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  3. エルフさんのレビュー一覧

エルフさんのレビュー一覧

投稿者:エルフ

182 件中 1 件~ 15 件を表示

紙の本

今までとは一味も二味も違う児童書です。

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

本当に不幸の連続でハッピーエンドとは程遠い「世にも不幸なできごと」。
最悪のはじまりでは両親の死に呆然としている暇もなく幼き三姉弟妹は悪の根源であるオラフ伯爵の元へと引き取られていくのです。
周りの大人たちも善人に見えて(実際に善人なのですが)実に頼りなく、融通も利かず三姉弟妹はどんどん追いやられていきます。
最悪中の最悪の事態が目の前で起きているのに人情ではなく「法の下」で判断する大人たちに三姉弟妹はどう戦っていくのか、いやどう逃げ延びていくのかが面白さなのですが、あまりにも頼りない大人たちに読んでいてガッカリする子供達もいそうです。
困難に続く困難なので飽きさせることもなくラストまで一気に読ませてくれますし、次はもっと大きな不幸が三姉弟妹の元に来る予感が一杯の終り方なんですよね。
魔法もなく夢もない、しかも金狙いという子供のためとは思えない児童書ですし、他人の不幸は蜜の味という言葉もありますから大人のための児童書かもしれないですね。
ファンタジーが嫌いな人も楽しめると思います。

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紙の本

紙の本真夜中の神話

2004/12/03 14:04

研究者の未知なるものを追求する欲の部分に不快感を感じてしまう。だが逆にこれが彼らにとって自然な行為なのかもしれない。

1人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

今回の物語、主人公の晃子が特殊といえば特殊なタイプ。
さらりと過去を述べると「家族よりも研究者への成功の方に気を取られて、夫と娘の具合の悪さに気がつかずに二人を事故で失ってしまう、心に傷を負い、それまでの研究を捨ててアニマル・セラピーへ転向。」となる。
まぁここまでは彼女の背景の一つとして許せる(物語だし)、だがその過去の反省をしているのかと思えばそうではない。
いや本人は傷つき後悔しているのだが何分根っからの「研究者」なのだから仕方がない。
今度は命を助けてもらった人々へ対しての裏切りとも呼べる行為へと走ってしまう。
村人たちが必死で少女と少女のために今の生活を守っているのをわかっているにも関わらず、「少女を救う」と言い訳をして村へ乗り込んでいくのには読んでいて引いてしまった。
彼女自身は全く非を感じておらず、逆に一緒に行くメンバーへ不信感や不快感を抱きながら村へ進んで行くのだが、自分も一緒だろ!とツッコミたくなること数回。
長命への欲や宗教云々よりも晃子達・研究者の欲が一番人間として見苦しく怖いものだと感じてしまった。
村人から余所者が口を出すなと言われようが「私でないと救えない」と自分が正義の味方のように言う場面ではその一方的な考えにおぞましさすら感じてしまった。
しかもラストはご都合主義なのか晃子が素晴らしい人物であるかのように持ち上げているのである。
どこをどう読んでもそんな風に感じない。

本当はちゃんとしたミステリになっているし伏線もちゃんとしているのだが事件の真相や少女をさらう組織などよりも晃子の強引さが目立ってしまい主人公自体がマイナスの要素を持っているような気がしてしまったのだ。

でも逆に読みながら主人公に肩入れしてないのにここまで彼女の行動に対して考えてしまうのは真保氏の巧みさなのだろう。

スケールは大きいので映像化されたらまた違うイメージの沸きそうな1冊。

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紙の本

紙の本さよなら妖精

2004/07/16 11:50

着眼点は面白い…だがミステリというより青春小説として読むべし

4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

私が冷めている性格なのかこの物語に出てくる5人の気持ちはあまり伝わってこなかったんですよね。
設定が1991年、高校三年生の彼らの前に突然現れたマーヤ。
異国、東欧から来た少女に宿を与えて共に2ヶ月間過ごす…。
まずあり得ない事ですよね? 自分の高校時代を振り返ってもそんなに濃い付き合いなんてまずなかったですし、特に進学校だと淡々としているので三年生になって余計な事に頭を突っ込む余裕はないと思うんですよ。
だいたい高校生でいきなり見知らぬ人の宿泊場所なんて決めないでしょう。
そういう部分でこの5人には全く現実味がないなぁと思っているのに何故かマーヤの国に関しては妙に現実的。
東欧の内戦に関して語られていますが正直私はかなり疎く細かく説明されても理解ができませんでした。
勉強にはなりましたが…。

