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  3. (格)さんのレビュー一覧

レビューアーランキング
先月(2017年2月)

(格)さんのレビュー一覧

投稿者:(格)

33 件中 1 件~ 15 件を表示

紙の本新宿鮫風化水脈

2000/09/16 22:26

新宿にこだわる男達の闘い

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 出所したばかりのヤクザ真壁とその恋人雪絵。そしてその母親。さらに、駐車場を20年以上続けて昼も夜も管理している大江。中国人とヤクザ達のビジネス。関係なさそうな人々が鮫島の地道な捜査にしたがって、徐々に徐々に繋がっていく。そして、新宿へのこだわり。新宿の歴史と今が学べる。また、鮫島の警察への思い。新宿という街の変わりようからの警察の将来像への考察が語られる。
 登場人物が皆魅力的。とくに、真壁と恋人の母親との間のやりとりはすごい。修羅場をくぐり抜けた人々の底力というところか。真壁が事件に巻き込まれないよう、二人がうまく行くように、思わず力が入ってしまう。
 今回の鮫島の捜査には派手さはないが、地道に頭を使い、会話の力で攻めていく。大江との会話の進め方。そして、元ヤクザへの尋問は秀逸。晶との関係が今後どうなっていくのか暗示されるが、裏切ってほしいもの。
 味わい深い小説となった。

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紙の本魂丸

2000/07/27 23:58

漁師の魂とは

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 泣ける。ハードボイルドとしても、山岳冒険小説としても。さらに、海洋冒険小説としても一級品ではないか。けっして長いとは言えない中に、ちょっとつめこみすぎたか。山か海のどちらかに絞って、もっと書き込んでもらえればもっとよかった気もするが、主人公の性格から、ストーリーには必然がある。

 主人公は漁師、堀切幸男。名前からかシャチと呼ばれている。魂丸という名前の船を使う。魂丸とは、「漁師には漁師の、絶対に守らなければならない魂の性質、魂性がある」ことを説いた自分の親父の船の名前からとった。その船が、駿河湾で夜、漁場に向かうとき、衝突事故を起こす。そして、銃撃。何から追われているのか分からない逃避行が始まる。むろん、謎は徐々に分かってくる。そして、山に逃げ込み、あの『猛き箱船』の大井川源流へ。農鳥岳を経由して……台風の季節、すさまじい追跡劇。

 漁師の魂があっても、一人では無理だ。ピカと根田がいる。自分の気持ちを吐露しながら、生きる技術を駆使し、漁師と猟師の魂の交換。そして、最後の別れ。

 ちょっとくさいセリフが多過ぎる。しかし、これだけストレートなのは、清々しい。「漁師ってのは職業じゃない。生き方だ」。拳銃を手に入れられても、それを手にすれば普通の男じゃなくなる、ということで手にしない。ただ、かっこいいだけではなく、絶対絶命のピンチでも、冗談や駄洒落を言う。そして、ただひたすらに楽天的に、生きる道を捜し当てるのだ。

 他の登場人物もいい。
 ピカ。ただ一途なピカ。最後のセリフは泣かせる。
 根田。気持ちの変化がよく描かれている。マタギに戻ってほしい。
 そして、川辺。友人というのはこうでなくてはならない。

 文句無しの★★★★★。素晴らしい。

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カンボジアで無実の罪で収監された日本人の闘い

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著者自身、カンボジアでいわれのない罪に問われ収監された経験をもつという。その経験をそのまま語っただけで、この本のすべてが事実なのではないか、と思わせるくらい真実味のある小説である。
 かなりの数の人々のエピソードが語られるが、これが面白い。カンボジアの実態、この国が腐っていった原因、裁判官や警官の金権システムが浮き彫りになり、カンボジアの歴史の勉強(おさらい)にもなる。面白い人間も多いのだが、これがこの物語のミソで、実は…。
 そして、衝撃の内容はポルポトによる国民虐殺の理由。これがもしかしたら、本書でもっとも言いたいことかもしれない。衝撃的ではあるが,さもありなんとも思わせるくらい無理のない話である。これは単なる著者の推理なのか、それとも本当に…。カバー裏に『あまりのリアルさと影響の大きさを考慮され、出版まで1年以上もの歳月を要した』とあるが、これはこのポルポトのことを指しているのだろう。欧米やアジア(中国やカンボジア)などで出版されれば、この新説(?)は相当な話題になるであろう。
 帯には『アジアン・ノワール』と書かれているが、ノワールという雰囲気ではない。まじめな青年が無実の罪でつかまり、明るく軽快になんとか生き延びていく物語で、さんざん騙されたあげく、最後に自分もダマシのテクニックを使うことにする。それは見事である。
 それにしても、拘置所の描写はすさまじい(刑務所ではない)。私は、主人公が収監されているまさにその時期(98年3月)にカンボジアを訪問し、プノンペンにも立ち寄っている。内戦が落ち着き、多くの人々は暑さのなかでのんびりと暮らしているように感じたのだが、やはり数日の滞在では見えるものも限られていたのだろう。無論、食事しているとすぐに寄ってくる障害者の多さには閉口すると共に悲惨な過去を感じはしたのだが…。警官と関わり合いにならなくて良かった。
 さてこの新人作家、次にどういうものが書けるのだろうか。

