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太平洋戦争の悲劇はどう描かれてきたのか?戦争文学の名作を読む
ハワイ真珠湾への奇襲攻撃に端を発する太平洋戦争。約3年8ヵ月の間、甚大な被害をもたらしたこの戦争を文学はどう表現してきたのでしょうか?1945年8月の終戦から月日が流れ、体験者の話を聞く機会も減ってきた今、戦争文学に触れることは貴重な経験になるはずです。ここでは史実と体験に基づき、戦時下の悲惨な情景を描き出した名作を紹介します。
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小説集 夏の花 (岩波文庫)緑108-1
原 民喜
自分自身の被爆体験を元に、原爆投下後の混沌とした状況を描いた「夏の花」。そして、同作品と併せて三部作と呼ばれる「廃墟から」「壊滅の序曲」を収録した、著者の代表的な作品集です。一閃の光によって、日常の風景が地獄に変わる展開には戦慄を覚えます。しかし、これは紛れもなく現実に起こった悲劇なのです。
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九州の大学附属病院で行われたアメリカ軍捕虜生体解剖事件を題材に、戦時下における倫理の崩壊を描いた作品。物語は、生体解剖の参加者であった勝呂と関わりを持つ「ある男」の視点から始まり、やがて勝呂自身の視点へと移行していきます。人体実験という「罪」に言及する問題作としても広く知られる一冊です。
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著者の反戦思想を、戦火の下で非業の最期を迎える兄妹に託した「火垂るの墓」。戦後の焼跡闇市体験を元に、アメリカ人に対するわだかまりを表現した「アメリカひじき」など、6編の短編小説を収録。独特の抑揚で綴られる文体も読みどころです。ユーモラスな響きのなかに情緒性が秘められた言葉に、深い余韻を覚えることでしょう。
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