途中に出てくる色々な謎解き、「日常の謎」なんでしょうがあまり興味のない「謎」だったんですよね。
着眼点に新鮮さはあるのでしょうが「だから何?」という感じがしてしまいました。
そして全体的にこのミステリの部分って必要なのか?という疑問がかなり残ったんですよ。
やはりミステリフロンティアからの出版ですからミステリの部分に期待して読んでいるのに「あれれ?」という期待ハズレな思いが多く、どちらかと言えば謎解きの部分を全部排除してただの青春ものにした方が良いような…。
あとは物語の展開の唐突さもあまり好きではなかったので全体的に評価は低めです。

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紙の本

紙の本

2006/08/12 19:45

最終的には自分自身に問うしかないということでしょうか?

4人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

人はいつでも自分の周りに盾・シールドを張って生きている。
子供の頃は学校・家庭という盾があり、大人になれば所属する企業・地位・新しく出来た家庭全てが一人一人のシールドとなっている。
どのシールドを選ぶのか?
この本では子供の時には優等生で上手く周りと調和のとれていたコジマと偏屈屋で調和のとれないキジマの二人の人生を追っていく。
次第に自分の価値の低さに気付き、引き篭もり生活にまで落ち込むコジマが辿り着いたのは人生の中で自分にしか出来ない仕事とパートナーというシールド。
逆に次第に周りと上手くいく術を見つけ、いち早く大きな組織で上に行くことに成功したキジマは永遠に続くかと思ったシールドを50歳前に全て失う。
完璧だったシールドは企業の中に守られている自分という小さな存在だけのものだったキジマは自殺すら考える。
そしてそれぞれにそれぞれのシールドを見つけた二人は・・・。
という物語なのだが、結局は読み手はどちらのシールドが良いかなど解らないというのが現実ではないだろうか。
「あとがき」では官僚・大企業などの強い力を持つ組織・集団に入ることで得られる盾と技術・資格の取得により個人で獲得する盾とがあると書かれているのだが、殆どの人はその両方の盾すらなく、自分を守るべきもののない世界で生きているような気がする。
盾などある日突然なくなり、身一つで自分の小ささに嘆くことすら叶わずにただ日々追われる、そんな人生が多いなかで選ぶ・選ばないなど問題外のような気がして結末では共感すべき箇所のなかった一冊だった。
ただ子供には読ませると良いかもしれない一冊。

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紙の本

紙の本誘拐の果実

2004/11/30 11:07

残念としかいいようがない。もっと面白くなるはずなのに…と思ったのは私だけだろうか?

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

あぁ、残念だ。
とにかく残念と言う言葉しか思いつかないなのだ。
誘拐のアイデアや隠された背景などは新鮮だし面白いのだが、問題は事件を追いかける人達が多すぎる。
彼らがそれぞれの視線から事件を見て語っているので重複部分が多いのに加え、章ごとに人が代わるのならいいが気がついたら突然語り部が代わっているので頭の中で整理するのが大変なのである。
前代未聞の誘拐劇!と強調したくなるのは分かるのだが、二転三転するはずの事件の真相は余計な説明が多すぎて最初から犯人が分かりすぎるのも如何なものかと思うのだが…。
おそらく2つの事件が起きた時点でその後を全てすっ飛ばしてラストを読んでも意味が通じるし違和感もゼロでろう。
それくらい長く感じる。

ちなみに事件の真相も私好みではなかった。
何だそりゃ…と言いたくなるような誘拐犯の目的だったからである。
無理矢理爽やかに終わろうとする部分に不自然さ、不愉快さを感じてしまったからだ。
これならまだ「悪魔のゲーム」感覚の誘拐のほうが許せるのではないだろうか。

誘拐小説は緊張感とスピード感でドキドキハラハラしながら読むことが多いのに、この本は読んでいて睡魔に襲われること数回、興奮度がかなり低い。

真保氏の作品だからと期待が大きすぎたのか、読むタイミングが悪かったのかとにかく楽しめなかった残念な1冊だった。

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紙の本

紙の本ララピポ

2008/10/19 15:04

小説は最後まで読まないと分からないと思わせてくれた一冊

7人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

この本の何がすごいかと言えばこの内容で最終的には哀愁を醸し出しているところなんですよね。
最初の短編だけ読むと非常に腹立たしいと言いますか、奥田英朗よ、手を抜いたのか?と思わず問い掛けたくなるようなものなのです。