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川の深さは

2000/09/16 22:28

少年と元刑事のグータラ警備員の闘い

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 『江戸川乱歩賞と日本のミステリー』(関口苑生)によれば、大沢在昌をして、「私はこの作者のファンになった」とまで言わしめた作品。しかしながら、江戸川乱歩賞は激論の末、逸した。この翌年、『トゥエルブY.O.』で受賞しているのだが、関口によれば、『作品のできが比べ物にならないほど前作の方がいい』とまで言われている。その待望の作品が刊行された。
 例によって、テーマは同じだ。この国のシステムへのあふれる思い。どの程度書き直されたのか不明だが、文章の読みにくさも少なくとも前半はまったくない。ただし、後半、思いがあふれてくると、読みにくい部分がでてくる。
 ストーリー自体は奇想天外というか、最後までいま一つ納得できない部分がないでもない。オウム真理教事件の真相への作者による推理とも思える部分があるが、そうではないだろう。作者の思いの表現にオウム真理教を当てはめて利用したというところ。
 『あなたの目の前に川が流れています。深さはどれくらいあるでしょう? 1、足首まで。 2、膝まで。 3、腰まで。 4、肩まで。』との質問にどう答えるか。私は、瞬間『2、膝まで』を思い浮かべたが、この主人公たちはいずれも、『4、肩まで』なのだ。元刑事のグータラ警備員が、追手から逃げ延びながら戦闘マシンとなった少年によって、底無しの川に引き込まれていく。この心理テストどおりの性格を現す展開となっていくのだ。
 少年たちとグータラ警備員の心の交流、そして、この警備員と追う側のエリート涼子との不思議な恋がおもしろく、よく描かれている。悪役佐久間は今一つ。
 あきらかにおかしいと思える話の展開を、『ちょっと考えれば分かることだった』で済ませて、あとでひっくり返すパターンが多過ぎるのがちょっと気になる。

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本能寺 下

2000/08/30 00:27

長篠の戦いから本能寺まで.

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 天王寺砦の戦いあたりから信長に微妙な変化が始まる。まず、勝ちを六分で治めるという余裕ができはじめ、それが、部下の弛緩、危機の醸成に繋がっていく。そして、それに気づき、譜代の部下をも処断していく。突然、過去の業績を理由に処断したというのが今までの解釈であったが、ここでは、それ相応の腐敗があったと推測し、それを処断するため、そして、敵に隙を見せないために、過去を理由に処断したという。合理的な解釈である。
 そして、秀吉。信長の方針が見えないことから誤解し、いっそう働く。それが、信長の秀吉観に影響し、ついに自分の後継者には向かないと決断させる。このあたり、現代から考えればまあ、正しそうに思えるが、だからといって、その時代にほんとうに信長がここまで考えたか。誰にもわかりはしまい。まして、光秀ならどんな世を作り得たか。信長の判断が正しかったかどうか。
 次に宣教師を通した徹底した西洋史の勉強。このあたり、記録に残っていないとしながら、ここまではっきり書くのは、以後の推測への伏線だ。上巻では、信長の天下統一後のビジョンは残っていないと言っていたのが、ここではっきりと著者は記述する。記録にないのだから、著者の推測にすぎないのだが、それにしても大胆。まあ、天才信長。このくらいのことは考えたか。周りは当然、そのことの意義、価値を理解できるはずもない。そして、それを知る秀吉の思惑。ここまでは理解できなくはない。もしかしたら、そういうことだったのかもしれない。しかし、だから、本能寺というのは、ちょっと飛躍。論理に無理がある。たしかに斬新な解釈ではある。
 著者の推測が秀吉の思惑までは正しかったとして、光秀がもっと合理的思考をしていたとしたら、いったい、世の中はどうなったか、と考えるのは楽しい。

