ブックキュレーターhonto編集員
日本が世界に誇る?私小説という日本文学の伝統とその洗練がわかる本
日本文学における主流を形成してきたジャンルの一つが「私小説」です。作家が自らの私生活をネタに小説を書く。しかしこんなジャンル、世界を見渡してもなかなかありません。私小説は日本で独特の進化をとげてきたのです。ここで取り上げた新旧の私小説を読めば、日本の私小説のバリエーションの豊富さを知ることができるでしょう。
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近代日本文学の黎明期を飾る私小説といえば「蒲団」です。作家志望の美しい女性を弟子として住まわせた著者が、彼女の寝ていた蒲団に顔をうずめて匂いを嗅ぐシーンはあまりにも有名。私小説の系譜はここから始まった、といっても過言ではありません。過激はさらなる過激を求め、以後、私小説は多くの追随者を生みます。
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死の棘 改版
島尾 敏雄(著)
著者・島尾敏雄のたび重なる浮気への嫉妬に狂った妻と、そんな両親に振り回される2人の子どもたちとの滅茶苦茶な暮らしを詳細に綴った一冊です。内容は壮絶。しかし、過激なだけではありません。本書が傑作たるゆえん一つは、過酷な状況下でさえユーモラスに振る舞う子どもたちが生き生きと描かれていることだといえるでしょう。
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本作の登場人物はみな「鳥」や「火見子」など、奇妙な名をもっています。しかし作中で描かれている交友関係や、脳に障害のある子をもつ経験などは、多くの部分が事実に基づいているのです。以後の大江作品にも共通する、どこまでがフィクションかわからない私小説。その作風は事実と虚構の区別を超え、独特のリアリティを備えています。
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