ブックキュレーターhonto編集員
痛ましい史実、だからこそ目を背けずに語り継ぎたい戦争を描いた絵本
戦争を説明することは難しい上に、言葉だけではうまく伝わらない気がします。大事なのは人に言われて「戦争を二度と起こしてはいけない」と思うことではなく、失ってはいけない命の重みを実感することなのでしょう。そんな時こそ絵本の力が発揮されます。絵を見ただけで、内容がわからなくても恐ろしいことなのだと理解できる絵本をセレクトしました。
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ひろしまのピカ
丸木 俊(文・絵)
表紙を開いて中の絵を見ただけで、何か恐ろしい話が始まるのだと予感させる威力をもった絵本です。まちにピカが落とされて家から逃げる時に、女の子がもっていた赤いはしが4日間も握られていたことが印象に残ります。最後にそえられた展覧会のおばあさんの原爆体験が、戦争のむごさを物語っています。
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かわいそうなぞう
つちや ゆきお(ぶん) , たけべ もといちろう(え)
戦争の悲惨さを人間のことではなく、動物がどうされたかを描くことで教えてくれる絵本です。爆弾が動物園におとされ檻が壊れたら、恐ろしい動物が暴れて大変なことになるという理由で、殺されることになりました。頭のよいぞうにはエサに毒を混ぜて食べさせようとします。その後にどうなったかは、涙なくしては読めません。
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空襲で奇跡的に助かった塚本千恵子さんの体験を、息子である塚本やすしさんが絵本にしました。まさに、親から子どもに語り継がれた話です。アメリカの爆撃機B-29が何をしたのか、軍事施設ではなく普通の家の人間を狙った焼夷弾の恐ろしさを知ることになるでしょう。
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ちいちゃんのかげおくり
あまん きみこ(作) , 上野 紀子(絵)
「かげおくり」その言葉が浸透したきっかけの絵本です。影法師をじっと見つめて10数えた後に空を見上げる、子どもの頃に意味もわからず真似をした人もいるでしょう。青い空にくっきりと白い影が四つうつることが、これほど切ないことだと初めて知るはずです。ぜひ最後のあとがきまで読んでください。
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一つの花
今西 祐行(文) , 鈴木 義治(絵)
「一つだけちょうだい」いまの時代に聞くと愛嬌があるように感じる言葉ですが、戦争時に聞くこの言葉からは違う気持ちが生まれます。食料が十分ではなかった時代に、「一つだけ」は切実さを物語るものでした。出征時の貴重な白米のおにぎりを全部食べてしまったゆみ子へ、父親から渡されたものからは命の大切さを感じます。
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