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投稿者:くみみ - この投稿者のレビュー一覧を見る
諦める事に慣れてしまった不良、学校に通えなかった中年女性、保健室登校の少女、時代に泣かされた老爺など、様々な事情を抱えた人が通う定時制高校。一人の科学教師との出会いから、純粋な学びの楽しさに耽っていく、実話からインスパイアされた目映い連作短編集。
好奇心に年齢なんて関係ない。寧ろ大人にこそ必要な無邪気な探究心をくすぐる身近な実験に、一瞬で心を掴まれた。まずは興味をもたせ、その先の可能性を信じる。シンプルだけど難しい「信頼実験」の足跡に、不意に「オポチュニティの轍」が重なりグッときた。
全日制の生徒にもスポットを当て、置かれている状況を互いに理解する事で、新しいフォーミュラが生まれていくのも面白かった。
学びには意欲さえあれば他は関係ないと思う反面、意欲が融合する事で爆発的なエネルギーがもたらされるのを魅せられると、やはりそれぞれに合った学びの場所は必要だと再認識させられた。
学生から大人まで、抱え込んだモノを軽くする道を示してくれる、希望に満ちた物語。
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投稿者:あびしぃにゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
算数も理科も苦手…だけど (だから?) 気になる憧れの理系人の考え方。八月の銀の雪もそうだったけれど、自分の知らない世界を生きる人への気づきと眼差しの暖かさに胸を打たれます。新刊が出たらまた必ず読みたい作家さんのお一人になりました。
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投稿者:nekodanshaku - この投稿者のレビュー一覧を見る
科学する心が震える青春?小説。それぞれに事情を抱えていそうな、様々な年代の生徒たちが混沌と学ぶ定時制高校を舞台に、科学部という部活動を通じて、科学する心が沸き立つ。自然ンお神秘に目を見張る感性が、年齢に関係なく生まれてくる。知への飽くなく欲求、学ぶことを知り、本当の仲間というものを知り、自分の中ににあるいろいろな感情を知った日々が、その高校生活の中にあった。今年いちばん感動した小説かもしれない。特に「オポチュニティの轍」がジーンときました。
映像化してほしい
2024/04/01 07:58
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投稿者:kisuke - この投稿者のレビュー一覧を見る
事情を抱えた様々な人達が、ある人物を中心に集まり、紆余曲折を経て思いもしなかった良い方向へと向かっていく物語。
全ての学校に藤竹先生や佐久間先生のような方がいたら、どんなに素敵だろうと思いました。
ただ、実験の部分は文章だけで理解するのは少々難しい。ドラマ化して誰にでも分かるように見せてもらえたら有り難いです。
そううまくはいきません
2023/11/05 10:44
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投稿者:hid - この投稿者のレビュー一覧を見る
定時制高校、実態は大変なんだろうなと思う。
きれいごとじゃないから。
実際にこういうことが行われてるところもあるんだろうけど。
それを知れただけでも良かったかな。
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投稿者:エムチャン - この投稿者のレビュー一覧を見る
今や、95%以上が昼の高校を卒業している時代。定時制高校というと、特別な人たちの高校と思ってる方、ぜひ、読んでいただきたいです。内容は、顧問が理科教師の藤竹先生で、生徒が科学部を結成し、火星のクレーターを作成実験開始。
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【定時制高校の教室に「火星」を作り出す――胸が熱くなる青春科学小説】定時制高校の科学部に集った、年齢も経歴もバラバラの生徒たち。彼らが始めた「クレーター再現実験」とは? 胸躍る青春小説の傑作。
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うわ~、また何て素敵な作品なんだろう!
定時制高校に通う年齢も性別もバラバラの生徒たちが、藤竹先生に声をかけられ科学部に入部。
1人1人抱えているものはそれぞれ。交流もなく、むしろ反発しそうな4人が科学部で学会発表に挑戦。
「火星のクレーター」再現実験の行方をドキドキしながら見守りました!
自分のことをずっとバカだと思ってきた岳人の“初めて”のシーンでは、いろんな感情が込み上げてきて胸が詰まりました。
「出会う人によって未来は変わる」
心からそう思います。
そして「知る喜び」。経験を通して、新たな世界が開けていく喜びを感じました。
仲間と目標に向かって打ち込む姿が心に響く、定時制高校を舞台にした青春小説。
清々しい読後感でした。
作中での「中高生科学フェア」について。
内容に覚えがあるなぁと思ったら、昔読んだノンフィクション「理系の子 」が巻末の主要参考文献に載ってました。
それぞれ研究に至った背景も含めて一冊丸ごと感動したので、気になった方はチェックしてみて欲しい!
