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フィクション?ノンフィクション?著者自身が語るあまりにもリアルな物語
一人称の小説はたくさんありますが、語り手はほとんどの場合、著者が創造した主人公。語り手と著者が完全に一致していることはあまりないでしょう。ここでは、著者本人が自分の体験としてリアリティたっぷりに語った物語を集めました。読みながら「まさか本当にあったことでは?」と思ってしまったら、あなたはもう著者の術中にはまっているのです。
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著者のアンソニー・ホロヴィッツが、実際に起きた殺人事件の捜査を取材するという体で書かれたミステリー。作中では事件のほかに、小説の創作秘話や実在のドラマの制作裏話など、興味深くかつリアル度をアップする情報も載っています。某大物映画監督も実名で登場し、業界の裏側を覗いた気分になれる一冊です。
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実話怪談の執筆を依頼された著者。自身の体験や、知人や読者からの情報をもとに連載を開始しますが、それぞれの物語に潜む共通点に気づいたとき怖ろしいことが・・・。著者の実名で語られるだけに、そのリアルさは格別。読者をも巻き込み逃れられない恐怖を描く、実話怪談の真骨頂が発揮されています。ぞわりと鳥肌が立つ最後の一行は必読です。
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伝奇集
J.L.ボルヘス(作) , 鼓 直(訳)
メタフィクション的な構造が著者の持ち味ですが、本書所収の短編「トレーン、ウクバール、オルビス・テルティウス」にもその手法が発揮されています。私=ボルヘスが友人(実在の作家ビオイ・カサレス)と発見した別世界をめぐる物語は、実在の人物や雑誌名を折り込むことで、非現実のなかに不思議なリアル感を生み出します。
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プリンス・ザレスキーの事件簿
M.P.シール(著) , 中村 能三(訳)
正統なロシア貴族の身でありながら、不幸な恋のために隠遁してイギリスの片田舎に暮らすプリンス・ザレスキー。元祖安楽椅子探偵と言われる彼のワトソン役を務めるのがM.P.シール、つまり著者本人です。名前だけでなく癖や性格などすべて事実に基づいているのだそう。古典ですがその遊び心は現代に通じるものがあります。
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猫語の教科書
ポール・ギャリコ(著) , 灰島 かり(訳)
猫視点から見た人間たちをユーモアたっぷりに描き、猫好きの熱い支持を得た不朽の名作です。本文の著者は猫(!)ですが、プロローグの語りはポール・ギャリコが担当しています。いかにして謎の原稿が手元に届いたか、著者本人の立場から語ります。リアリティたっぷりな展開に、「もしやうちの猫も?」と思ってしまうかもしれません。
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