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飢えて狼

2000/08/25 00:23

突然事件に巻き込まれれた元ロッククライマーの闘い

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 三部構成で、間の二部が択捉潜入から国後逃避行となっている。ここのところは面白い。息もつがせず、一気に読ませる。この時代に択捉、国後の描写はいったいどうしたのだろうか。パートナー蛭間のような択捉出身者の話を聞いて、あとは古地図などから想像を働かせたのか。いずれにしても、択捉、国後の地理が手に取るように詳しく、自然が生き生きと描かれる。この部分の描写を刈り込んで刊行が遅れたとの記述が解説にあるが、もう少し長くてもよかった。
 しかし残念ながら、その前後の湘南、東京の物語が面白くない。しかも主人公の追われる理由が不明のままずっと読まされる。最後になって明かされるが、今一つ。また、択捉、国後冒険行の理由にはまったくなっていない。ただ追われるだけの存在から、二部の冒険行を経て、能動的な主体への変身という構成はたしかに分かるが、それでも、もっと二部を中心とした組み立ての方がよかったと思う。
 主人公のいかにもハードボイルドの主人公という性格は面白い。が、順子への態度はちょっと行き過ぎ。順子に対するセリフはハードボイルドのものというより、下手な哲学書のようなものでいただけない。もっとも最後にやっと正直になるのだろうが。
 日本の冒険小説の草創期の作品としてはかなり評価されるべき作品ではあるだろう。

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紙の本一瞬の光

2000/08/22 01:18

ビジネスエリートの闘い

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 角川書店とは思えない地味な装丁、『この小説は絶対的に弱者の側に立とうとする人間を描いていて…』という意味不明の村上龍の推薦文(読了後は意味は分かる)。本屋に並んでいても手に取るような本ではない。しかしながら、読んでみると、不思議なおもしろさ。それほどの波瀾万丈の物語があるわけではないのだが(無論多少はある)、ぐいぐいと引っ張られ、ほぼ丸一日で読了。
 日本を代表する企業(三菱重工を思わせる)の38歳のエリートサラリーマン橋田(人事課長)が、面接で落とした女子短大生香折にその日のうちに、女子大生がバーテンをしていたバーで偶然出会い、というところから始まる。社長から紹介されていた美貌のキャリアウーマン瑠衣とつきあっているのだが、その三者の間で…そして、政治家や派閥、後継あらそい、との関連で事件がおきる。想像を絶する家庭環境で育ち、今も現実に脅威を受ける香折(物語の中でサントリーに就職)がかなり特異で、作り物めくが、まあ、ありえない範囲ではないか。
 『一瞬』『瞬間』という言葉が頻繁にでてくる。たとえば、『一瞬一瞬を、その次の一瞬がたとえ死であっても、絶対後悔しないように生きようと思っている』『次の瞬間が最後の瞬間であるのなら、どの瞬間も光り輝く至上の時間なのだ』などと、ちょっとしつこいくらい。さらに、主人公の考えとして、ストーリの合間合間に哲学が語られる。主人公の心の動きを説明するために必要だから、というより、むしろ、こちらがテーマなのだろう。
 しかし、中には、『昨年、交通事故で死んだ哀れなイギリス女の葬式で、鬘をかぶった落ち目のシンガーが…私はあのとき、英国という国の民度の低さを思い知ったものだ』(日本も似たようなものだ)とか、『「決断と実行」を宣言して五十代で総理になった男がいた。たかが五百万円の鯉を庭池に飼っているというだけで、関連企業を使って莫大な政治資金を循環させているというだけで…彼は総理の座を引きずり下ろされた…しかし、このはるか昔の一事件が民意の歪みを生んでしまった』(ちょっと言い過ぎではないか)など、にやりとさせられるような話、エリートの考え方とはこういうものか、という話も散りばめられており、面白い。
 最後の選択は本来、悲惨なものなのだろうが、生活手段が確保された上でのことであり、エリートの限界、というか余裕と言ったら、橋田に失礼か。いずれにしても、私などには縁のない世界。それはそれで面白かったのではあるが…。

