ブックキュレーター哲学読書室
人間はずっと人生を嫌ってきた――古今東西のペシミズム
人間はずっと人生と世界を嫌悪してきた。ここで紹介するのは、そんな嘆きと呪詛のほんの一部だ。人間には明も暗もあるが、今回は主に暗部ばかりに惹かれる人のために選んだ。ただ、人間が残してきた暗い思想の意味を考えるのは、決して陰気な物好きだけの仕事ではない。【選者:大谷崇(おおたに・たかし:1987-:ルーマニア思想史研究)】
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ショーペンハウアー以降、あらゆるペシミズムは彼の影響を受けているといっても過言ではない。人生を明確に苦であると認め、生への盲目的な意志とその放棄による救済が説かれる本書は、ペシミズムの思考の型の一つを示しているという意味でも、疑いなくペシミズム哲学/思想にとって最重要の書の一つ。
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意志と感情の滅却による人間の終わり、その終わりに耐えられる人間と耐えられない人間。本書はその耐えられない人間の物語であり、ウエルベックの著作では、もっともショーペンハウアー哲学およびシオランとの関連が興味深い著作でもある。
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人間怪物論 人間脱走の哲学の素描
ウルリヒ・ホルストマン(著) , 加藤 二郎(訳)
「シオランを超える反ヒューマニズム」と号された、地球上の全生命の絶滅を主張する書。人間の存在意義を全生物の絶滅に見出し、この結論に至るまでの主に西洋のペシミズム思想を神話から現代まで歴史的にまとめている。今風にいえば極端に積極的な反出生主義。シオランを超えているかどうかは、ぜひ読んで確かめてほしい。
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生まれてきたことが苦しいあなたに 最強のペシミスト・シオランの思想
大谷 崇(著)
ペシミストは生と世界を嫌悪することを愛してしまうがゆえに、逃れたかった当のものから離れられなくなってしまう、というジレンマをシオランの思想を紹介しつつ論じている。このジレンマ、失敗、中途半端さによってペシミズムは「生きる知恵」とならざるをえない。シオランはこの知恵を私たちに示してくれる。
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哲学読書室知の更新へと向かう終わりなき対話のための、人文書編集者と若手研究者の連携による開放アカウント。コーディネーターは小林浩(月曜社取締役)が務めます。アイコンはエティエンヌ・ルイ・ブレ(1728-1799)による有名な「ニュートン記念堂」より。
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