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楽しみにしていた伊与原さんの新作。
フィクションではあるけど、定時制高校で実際にあった出来事をヒントにされたのだそう。
定時制高校の実際の様子はわからないけど、様々な年代の事情を抱えた生徒達の描写はなかなかリアルだなと思った。
火星にクレーターを作るという実験を通して、学びの本来の意味をみつけたり、他者理解が進んでいったり…というようなことが、どの学校でも行われていったらいいなぁ。(現実は難しいかもしれないけど)
ラストのプレゼンのあたりからは、必死に応援している自分がいた。
「学びは一生!」私も頑張ろう。
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算数時代からついていけなかったから
理系に強い憧れがある
なので随分前に
「ルカの方舟」を読んだけど
全く内容覚えてない
ほんとに全く覚えてないけど
タイトルと作者は覚えてて
なのできっともう読むことないだろうなー
って思ってたのに
おもしろかった!
実話を元にしたフィクションだそうで
定時制高校の生徒たちが
科学を、彼らなりのアプローチで
学んでいくお話だった
学ぶ機会を奪われてた人たちが
学べる場所に出会えてよかった
身内でもないのになんだか誇らしくなった
星は4つ
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新宿にある都立の定時制高校で、年齢も抱える事情もさまざまな生徒たちが、科学部を結成。「火星のクレーター」を再現する実験を学会で発表しようと奮闘する姿を描く、連作短編集です。
21歳ヤンキーの岳人
フィリピン人の母をもつ主婦のアンジェラ
起立性調節障害で不登校だった佳純
中学卒業後に集団就職で上京した74歳の長嶺
そして科学部顧問となる理科教師の藤竹
いくつになっても自ら学ぶ楽しさ、仲間と力を合わせることで一人では叶わないことを実現できる経験、これぞ青春ですよね。いやぁ〜おもしろかった。
科学的な専門用語や説明は確かに難しいものもありましたが、火星の夕焼けは青いこと、火星探索車・オポチュニティの轍話など、とても興味深く、火星への浪漫を感じました。
お話の中に出て来たSF小説の『星を継ぐもの』、もう何年も積んだままです〜読まねば。あと『火星の人』…マット・デイモン主演で映画化された『オデッセイ』は観ましたが、原作もぜひ読んでみたくなりました。
あとがきによるとなんとこのお話、実際に日本地球惑星科学連合大会の高校生セッションで、優秀賞を獲得した定時制高校科学部の「先生方の熱い思いとそれに応えた生徒たちの奮闘に感銘を受け」書かれたそうなんです。内容はもちろんフィクションですが、実話を基にしていると思うと感動も深まります。
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作中の できないと思う前に、できると感じる。 一文が心に残りました。
色々と理由を付けて、リスクを探して、ブレーキをかけてしまう自分にはもう感じることはないものだと思います。
ただ、身近にそう感じているだろう人は実際にいますし、その人が「その気」になった時の熱量には影響され、鼓舞されることも多々あります。
その熱量をこの作品の定時制高校科学部の部員、特に岳人と佳純を通じて感じことができて、こちらが熱くなりました。熱くなって涙がじわじわ出るパターンでした。
「どんな人間も、その気にさえなれば、必ず何かを生み出せる。それが私の仮説です」
もちろん「何か」の差はありますが、全力でやり続ければ、新しい扉が見つかり、次の部屋に進んでいけるんだと、感じることができた部員たちがとても羨ましいです。
作中参考にされた研究発表を読んでいくのも楽しみです。
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最近教育の敗北を感じる出来事が多かったけれども、これを読んでそんなことはないかもと思い直しました。やはり自分は伊与原新の作品が好きだ。
自分も教育機関と学び続けたい人々のためにできることを探して支援できることはなんでもやろうと思いました。
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食えん男の藤竹先生のキャラが好き。物理や化学のことは分からなくても読みやすい内容だった。この著者は化学が絡む本のほうが好き。
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始まりは火星の夕焼けだった。
様々な年齢の、様々なバックグラウンドを持つ4人の「高校生」とひとりの教師が作り出最高にクールでホットな科学小説。
定時制高校の科学部が学会で発表する、ってだけでも夢物語のようなのに。その夢物語を夢物語とは思わせない丁寧に紡がれるリアリティ。
社会の周辺部にいる多くの人々の、「学校」という仕組みからは外れた人々の、それでも「学びたい」という気持ちへのリスペクト。描かれるのは4人の「高校生」。でもこの物語は私たちすべてにとっての希望の一冊である。
何かをあきらめてきた人、何かを捨ててきた人、何かを失ってきた人、そんな私たちの物語なのだ。
科学ってやさしい。「易しい」ではなく「優しい」。伊与原さんは一貫してそのことを私たちに伝えてくれている。
そしてまたもや伊与原ワールドに泣かされてしまったのだ。しかも今回は一人ずつ仲間が増えていくって、まるでワンピースではないか。いやはやサイコーの仲間小説じゃん。