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紙の本楠木正成

2000/08/06 01:41

悪党の活路とは…楠木正成の闘い

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 子供の頃に読んだ智略を尽くした千早城の戦い。それを北方がどう料理するか、などの興味で読もうとしたが、その期待は裏切られる。戦いの描写は少ない。それはどうでもいいのだ。
 たしかに凄まじい戦いなのだが、結局、勝敗がつくことなく、この戦いは終わる。足利高氏の旗揚げによって、京はあっさり落ち、戦いは終わるのだ。そしてこのことはそれ以上の意味を持つ。帝をいただく悪党と武士の戦い。武士をなくし、新しい国の形を打ち立てようとする正成の戦いはそこで負けたのだ。その後、一度だけ大塔宮を救おうと意志を奮い立たせようとするが、高氏に読まれて失敗する。倒幕の終了以降は正成にとって、もうどうでもいいことなのだろう。あるいは、まだしも高氏に世の中を任せることが次善の策であると思ったのか。どうせなら、湊川まで描いて欲しいとは思うが、それは、そのときの高氏の気持ちを描いてほしいから。いずれにしても、倒幕以後は、正成にとってつけたしだ。
 大塔宮のあまりの理想を追求する姿勢よりも、高氏の男の大きさに惹かれる。北方の創作は明らかだが、『俺と手を組まぬか、正成?』のセリフには震える。『破軍の星』北畠顕家のかっこよさにもしびれる。新田義貞はそれほど小さな男だったのか。後醍醐は意志だけが強い、それほどの暗愚な存在だったのか。かなり大胆な解釈のような気もするが、物語の中でこれらは自然に描かれている。
 そして、楠木正成。始めは利だけ。悪党として生き延びるための闘いだと言うのだが、またそのためなのかもしれないが、結局は国の新しい形を作る、帝のもとに国を造る、という考えのもとに立つ。結局、朝廷のあまりのひどさを知り、それが100年早いということがわかり(実際にはもっとだったが…)、夢破れる。このような思考は三国志の劉備の考え(あくまで北方の)に似ている。無論、最後には自ら帝になる劉備とは違うのだが。

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紙の本iモード事件

2000/08/06 01:34

メガヒット誕生のわけ

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 サービス開始1年で400万人を超えるユーザを獲得したi-modeの立役者とされている松永真理による記録である。面白い。どのようにしてサービスが立ち上がっていったのかの過程がよくわかる。会議の様子など非常にリアル。ただし、にもかかわらず、松永自身の役割が今一つ不明確。リーダはあくまで榎。松永はコンテンツ企画という役目というが、部長であり、榎の補佐役、というところなのだろうか。この人が実際の自分の役割を実際より小さく書いているだけなのかもしれない。この本の中ではっきり示される松永自身の仕事は『コンシェルジュというコンセプト、8行6文字の要求、i-modeのネーミング、二度めの記者会見の成功』。これだけでも大変なことなのだろう。20年以上勤めたリクルートから移り、3年でさっと辞めてしまう。かっこいい。たしかにコンテンツ企画という面から見ればプロフェッショナルなのだろうが、NTTという異次元の企業でこれだけのことをなしたのは、すごい。
 NTTドコモという会社自体もなかなかだ。榎に人事権などすべてを任せ、メンバ全員の公募、松永の採用、『クラブ真理』の部屋の確保など、独断で迅速に実施していく。このことが、一番のi-mode成功の原因とすら思える。
 榎自身もさすがだ。『100g、100cc以下。どんな機能を入れてもいいが、100cc、100g以下であることが絶対。PDAに電話の機能をつけたものではなく、電話の顔をした端末であること』という方針を最初から決め、けっして変えなかったという。まったく正しい。松永に対するアプローチというか決め方も見事。迷い、社外アドバイザーで、という申し出は断固断り、直後にすぐ『是非協力してください』というカードを送る。松永に対し、初めて『プロポーズ』されたと感じさせ、決意させるのだ。
 サービス自身を発案、提案して、最初の時点からかかわっていたマッキンゼーとNTTや、松永らとの関係が面白い。社内の人間よりも多く働き、社内の会議を取り仕切るマッキンぜー。それに従う、NTTと訳のわからない松永ら…徐々にあるべきようになっていくのは当たり前であるが。
 後書きに、この本を書くこと自体が『私には楽しい冒険だった…(中略)…「HTMLを書けない私が、なぜiモードという素晴らしいものを作ることができたか」、その謎を解く過程でもあった』とある。たしかにそうだったのだろう。そして、開発作業自体はもっと魅力的な冒険だったはずだ。

