ブックキュレーターhonto編集員
古典以外にも名作多し!2010年代に書かれたディストピア小説
理想郷の反対を描くディストピア小説。アメリカのトランプ政権誕生を機にオーウェルの『一九八四年』などの古典的名著が再注目されるなど、近年耳にすることが増えてきました。ロングヒットしている古典作品が注目を集めがちですが、現代小説にも名著は数多くあります。ここでは2010年代に書かれた、新しいディストピア小説を紹介します。
- 34
- お気に入り
- 2305
- 閲覧数
-
スレーテッド 1 消された記憶
テリ・テリー(著) , 竹内 美紀(訳)
EUから離脱した2054年のイギリス。主人公のカイラは「スレーテッド」と呼ばれる記憶消去の手術を施されています。脳内のチップと手首の機械で感情までも制限される社会で、カイラは真実を求めて国家や組織、自分自身と戦います。過剰な管理社会の恐ろしさを痛感させられる長編小説です。
-
舞台となるのはAIがすべてを決定し、恋人や仕事がその人のスコアによって決められる究極の格付け社会。レコメンドシステムや評価システムといった、今でも身近な存在に支配されている社会です。役立たずと格付けされたペーターの、役立たずのロボットたちを引き連れた冒険を描いた、クスッと笑えるディストピア小説です。
-
2022年のフランスで、極右政党との争いを制し穏健派イスラーム政党が大統領選挙での勝利を収めた後の話です。国家の方向性が大きく変わったあとにも続く日常からは、巨大な力の前に服従せざるを得ない人々の弱さを痛感します。民主主義のあり方をも問う問題作です。
-
政権交代の結果、女性のみが1日100語までしか話していけないとされたアメリカ。家父長制を絶対とする政治が行われ、同性愛者の人権も奪われます。宗教的思想と政治が密接に結びついた先の悲劇を描いています。声を上げることの大切さを痛感することになるでしょう。
-
R帝国
中村文則(著)
架空の島国であるR帝国で、突然戦争が始まります。その戦争に疑問を持った2人の男性は、絶対的な権力を持つ「党」に立ち向かっていくことになります。作中に描かれる正義や大義を持たずに自分に身近な範囲の幸福のことしか考えない民衆の姿に、思わず自分はどうか・・・と考えてしまいます。
ブックキュレーター
honto編集員ブックツリーとは?
ブックツリーは、本に精通したブックキュレーターが独自のテーマで集めた数千の本を、あなたの"関心・興味"や"気分"に沿って紹介するサービスです。
会員登録を行い、丸善・ジュンク堂・文教堂を含む提携書店やhontoでの購入、ほしい本・Myブックツリーに追加等を行うことで、思いがけない本が次々と提案されます。
Facebook、Twitterから人気・話題のブックツリーをチェックしませんか?
テーマ募集中!
こんなテーマでブックツリーを作ってほしいというあなたのリクエストを募集中です。あなたのリクエスト通りのブックツリーが現れるかも?
テーマ応募フォーム
こんなテーマでブックツリーを作ってほしいというあなたのリクエストを入力してください。
ご応募ありがとうございました。
このテーマにおける、あなたの”6冊目の本”は?
※投稿された内容は、このページの「みんなのコメント」に掲載されます。
コメントを入力するにはログインが必要です