書き上げた本として出版したのはいったい誰の何という本だったのかがめちゃくちゃ気になる!
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出版翻訳家としてのキャリアを赤裸々に綴ったエッセイ。
自身の翻訳した本の出版、出版社とのいざこざ等著者ならではの悲喜こもごもが記されており、面白かった。
ただ、基本的には文章には「怒り」が強く感じられるため、読み終わった後少し落ち込んだ。
兎にも角にも出版業界は闇が深いのだなぁ、と他人事ながら思う一冊。