偉大な作家たちがぐっと身近に！楽屋ウケ上等の文学エンタメ

『ああ、いやだ、いやだ。小説なんか書くのはいやだ』。明治・大正から現代まで、大物作家たちの「しめきり」にまつわる手記や書簡ばかりをあつめた抜粋集です。〆切までの苦悩や原稿を落とさないコツ、はては編集者へのお詫び（言い訳）の手紙まで、切羽詰まったプロフェッショナルたちの姿はあまりにも新鮮です。

作家・嵐山光三郎が最も得意とする、食×文豪の傑作エッセイ集です。漱石、鴎外から三島由紀夫や檀一雄まで、作家たちのちょっと変わった食への執着エピソードが満載。単なる裏話に終わらず、「食べること」を切り口に作家論や作品分析まで突っ走ってしまうところが本書の魅力で、少々独断的なところがまたおもしろくもあります。

もとはTwitterの投稿から広まった「もしも」シリーズ。テーマはカップ焼きそばの手順（湯をわかす→注ぐ→3分待つ）ただ一つ。これを文豪たちの「ぽい口調」へと勝手に書き換えてしまう、パスティーシュ（文体モノマネ）の楽しみ。太宰や村上春樹、トマス・ピンチョンなど、クセの強い「作り方」がそろっています。

主人公の江戸川乱歩は、大御所になっても他人の目と評判を気にする小心者。執筆のために引きこもったホテルで、美しい中国人のボーイや金髪の人妻に妄想をかきたてられ、憑かれたように新作を生み出し・・。まがまがしい物語世界と人間味あふれるオジサン乱歩の現実とが、パラレルワールドのように描かれる怪奇ファンタジーです。

タトゥーを入れた鴎外と、六本木のホステス樋口一葉が恋に落ちる!?めちゃくちゃな設定とタイトルだけを見て、勘違いするなかれ。明治の文学を敬愛して現代の日本文学を憂う、高橋源一郎の挑戦的なメタ・フィクション小説です。文学とは、小説とは何か。文学ファンから賛否両論を受ける本書をあなたはどう感じるか、ぜひお試しください。