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エクスペリメント

2000/09/10 01:07

突然自分のクローンが現れた男の闘い

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 解説によれば、SFではなく、サイエンス・アドベンチャーと呼ぶのだそうだ。たしかに冒険小説になっている。前作も、ネアンデルタール人の後継が現代に生きているという絶対に考えられないような話だったが妙に説得力があり、物語としても楽しめた。この人に緻密に説明されると空想的なとてもありえないと思える話が真実味を帯びてくるからおそろしい。同じクローンがテーマということで、ついクィネルの新作と比べてしまうが、書かれていることの真実味は、クィネルより絶対に薄い。なにせ、30年前にクローンの技術が生まれ、この現代に20数歳のクローン人間が何人も現れるのだ。にもかかわらず、物語の説得力はこちらの方がずっと上。そんなこともあるか、と思わせられる。
 もっとも緻密すぎるゆえだからだけではなく、長過ぎる。二段組びっちり500ページ。山場はいくつかあるが、ちょっといきつ戻りつのところもあり、だれる。もうちょっと、引き締めた物語にすれば、最高のエンターテイメントになると思うが。
 最後(途中から予想はつくが)はなぜなのか、よく分からない。また、敵の最後も意味不明。

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ウィスキー五大産地への旅(写真と文)

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 ウィスキー五大産地とは、スコットランド、アイルランド、アメリカ、カナダ、日本だ。その五ヶ所のウィスキー各醸造所を訪ねる旅である。ただし、写真が中心で全部で100ページしかないため、文章はわずかしかない。残念。
 五大産地とは言っても、世界で5か所のみ、という方があたっているだろうし、また、それも、一強四弱というべきだろうから、これらを全部平等に扱ってもしようがない。ここでも少しだけ、スコットランドの章が長いが、もっと極端で良かった。
 著者によれば、スコッチは『群を抜いてマッカランが一位。二、三がなくて、四にボウモア、五位がザ・グレンリベット』だそうだ。私もたまたまこの三つはすべて飲んだことがある。私の趣味ではボウモアが一位。もっとも、ここでいうマッカランは、25年ものだそうだ。そういうのは、とても、飲める金額ではないだろう。一度は飲んでみたいものだが…。
 私もいつか、スコットランドへウィスキーを巡る旅を必ず実現したい。

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放送禁止歌

2000/09/09 01:56

放送を禁止された歌とは何か.なぜか.

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 放送禁止歌というのは何なのかというのを追った書。結局、禁止歌というのはなく、自主規制だったというのが結論。要注意歌謡曲一覧というものを民放連が自主的に作り、それに従っていれば、問題が少ないということで、皆がそれに従ったということらしい。もっとも、この制度自体はもう10年以上前に停止しており、何の効力もないらしい。
 考えることをしないマスコミ。それが最大の問題点だ。影響力のあるマスコミが考えることをしない。この本の最大の指摘である。これを番組として放映したという。見たかった。そういうところから、変わっていければいいのだろうが。
 『竹田の子守歌』に詳しく触れている。歌の意味の矛盾。たしかにそうだ。在所が部落を意味するのなら、この歌の歌い手は部落の娘ではない。逆の意味なら…著者は断言する、と言いながら、この歌の解釈をどうだと言っているのか読み取れない。