昔取った杵柄ではないけれど良い大学を出たことだけが心の支えとなっているフリーターの杉山博。女性にモテナイのはこの引き篭もりのような生活が理由。最近上の階に引っ越して来たホストのような男の部屋の盗聴までして自分の快楽を満たしているのですが、彼の容姿が最後まで隠されていてそれが分かった時には何ともシュールな内容に。
正直ダメ男のダメっぷりでこの先読むのはどうしましょうという第一話。
ところが第二話を読んでビックリ、この本、連作短編集だったのですね。

フリーライターの博から同じアパートの上の階にすむキャパクラのスカウトマンの健治へ、そして彼に関わるある人物へと次から次へ主役は繋がり代わっていくのです。
でも出てくるのは43歳でアダルトビデオ出るようになる主婦だったり、健治に乗せられて風俗の道へ入るOLだったり、断れない性格から職場が売春行為をする巣へとなってしまう男性だったりと、絶対に普通の生活をしていたら出会うことのない人々ばかり。
しかも彼らがその道へ入る理由は現実逃避だったり、弱さだったりと何とも言えないものばかり。しかも落ちるところまで落ちているし・・・。
自分とは遠い出来事なのだけど、どこかいそうな人達、そして一瞬道を外せばそこはごく身近な場所だったりするのです。

正直第五話までは「あらら」という人ばかりで読んでいて不快感はあるのですが流石直木賞作家と思わせるのは第六話が見事にこの本がただのエロ一色の話から刹那的と言いますか、人生の悲哀まで感じさせる出来に変身しまうところ。

第六話に登場するのは最初に登場した小百合とそれまでの話に出てきた人々。
彼女は才能もなく、成功することもなく、容姿も優れず、その自分を客観的に見ている女性。
見渡せば自分と同じような人が殆どなのに人生は延々と続く不公平さを誰も感じないのかと思っているのです。
勝ち組と負け組で分ければ100%負け組の自分達。
それでも明日はあり、それなりの幸せを感じながら生きていく。
別にそこで納得するわけではないし、あまりにも底辺過ぎて引く部分の方が多いのだけどハハハと思わず笑ってしまい、「ララピポ」だなと呟いてしまうラストなのです。

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紙の本

紙の本ママの狙撃銃

2008/06/17 20:46

好きな作家さんなだけにあえて辛口に・・・。意外さはあったけど勿体無さが強く残った作品でした。

4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

好きな作家さんの新作は読む前にすごく期待してしまうので好きになればなるほど評価自体は辛口になってしまう傾向があるので今回もやや辛目に。

さて、今回は珍しく「女性」が主役の荻原作品。
今まではちょっと情けなくて、世間で言えば「負け組」の中年男性が主役だったことが多かったので意外と言えば意外でした。
しかも彼女の仕事は「殺し屋」ですし荻原氏の女性像なのでしょうか強く生き抜く逞しさをもっているのですよね。

25年前、陽子は祖父を守るために一つの仕事をしてしまう、その過去を隠しながら築いてきた平穏な暮らしの中に突如訪れた危機。
それはKからの電話であり、弱い夫の失敗や、子供の世界の陰湿な虐めなど日常と非日常が交差しながら物語は進んでいきます。
どんな理由であれ人を殺せば自分の中の何かも失ってしまうという陽子の苦しみや、家族の為にこんなことをしてもいいのかという葛藤とは別に自分の中に流れる「暗殺者」の暗い血や祖父から学んだ技術、そして自分にある天性の職が「殺人」だと認める悲しみなど描いている世界は深いのですが、どうも途中が間延びしてしまった感じが・・・。
娘の虐めに対抗したり、かわいらしい息子はいつもの荻原さんなのですが、やはり残念なのは夫の存在。あまりにも魅力が無さ過ぎるのです。いくら何でもこれは惚れる女性はいないと思うのですが・・・、私なら故意に間違ってこの夫を狙撃しそうです。

「僕たちの戦争」や「誘拐ラプソディー」と比べると今回は全体的に笑いがなく、最初から最後まで暗い雰囲気が漂っていたのがあまり面白さを感じれなかった理由かもしれません。
ラストはいつもの荻原さんなのに何かすごく勿体無いと感じた一冊。

