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ゾクゾクするような技巧と意外性!「奇妙な味」の海外短編小説
欧米では移動中や就寝前に上質な短編小説を読むのは紳士淑女の愉しみの一つになっていて、感動的なもの、笑えるもの、さまざまな短編が書かれています。そして、ひねくれたユーモアや残酷さに、意外な結末をもち、読後に複雑な後味を残す短編を江戸川乱歩は「奇妙な味」と形容しました。ここでは、そんな「奇妙な味」をもつ短編集を紹介します。
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ロアルド・ダールは「妄執」を描くのが巧みな作家で、思い込みと執念が生む残酷さを鮮やかな技巧で綴っています。本書はそんな彼の代表的な短編集です。「南から来た男」の主人公は、プールサイドで出会った賭け好きの老人。ライターで火をつける勝負に「指を賭けよう」と言い出し・・・。淡々とした展開のはてに総毛立つオチが待つ、衝撃的な短編です。
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特別料理
スタンリイ・エリン(著) , 田中 融二(訳)
エリンは巧みな描写に定評がある作家で、「オチに気づいても楽しめる」と言われることすらあります。「アミルスタン羊」という美味すぎる肉を食べさせるレストランを舞台にした表題作では、肉の正体の想像がつくからこそのさりげない描写が恐怖を誘います。本書には、そんな技巧を凝らした10の短編が収録されています。
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不思議のひと触れ
T.スタージョン(著) , 大森 望(編)
スタージョンの物語は、どれも「孤独に対する限りない共感」が主題になっているといえるでしょう。だけど、その発想があまりに常識とかけ離れたところにあるため、「奇妙な味」を醸し出してしまうのです。表題作にはお互いを人魚と勘違いした男女が登場し、いつのまにかロマンチックで幻想的な物語に変わっていきます。
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街角の書店 18の奇妙な物語
F.ブラウン(ほか著) , S.ジャクスン(ほか著) , 中村 融(編)
「奇妙な味」をもった18の短編を集めたアンソロジーです。著者も実に多彩で、文豪スタインベックやイーヴリン・ウォー、SF界の鬼才ゼラズニイ、ヒロイック・ファンタジーの始祖ライバーなど大物がずらり。ユニークでひねりの利いた大御所たちの短編を、あれこれ読み比べることができる贅沢な一冊です。
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サキ短編集 改版
サキ(著) , 中村 能三(訳)
「奇妙な味」をもつ小説を書く作家の、元祖的な存在といわれているサキの傑作短編集です。「開いた窓」という有名な一編は、死んだ家族の帰りを待って窓を開けたままにしている、心を病んだ未亡人に会う物語。ところが本当に家族らしい人影が帰って来て・・・。最後に強烈などんでん返しがあり、すべてがブラックジョークになる至芸が味わえます。
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