衝撃の読後感！読めば後悔するほど後味の悪い物語

隣の家に引っ越してきた美しい姉妹。12歳の少年はすぐに心惹かれますが、ある日、2人が親から折檻されているところを目撃します。虐待は日に日に激しくなり、やがて姉妹は地下室に閉じ込められますが、少年は傍観者でしかいられませんでした。歯止めの利かない狂った日常が延々と続く物語。読後の不快感は確実です。

実際に起こった「北九州監禁殺害事件」をもとに描かれた物語です。数々の暴力的描写、洗脳によって家族同士を殺し合わせる凄惨な描写など、読み終えるのには相当の胆力が必要です。事実であるがゆえに、ただのグロテスクなスプラッタ小説に止まりません。読めば読むほど胸がつっかえる感覚に襲われます。

日常生活を壊す侵入者がいるのに、警察や法律が何もしてくれないとしたら・・・。母と妹と暮らす17歳の青年の前に、母に縁のある男が現れ、妹を乱暴しようとします。そんな状況で誰も助けてくれないことを知った青年は、完全犯罪を考えます。無力感と孤独感に包まれ、犯罪者にならざるを得なかった青年の、救いのない物語です。

とある田舎町、15年前に少女が殺害されました。少女の友人であった4人は犯人と会話したはずなのに、記憶が曖昧で、事件は迷宮入りします。そんな4人に少女の母は「絶対に許さない」と放言。耐え難い罪の意識、贖罪がもとに起こる悲劇の数々。連鎖する不幸に憂鬱が止まらず、読後には無力感がただ残ります。

心をえぐり体に変調をきたすほど「厭」な短篇が、7本も収められています。生理的な嫌悪感を覚えたり、気が滅入ったりするほどの怪作ですが、感触はただただ不愉快です。地味なテーマながら、現実味のある人間の厭な部分が高密度に圧縮されたような、そんな気味の悪い後味だけが読後に残る一冊です。