破滅的でも愛おしい。謎の作家・舞城王太郎が描くちょっと激しい愛情表現

第19回メフィスト賞を受賞したデビュー作です。改行を極力排した独特の文体で、外科医・奈津川四郎と家族の関係を描いたセンセーショナルな小説です。母親の巻き込まれた事件の犯人を捜すというミステリー要素も含んでいますが、物語の本質はそこにはありません。タイトルの意味がわかった瞬間、体が震えることでしょう。

多くのギミックを秘めた小説です。愛する女性を失った男をいろいろな角度で描いていますが、本当のところは・・・。アッと驚く結末が待っているわけではないですが物語のもつ意味を理解すると、「愛する人を失うってそんなに軽いことなの？」という舞城王太郎からの問い掛けが聞こえてくるかのようです。

三島由紀夫賞を受賞した際、審査員たちの間でも賛否両論が巻き起こった小説です。暴力的で冒頭からきつい下ネタもありますが、事件や出会う人々を通して主人公の女子高生・アイコが、愛とは何かに気づくまでを駆け抜けるように描いています。女子高生言葉を効果的に使った、勢いのあるセリフにも注目です。

三つの物語を収録した短編集です。表題作は、空飛ぶ一家に透明魔人との戦い・・・など破天荒な設定ですが、「愛さえあれば大丈夫！」というポジティブなメッセージが感じられます。インパクト抜群の『家族なんて入れ替え可能だっつうの』というセリフをどうとらえるかで、印象が180度変わるストーリーです。

全14巻からなる舞城王太郎原作のコミックです。コミカライズされたことで、独特な文体を苦手に感じる人でも舞城ワールドに入りやすくなっています。純愛を描いた青春物語ですが、謎の奇病が蔓延する世界観は相変わらずぶっ飛び気味。エンタメ作品としても純粋におもしろいので、一気読みもオススメです。