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異端者3人の『出版』に関する話し合い記録

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 安原は中央公論、井家上は三一書房の出身だった。その出身元での問題を徹底的にばらしている。もっとも批判しているのはほとんどの出版社。たとえば、河出書房は、藤沢周や俵万智など、自分のところで新人を発掘して新人を育ててもすぐに他社に取られる。岩波は巻数ものの出版でも始めてみて、売れ行きが悪いと途中でやめてしまうとか、広辞苑第5版は失敗だとか。。
 さらに、いくつか知らなかったことを記しておくと、
・平凡社は事典で日立と組んでいるが、もう日立中心になって、売上の5%しか取れていない。
・朝日の宮部みゆきの『理由』は奥付けの日付を一日ずらしたため、直木賞の選考対象にならなかった。結果的に次回に取れたが、とにかく、朝日はそういう事自体を知らなかった。
・中央公論の給料は50歳で700万。それはいいが、集英社の1/3だと…集英社というのはそんなに調子がいいのか。。
・中公文庫の『潤一郎ラビリンス』は近年のヒット。
・徳間の借金は1600億円。
 もっともとんでもない話ばかりではなく、常識的な話もでてくる。たとえば、
・『ある種の読者は馬鹿ではないから、こちらが真剣に、しかし遊び心は失わず、編集者の熱気を送り続ければ、必ずや通じるもんだぜ』
・『いいものがでているのに売れないのではなく、ロクでもない本ばかりでているから売れない』
 なお、永江の発言で、『ソフトウェア開発とかシステム開発とかコンサルティング業務っていうのがそれに近いわけですよね。物は作らずにアイデアを売る』というのがあるが、ご冗談を…ソフト開発とコンサルをいっしょにしてはいけない。だいたい、『開発』がどうして物を作らないのか。単純なミスだとは思うが。。
 まあ、とにかく、いい本をたくさん作ってほしい、と思ったが、もう、皆(永江はまだ現役か)編集はやっていないか。

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娘を殺された巡査とその同僚の闘い

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 中学生の一人娘を殺される巡査。家庭が壊れていく。同僚が、捜査を進めていく。犯人として逮捕された15歳の少年は証拠不十分で釈放されてしまう。そして、釈放された少年が女と連れ立ってあるいているのを見た、巡査は……。
 巡査の心の動きは丁寧に書かれているので、警官が娘を殺されたから…という疑問は少しは軽減されるのだが、やはり疑問は疑問。そして、何より、被害者の娘がまったく描かれておらず、よく分からない。まったく普通の中学生に思われるような娘、きちんとした親の娘が、乱れた生活をしていただけでなく、人をののしるようなことを言う。何かおかしい。
 一方同僚の警官とその署長はいい。熱い心をひめたクールな会話がいい。
 全体としてはおもしろく、一気に読めるだけに被害者の不自然さが残念。

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本能寺 上

2000/08/30 00:24

信長の岐阜城構築から長篠の戦いまで

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 久しぶりに読む信長。知識の再確認のかたち。それほど新しい、という感じはない。信長と光秀と藤吉郎。この三人の物語と言って良い。どちらが自分の後継者となるのかと信長は考える。有能なものほど働かせる。だからこそ、自分がもっとも働き、つぎに、光秀と藤吉郎に次々と難題を与える。
 しかしながら、この信長にしても自分の明確な目標が分からない。分かっているのは既得権が諸悪の根源としてこの世を打ち壊す、『おれが乱世を治める』という点か。信長の終生求め続けたのは<新しい世の中>。しかし、その具体的な姿は信長の胸中に秘められたまま消え、今に残っていない。まったく残念なことである。
 十数年前まで、信長の革命思想より、比叡山焼き討ちよる殺戮が暴挙と見なされたとあるが、ほんとうか。比較するような問題でもないし、この十数年で評価が明確に変わったというような事実はあるのか。
 著者の言う信長の功績や特徴をまとめておくと、以下のようなところか。
- 報奨のために領地を与えず、名物の茶道具を与える(アイデアと言えばアイデアだが…)
- 方針変更に何のこだわりももたない
- 非情(自分を生かすためには部下を見すてる。むろん大きな目標のためだが)
- 部下を裏切らない。逆に部下に裏切られてばかり(上と矛盾)
- 過去の作戦の経緯を包み隠さず論議・検討する。400年後の日本軍は事実をひた隠しにし失敗した
- 実施中の作戦の予測や批判をさせない(作戦の狙いすら説明しなかったようであるが、これは疑問。とっさの場合の判断ができない)。
- 独自の美意識と死生感(このあたりの解釈は多少新しいか。朝倉等のどくろで酒を飲むなどのことを信長自身がするはずがない、部下が勝手にやったことと著者は推測。たしかにそうかも知れない)
- 国と大衆のためにこそ宗門がある。宗門のために国や大衆があるのではない。
 題名からして、本能寺の変の真相を説き明かした書なのかと思ったのだが、そうではなく、かなり若い頃からの信長を描く。それが、本能寺を描くのに必要なことなのか、下巻に期待。

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