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ミステリーよりもサスペンスフル!魂をえぐるアガサ・クリスティーの一般小説
「ミステリーの女王」ことアガサ・クリスティーは、実は一般小説も書いていました。観察眼が鋭く、自らも離婚や失踪事件を起こしたクリスティー。彼女の生み出した一般小説はどれも、愛するがゆえの束縛と呪い、そしてそれが無自覚であることの絶望を、静かに、しかし苛烈に断罪しています。そんな魂をえぐるような小説を紹介します。
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裕福な家庭の主婦ジョーンは、荒天によって砂漠の真ん中にポツンと佇む駅に1人足止めされることに。何もすることのない日々が続き、これまでの人生と自身の姿を見つめ直したジョーンは、「私の人生は、私が思っていたものと違うのではないか」と気づいてしまいます。クリスティーが別名義で発表した傑作です。
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幼いローラは、両親の愛情を独占する妹シャーリーの死を願います。しかし火事から妹を助けたことをきっかけに、一転彼女を「守るべき者」と考えるように。不幸な結婚をしたシャーリーに心を傷めるローラは、彼女の夫に「あること」をします。妹への愛情から罪を犯したローラ。罪に対する罰と償いとは。愛ゆえの闇に戦慄します。
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音楽家のヴァーノンは、2人の女性の間で揺れていました。美しく家庭的なネルには深い愛情を、奔放で独立心に富む芸術家のジェーンには魂の結びつきを感じます。2人の女性のうち一方の命しか助けられない状況で、ヴァーノンが選んだのは・・・。音楽家としての野心に取り憑かれた天才芸術家の、愛と苦悩を描き切った小説です。
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未亡人のアンは、娘のセアラが3週間の旅行に出ていた間、男やもめのリチャードと知り合います。2人は結婚を約束しますが、セアラは猛反対。それまで貞淑だったアンは、この一件を機に享楽的な生活を送るようになり、セアラも麻薬と官能に溺れることに。母娘の微妙な心理を見事に描き出した力作です。
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死の床にある慈善家クレメントに呼ばれた私は、彼がかつて私が愛したイザベラを奪った男であることに気がつきます。イザベラはクレメントと駆け落ちし、若くして亡くなりました。クレメントから聞く、イザベラの死の真相。彼を慈善家に変えた彼女の死は、愛なのか、それとも呪いなのか。その解釈は読者に委ねられています。
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