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紙の本

紙の本佐藤さん

2005/12/19 18:39

冒頭の「僕は佐藤さんが怖い。」の一文に思わず引き込まれてしまった一冊。

4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

「僕は佐藤さんが怖い。」
冒頭のこの一文はかなりのインパクトがありました。
何?何が怖いの?と思わず先が読みたくなるのです。
しかも主人公・佐伯君が怖がっていたモノは隣の席の佐藤さんに憑いている幽霊。何故か昔から幽霊が見える佐伯君にとって毎週入れ替わり色々なモノを背後につけてくる佐藤さんは怖くてたまらない。
佐伯君の気弱ぶりがあまりにも可笑しくてついついページを捲ってしまうそんな上手さがあるのですよね。後で知りましたがこの表題「佐藤さん」は著者が中学生の時に書いた作品だそうです。恐るべし中学生。
さて内容ですが中学時代にパシリ&いじめにあっていた主人公の佐伯君は高校に入ってからも周りにいつもビクビクしています、しかも同じクラスには元イジメッ子と似た雰囲気のクラスメイトが何故か自分に寄ってくるし、隣の席の佐藤さんには恐ろしいくらい幽霊はついている、しかも学校では優しく良い人の佐藤さんは二人っきりになるとかなりキツイ性格でいきなり除霊を頼まれてしまう。
気弱な佐伯君は見たくないのに幽霊と向かい合い何と会話までしてしまうのです。
ここまでくるとファンタジー&ユーモアのあるお話で終わるのですが章が進むにつれて気弱な佐伯君が少しずつ勇気を出していく部分や、イジメ・虐待の克服など思わぬ重さ深さを見せてくれます。
現役高校生が書いたという部分を考慮すれば五つ星でも良かったのでしょうけどどうもこの主人公達が高校生に思えなくてギャップを感じてしまったのですよね。
会話や行動が小学生に思えてしまうくらい幼い。しかも主人公が気弱というより情けなさ過ぎて、彼に対して優しい・良い人という周りの評価と私の評価は一致しなくてダメでした。
しかし今の若い子で聖子泣きとか知っている人いたのですね。そのことに驚きました。
大変良いお話なのですがあまりにも綺麗にまとまりすぎたところがちょっと残念。次の作品に期待する作家さんです。

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紙の本

紙の本

2004/12/24 10:08

ミステリ小説で語り尽くされたと思われる「嵐の山荘」の中で新たな仕掛に唸らされました。麻耶氏からの挑戦状のような1冊です。

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

ミステリ小説の中には現実味があり登場人物に感情移入の出来るものもあれば、架空の世界の物語として楽しむものがある。
この本は完全に後者で、登場人物達も会話も全て「あり得ない」ものばかりだ。
そもそもミステリとは決して殺人事件がメインではなく犯人探し&謎解きを楽しむ世界のものではないだろうか、そういう部分ではミステリ小説の中のミステリ小説とも言えるのではないだろう。
ただ最近のミステリは臨場感あふれており現実なのか空想なのか区別がつかないくらいに生々しいものが多い中でこれだけ現実味の薄い人物像と事件というのは万人受けさせるのも読者を満腹させるのもかなり難しいだろう。
それに加えて嵐の山荘というクローズド・サークルの中で起きる殺人、過去の事件との関係、しかも特徴ある「館」と何となくあの有名な「館シリーズ」を想像させる舞台設定の中で麻耶氏は一体どう読者を唸らせるように料理していくのだろうか。
麻耶氏に挑戦状を叩き付けられたような感じの作品なのである。
読みながら犯人像を想像を膨らませていき、全体に漂う違和感を感じながら読み進めていく。
そしてあのラストである。
ミステリ小説の中で今まで何度も作者の仕掛けに騙されてきたが今度はこの方法で騙しにくるとは!
あの違和感は全てここに繋がっていたのかと最後に納得させられるのである。
ラストを読んでもう一度最初に戻りたくなる。
最近のミステリは1冊で2度楽しめるからやめられない。

