ブックキュレーターhonto編集員
これぞ小説の醍醐味。巧みで繊細なイアン・マキューアンの世界にようこそ
現代イギリス文学を代表する小説家、イアン・マキューアン。現代的なテーマな扱いながらも、巧みで洗練されたストーリーテリングと繊細かつ濃密な心理描写でどこか古典的な味わいも持つその作品は、読者に小説の醍醐味を存分に堪能させてくれます。ここでは初めて彼の本に触れる方にもオススメの小説を集めました。
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贖罪
イアン・マキューアン(著) , 小山太一(訳)
誤解と嫉妬による虚偽の告発によって、姉と彼女の恋人の未来を打ち砕いてしまった少女ブライオニー。物語はイギリスの閑静な郊外から第二次大戦中のフランス、ナチスの空襲に怯えるロンドンへと舞台を変えながら、罪の意識に苛まれるブライオニーと2人のその後を追っていきます。深い余韻を残す巧みな構成にも驚かされるでしょう。
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語り手は母親のお腹の中の胎児。ですが、その語り口は妙に知的で饒舌。母親が愛聴するラジオを通して現代の社会問題にも精通しています。そんな胎児の悩みが母親の不倫。しかも愛人と何やら物騒な計画まで企てているのです。ドタバタ愛憎劇を繰り広げる大人たちと、生まれる前から人生を憂う胎児。その対比が笑いを誘います。
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甘美なる作戦
イアン・マキューアン(著) , 村松 潔(訳)
時は東西冷戦まっただなかの1970年代。平凡な女子大生セリーナは、不倫していた大学教授の勧めで国家の諜報機関に就職します。ところが、反共活動の一環としてある小説家の支援を任命された彼女は、身バレ厳禁にもかかわらず彼と男女の仲に。度重なる障壁で破綻寸前の恋を一転させるラストの仕掛けが、甘美な余韻を残します。
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初夜
イアン・マキューアン(著) , 村松 潔(訳)
結婚式を終え、ホテルで初めて2人きりの夜を迎えるエドワードとフローレンス。互いの幼少時から結婚までのエピソードをはさみつつも、ほぼその一夜だけを描いた小説です。まだ現代ほど婚前交渉が一般的ではなかった時代。性にうぶな2人の心の動きが予想外の結末を迎えるまで、残酷なまでの細密さで切り取られてゆきます。
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アムステルダム
イアン・マキューアン(著) , 小山 太一(訳)
既婚の身ながら奔放な男性遍歴を重ねて亡くなったモリ―。彼女の元恋人たちの、その後の数奇な運命を描いた小説です。ささいな誤解と行き違いから互いへの憎悪を膨らませてゆく作曲家と新聞社編集長。モリーが遺したスキャンダラスな写真の存在に怯える外務大臣。どんなにあがこうと、導かれるように転落していくさまに戦慄します。
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