女性が直面する夫や子どもとの関係を、さまざまな角度から綴った小説

2019年本屋大賞受賞作。血のつながらない親たちにリレーされ、17年の間に名字が4回、家族形態が7回も変わった高校2年生の優子を主人公にした小説です。複雑な家庭環境で育った優子ですが、いつだって愛され、幸せに生きてきました。優子の家族関係の軌跡から、家族とは、血のつながりとはなんなのか？ということを考えさせられます。

再婚相手の大祐と、子どもたちとで幸せな家庭を築いていた里枝。だがある日、交通事故で大祐が他界。そんななか、里枝は義兄から「大祐」がなりすましであり、まったくの別人だったと知らされるのです。すべてが嘘の人生で、本当の家族愛を紡ぐことはできるのか？読者に問いかけます。

舞台となるのは大きな洋館。刺繍作家の佐知とその母・鶴代、そして佐知と同年代のOL雪乃とその後輩である多恵美の4人が、家族のように住んでいます。そんな共同生活に、やがて不思議な事件が起こり・・・。血のつながらない女性たちが疑似家族のように暮らす空間に、うらやましさを感じる方も多いはずです。

若菜は普通の女子高生。だけど、同居する女性3人のキャラクターは強烈です。妾だった曾祖母、元ヤンキーで若い祖母、「普通の家庭」にこだわり過ぎてしまい、夫と別居することになった母。そんな面々に比べ、地味で「脇役」な自分のキャラを探すべく奮闘する若菜の青春が描かれます。シングルマザーだらけの家族と、若菜が見いだした着地点に注目です。

一風変わった上流階級の家庭である柳島家の物語を、3世代100年にわたって描いた小説です。ロシア人の祖母に、叔父や叔母、そして愛人の子どもたちも混じる柳島家。章ごとに時代や語り手を変え、悩みや秘密を抱えた家族一人ひとりにフォーカス。柳島家の歴史から「家族とは何か」ということを浮かび上がらせます。