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紙の本

紙の本パパとムスメの7日間

2006/10/18 16:21

親子で読んで楽しめそうな一冊です。最近ムスメさんが会話をしてくれないという世の中のお父さん、この本をムスメさんに読ませてみては如何でしょう。

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

いまどきのごくごく普通の女子高生・小梅。
小梅の願いはケンタ先輩との両想い。
もしかしてケンタ先輩も私のこと・・・・?初デートまであと少し。
冴えないごく普通の中年サラリーマンのパパ。
会社では円満を目標に平和主義で生きている。最近の悩みはムスメの小梅と会話がないこと、父親ってそんなにうざいもの?
そんな二人大地震後に目を覚ましたら人格が入れ替わっていた。
ムスメがパパで、パパがムスメ。
17歳のサラリーマンと47歳の女子高生。果たして二人は無事に危機を乗り越えれるのか?
あらすじだけ読むと突拍子もないような設定ですが、人格が入れ替わる本は結構出ているので「おぉ」と驚くような新鮮さは特にありません。
そして物語の展開も本のタイトルと各章のタイトルだけで読めてしまうので読む前からラストが分かった物語といわれてしまえばそうなのです。
私にとって読書とは「この先どうなっていくのだろう」というハラハラ感を味わうためのものなのでそういう意味ではラストが分かりきっているこの本は面白いけれどもページを捲る手が止まらないというまではいかないので評価としては★3つの普通になりました。
たとえラストが分かっていても面白いと思えるのは主人公の二人のポジティブさが魅力的だからです。
久々に口を開く二人なのに人格入れ替わりという危機状態ですから会話のキャッチボールと言うよりもドッジボールという感じ、まるで漫才を見ているかのように笑える会話ばかりなのです。
47歳のおっさん女子高生がムスメの部屋でドキドキしたり、初デートで思わず自分の過去を思い出したりと、このパパが何とも可愛らしいですし、念願叶って初めてのケンタ先輩とのデートのはずなのに肝心の中身がパパという小梅の焦り具合がこれまた可愛らしいのですよね。
この小梅の部分はコメディタッチで全て楽しく読めたのですが、やはり17歳の女子高生サラリーマンには無理が出ていたかなと。さすがにこんなに簡単にいく会社はないでしょうと思ってしまうので・・・。
しかし全体的にムスメよりもパパの気持ちが良く分かってしまうのは私が女子高生より中年サラリーマンに近いということでしょうか。
それにしてもこれだけ濃い二人なのにママの存在感があまりにもナイのも気になります。ママが物語に入ってきたらもっともっとドタバタコメディになって面白そうなのに。
ハラハラ・ドキドキ感はあまりないけれど、クスリと笑えて楽しい気持ちにさせてくれるので通勤のお供に丁度良い一冊です。
最近ムスメと会話をしてないパパに。最近パパと会話をしていないムスメさんに、一家揃って読むのもいいかもしれません。

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紙の本

紙の本グルーヴ17

2005/05/19 14:37

十七歳の生の声を聞いたような気がしました。

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

学園ものと言えば爽やか、青春という文字が似合いそうですが、戸梶氏に限ってはそんな綺麗な言葉は全くと言ってもよいほど似合いません。
そんな戸梶氏が直球の青春ものを書いた時、一体何が起きるのか?今まで戸梶氏の作品を読んだことがある人には想像出来そうですが、ご想像の通りそこには生の十七歳の飾らない叫びが本から飛び出してきます。特に男の子の心の叫びが・・・。
芸能科に通いテクノに没頭する悠伍。
自分の作り出す音に酔いしれる日々を送りながらもやはり十七歳そろそろ初体験を済ませたいと思うのだが、同じするならいい女としたいと考えている。
一方パンジン科に通う隆弘は頭の中ではいつも誰かに暴力を振るうか女とすることしか考えていない、そして友樹は一度だけ女の人と経験できれば自殺しちゃってもいいやと考えているほど鬱状態に陥っている、ともに悠伍と同じ高校の十七歳。
モテナイ最低の日々を過ごす隆弘と友樹の前に現れたのは誰がどうみてもマトモじゃない男・広野。広野の企みによってパーティに芸能科の女の子を呼ばなくてはいけないことになった日からそれぞれの運命は分かれていくことに・・・。
基本的には三人の男の子からの視点で物語が進むので十代の男の子の性欲と言いますか欲望の大きさが本から溢れ出そうな感じです。
笑える人には笑えるのでしょうが、十七歳の年頃の息子を持った方は読まない方がいいかもしれないですね。それくらいリアルというか生々しい若者の叫びなので。
そして同級生の女の子達がまた彼らに比べると何倍もませているし度胸も人生の渡り方も上手いところが現実味があっていいんですよね。
戸梶氏の特徴は救われない者は最後まで救われないし、最低の人間は最低のままで終ってしまうところです。また運命によって大きく分かれた三人の少年達の最後も淡々としていて、そこに友情も愛情も美しさも感じないところが逆に良さを引き出しているような気がします。
今までの作品に比べると比較的壊れ具合が柔らかいので著者の作品を初めて読む方にはこの作品からがオススメですね。

