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難解なのにハマってしまう!?小説そのものを批評する「メタフィクション小説」
小説というジャンルを批評する小説と言われ、いざ読み始めると脱線と引用の嵐・・・、そんな「メタフィクション小説」と呼ばれる小説があります。少し難解ではあるのですが、読破してその魅力を理解できたときには、普通の小説にはない読後感を味わえます。そんなメタフィクション小説の名作として知られているものを紹介します。
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伝奇集
J.L.ボルヘス(作) , 鼓 直(訳)
知的な言葉遊びを駆使した、南米ポストモダン文学の教祖ともいえるJ.L.ボルヘスの処女短編集です。アルゼンチン国立図書館の館長を務め、小説に引用学とハイパーテキストを持ち込んだ真の本マニアとして知られるボルヘス。本書に収録された「バベルの図書館」には架空の図書館と書物が登場し、言葉の迷宮に迷い込んだような錯覚に襲われます。
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重力の虹 上
トマス・ピンチョン(著) , 佐藤 良明(訳)
寡作の理系作家トマス・ピンチョンの伝説的な問題作です。物理力学が根本におかれているのですが、現代知識の塊のような小説で要約するのも困難な物語。主要な筋はナチスのV2ロケットとスロースロップ中尉の謎の関係を追うというもので、300人超の登場人物と多重ストーリーはまさにメタフィクションの真骨頂と言えるでしょう。
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薔薇の名前 上
ウンベルト・エーコ(著) , 河島 英昭(訳)
ウンベルト・エーコが1980年に発表した推理小説で、実は本書をもとにした映画で描かれていたようなカトリック修道院で起きた怪事件を修道士が暴く、単純な物語ではありません。無数の書物への言及、キリスト教神学からの膨大な引用、超虚構が見事に織り込まれた重厚なメタフィクション文学で、言葉や記号という概念を根底から揺るがす大作です。
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