成績だけでなく人間関係にも悩む・・・母と子のお受験問題の一端を垣間見る小説

主人公の香織は、退社を機に母校の広報を手伝うことになります。そこでは、子どものお受験に挑む母親たちの駆け引きや愛憎劇が展開され、母親たちの代理戦争が垣間見えます。子への愛情ゆえ暴走する母親たちを見て、子どもをもつことの意義や受験の本質について考える香織。第三者の視点からお受験の裏側を垣間見れる小説です。

中流家庭の主婦・由美子には、高校中退の息子と合コンに明け暮れる娘がいます。由美子は将来のためにと子どもに受験させたものの、理想とは異なる2人の現状に苦悩しています。「上流」になってほしいと願う親と、親とは違う価値観をもつ子どもたちのすれ違いがリアルに描かれ、子どもの幸せについて考えさせられます。

裕福なママ友に影響を受け、子どものお受験を決めた主婦・のぶ子が主人公。ママ友へのコンプレックスや娘かわいさのあまり、少しずつ理性を失っていきます。合格のためなら手段を選ばないお受験ママたちの姿や、のぶ子自身の心の闇にゾッとすること必至。子どもの受験にのめり込む危うさに気づかせられる物語です。

タワーマンションに暮らすセレブママグループを描いた小説です。居住階や夫の職業、子どもの進路で格付けされる母親たちが、嫉妬や差別によって心揺れる様子が描かれています。子どもの受験がステイタスという、独特な価値観の人間関係にスポットを当てていて、受験する意義や母子の関係、ママ友についても考えさせられます。

5人の主婦のいびつな人間関係を描き出した小説です。育児を通して仲よくなった5人が、子どもの成長や「お受験」を通して次第にいびつな関係になっていく様子が、丁寧な心理描写で浮かび上がります。受験をめぐるママ友への嫉妬や見栄の張り合い、足の引っ張り合いなどがリアルで、母親たちの本音にドキリとします。