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紙の本

紙の本No.6 #3

2004/12/14 13:47

細かな心の動きを書いてあるのは素晴らしい。でも待ちに待って進んだのがほんの数日なのはちょっとガッカリ。

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

壁1つで「No.6」と他の地域は裕福と貧困、生と死に分けられている。
ネズミに助けられた紫苑が今いる西ブロックでは誰もが「生き延びる」ことに必死。他人の心配などしたこともない人々ばかり。
甘いと言われようが飢えに苦しむ子供がいれば手を差し出してしまう。当然のように食べ物は奪われ逆に痛い目に合う…それでも紫苑は変わらずにいる。
そんな紫苑と出会うことでイヌカシもネズミ同様に少しずつ変わっていくのだった。

さて今回中心となるのはネズミの心の動き。
「No.6」を憎み崩壊を目指すネズミにとって紫苑は危険な存在。頭では切り離せと警告が鳴っているのにあの晩、窓を開けた紫苑に出会ってしまったネズミは、紫苑を忘れられずまた離れられない運命だとも感じている。

物語の設定はかなり面白い、近未来を設定していながら現代にも少し当てはまる部分もある。
ただ#2と比べるとそれぞれの心理描写が丁寧に書かれている分物語が全く進まない。これがかなりじれったい。
沙布が拉致されてから3日程度の事柄が一冊に書かれているためこの巻を飛ばして読んでも物語が通じるのではないかと思うくらい進展自体は全くない。
必要といえば必要な彼らの心の動き、躊躇いなのだが、ここまで綿密にネズミの心の葛藤を書かれると後の展開が一通りしかなくなってしまうような気がしてしまうのだが…。
紫苑はNo.6の人々を救うことを望み、ネズミはNo.6の人も含め全てをを破壊することを望む。
いつか対立しなくてはいけない二人、そしてそこが一番の見所なのにこの時点で既に答えが出ているのではないだろうか。
また個人的に何が不満かと言うと「あとがき」で著者は「テロリスト」の言葉を前回から使っている。果たしてネズミは「テロリスト」に当てはまるのだろうか?

おそらくネズミ自身の生まれの秘密やNo.6誕生の秘密・蜂に関することなど謎が解けるたびに違った風景を見せてくれるのだろう。この部分はかなり期待しているのだが、何分次作が出るまでにまたかなり間があるのが辛い。
期待して読んで物語が進まないのは辛いので出来たら次作ではもう少し物語が進んで欲しいものだ。

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紙の本

紙の本ゆらぎの森のシエラ

2007/07/19 22:03

出来ればもっと長い物語として読みたかった一冊。

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

塩を含んだ霧に囲まれ作物は育たず、また狂暴化した動植物に度々襲われ次第に滅びの方向へ向かう地、キヌーヌ。
全ては創造主であるパナードにより創り上げられた世界。
異形であり禍々しい姿でありながら救世主とした現れた守護神・リュクティもまたパナードが創造したものでしかない。

そんなキヌーヌの森の深くに住む少女シエラ。
自らを妖精伝説を伝えるために生まれた巫女だと名乗るが下手物喰いのため人々が森の奥にある小屋へと追いやった少女。

そしてシエラが金目と呼ばれる殺人鬼と出会ったとき、静かにそして急速に創造された世界は動いていく、それは破滅への道でもあり救済への道でもある。
世界の原理とは一体何なのか。
全ての生き物が行う食物連鎖の果てに少年と少女が導き出した「答え」とは。
生命がその「生きる」という欲望を満たすために見つけ出した手段、強いものを吸収し更に進化を続けた結果辿り着いた先にあるものは、破滅なのかそれとも一縷の光なのか。

