ブックキュレーター主婦の友社 石井美奈子
自分の中に新しく芽生えた価値観を確認するための5冊
コロナウイルスによって大切なものがはっきりしたり、世の中に対する見方が変わった方も多いかもしれない。いま書店さんはまだまだ閉店している所も多いが(2020年5月現在)、電子書籍含めて本が手に入る環境にあれば、今おすすめしたい5冊である。少し先の未来に、今回の苦悩の日々が決して無駄ではなかったと思える日が来ることを祈って。
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まど・みちお人生処方詩集
まど みちお(詩と絵) , 市河 紀子(選詩)
童謡「ぞうさん」などで知られる詩人のまどさんの作品の中から、テーマごとに選ばれた詩が紹介されている。じっくり本を読む気にはなれない時でも、たまたまどこかのページを開いてみると、目に飛び込んでくる、楽しくて、やさしさにあふれる詩に励まされ、心があったまる。まどさんの生きとし生ける者への讃歌ばかりだ。
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2020年2月、3月にイタリア人の素粒子物理学者のWEB記事が4月25日に翻訳されて日本で読めるスピード感。そしてそれがとても静謐な文章だったことに驚く。今だからこそコロナに理性的に向き合うことを教えてくれる本。27のエッセイもすばらしいが、本書のあとがきが読めたことに感謝したい。それほど心に残る。
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気軽に読める楽しい生物学の本であるが、人間だけの論理で世界をまわしていくことに無理があったなと思う今だから読んでおきたい。動植物の不思議エピソードの数々がおもしろい。私達人間には数十億種類も抗体があり、どんな病原体が体内に入ってきても対処してくれる抗体があることなどはきっと人にも話したくなるはずだ。
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庭とエスキース
奥山淳志(著・写真)
北海道の森で自給自足の生活を送る弁造さんの丸太小屋へ25歳のときから通って撮影し続けたカメラマンの著者。その写真と文章に引き込まれた。時に言い合いもする、祖父と孫ほどに年齢の違う二人のストレートな友情も伝わってくる。物質的ではないからこそ味わえる豊かな生き方を教えてくれる。弁造さんの笑顔が素敵だ。
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2020年4月10日に逝去された大林宣彦監督がNHKの番組「最後の講義」で学生向けに語った感動の講義の書籍化。戦争中に毎日暗いものばかり見ていた少年は、大人になって平和のために映画を作ってきた。優しい語り口ながら、映画への愛情、非戦への強い想いはまさに遺言だ。監督は私達に平和な未来を託して旅立った。
ブックキュレーター
主婦の友社 石井美奈子主婦の友社(http://www.shufunotomo.co.jp/)で編集の仕事をしています。根っからの本好き、そして、本屋さんが好きで、この業界に飛び込みました。好きな旅・食についてや、女性の視点での健康や老後について本を広く紹介していきます。
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