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気分はもう盗み読み!? あまりにもリアルな日記文学
日記や手記の形で書かれた文学というのは物語とは一味違った、生々しいリアルさがあります。主人公の胸の内がさらけ出されたもの、事実が淡々と綴られたもの、どれもが同じように胸に迫ってくるから不思議です。パートナーの携帯電話の盗み見なんて生温かいと思えるような、人様の日記を盗み読んでいるような気分が味わえる本を紹介します。
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知的障害を持つ青年チャーリイが脳手術を受けIQ185の天才となり、その後もとの知能に戻ってゆくまでが、本人の書き残したメモや手記を追うような形で描かれた小説です。子どものような文体が徐々に洗練され、しだいに衰退していくさまは、一度身につけた知能を失うことで生まれる、主人公の心の葛藤や物語の切なさをより一層強めています。
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鍵
谷崎 潤一郎(著)
カタカナで書かれた夫の日記と、ひらがなで書かれた妻の日記が交互に展開されていく小説です。2人の日記には、相手への不満や性への赤裸々な思いが綴られています。お互いの日記を盗み読みし合う夫婦の心理的な駆け引きや、「日記」より物語の方が早く進むためにどこまでが真実なのか明らかにならないところが、スリリングで魅惑的です。
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作家・武田泰淳の妻である武田百合子が残した、富士桜高原で過ごした12年間のドキュメント。書かれているのは一日の食事内容や買った物の値段など、一見すると何のおもしろ味もないことばかりですが、どうにも癖になってしまう不思議な本です。人称や文体が日によってまちまちであるのが、とてもリアル。日記文学の金字塔的な一冊です。
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