バイオSFのこの作品はあまりにも題材が壮大過ぎてとてもではないが1冊の本で収まる内容ではない。
そのためどうしても話がいき急ぎ過ぎて奥深い話のはずなのに世界観が薄くなり勿体無い感じがしてしまう。
出来ればもっと長い物語として読みたかった一冊。

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紙の本

紙の本ガールズ・ブルー

2004/10/12 15:33

落ちこぼれだけど私達は素晴らしいと言い過ぎていて微妙に違うだろうと感じてしまった1冊でした。

2人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

大人達の偏見や将来のことよりも「今」を生きることに必死な少女達。

読了後すぐの評価は高かったのですが、時間が経っていざ感想は?と考えるとだんだん評価が落ちてきてしまった作品です。
冷たいのかもしれませんが、彼女達の青春ってやっぱり自分本意なんですよね。
自分でも10代の頃って同じような感覚でいたのだろうとは思いますが、「落ちこぼれ学校に通っているけれど私達は他の誰よりも素晴らしい」という感覚にはちょっと抵抗が出てしまうのです。
制服で判断される場面もあるのですが、それってある意味当然なんですよね。
そうやって区別されるのが嫌で皆勉強する部分ってあるわけですし…それなのに努力するのは嫌いだし苦手だからしないけど見た目で判断されたくないと言うのはただの身勝手な意見のようにも思えてしまうのです。

同じく落ちこぼれ高校の生徒達を描いた作品に金城一紀氏の「レヴォリューションNo.3」がありますがあちらは読了後も気分がよく評価も高かったです。
多分彼らは自分達を認めろとは言わなかったから、そして今回の彼女達は自分達を認めろと言葉には出さずとも感じるから後から身勝手さを感じてしまうのでしょうね。
両方とも作品は構成が似ているのですが(病気の友がいたり)、与える印象の差はこの本が同性の物語だからだと思います。
何となく「ちょっと違うだろう」と感じることが多かったので…。
多分これには現在通勤中に女子高生達の携帯攻撃やお喋り&化粧攻撃にあって彼女達に対して不愉快に思っているからかもしれません。

かなり貶していますが登場人物達は良い子達なんですよ、ただ私がすっかりと「近ごろの若いもんは…」というオバちゃんの考えになってしまっているだけです。(笑)

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紙の本

紙の本電車男

2004/12/15 12:55

恋愛本というよりは一風変わった友情本。殺伐とした世の中を明るくしてくそうな1冊ですね。

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今年の恋愛本の中で「セカチュー」に続いて彗星のように現れ話題をかっさらったのがこの「電車男」。
一体「電車男」とはなんぞや?とずっと気になっていた1冊。
そして届いた本のページを開いてまずビックリ。
普通の小説だと思っていたのに2ちゃんねるそのままの形で綴られているのだ。
そして著者の「中野独人」氏も実は架空の名前。
何から何まで驚かされた「電車男」との出会だった。

私自身ネットはしているのだが2ちゃんねるは別世界のような気がして見ることはまずない。理由は匿名性が高いと言いたい放題となり悪意が露わになるような気がしていたからだ。
ところがそんな2ちゃんねるに対する意識を変えなくてはならないかも…と思わされたのがこの「電車男」だったのだ。

最初は2ちゃん言葉に慣れずに読むのに只管苦労。電話汁って何?とか、良く分からない絵文字に思わず私ってもう若者についていってないのかも…と落ち込んでみたり。
でも何故なんでしょうね、読んでいるうちに「電車男」を応援したくなるのです。
ブランド名も知らず、美容院に行ったこともなく、また女性と一緒に歩くのも初めての「電車男」。
彼の相談にPCの向こうにいる毒男(独身の男の意味なんでしょうね?)たちが熱く語るのです。顔も知らない「電車男」の一言一言に燃える男・悶える男・アドバイスする女と実に様々。
「電車男」と「エルメス」のデート報告を待ち続ける彼らの姿も何だか微笑ましいのですよ。
読み難かったこの2ちゃんねる形式もリアルタイムな会話に読む手が止まらなくなりました。
どうなんだ、どうなったんだ電車男よ!とワクワクドキドキしながらページを捲る自分がいるのです。
一風変わった恋愛本ですが、酔っ払いから人を助けたり、顔も知らない人のために親身になったりと久々に良い話を読んで読了後はかなりの爽快感。

恋愛本というよりはちょっと変わった友情本ですね。

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