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至高の芸術を求める人間が行き着く果てとは?芸術家の業を描いた小説
画家や音楽家、作家など、芸術家と呼ばれる人たちの中には、己が欲する美や表現を追求する執念のあまり、手段を選ばず、悪評や醜聞を引き起こしたり、禁忌を踏み外したりする者もいます。しかし、芸術に生きる人々が宿す光と闇は、凡人には蠱惑(こわく)的で魅了されるもの。そんな芸術家の苦悩や愛憎、度し難き業を描いた小説を集めました。
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月と六ペンス
サマセット・モーム(著) , 金原 瑞人(訳)
冴えない40男ストリックランドは、堅実な仕事も恵まれた家庭もすべて捨て、突如ロンドンからパリへ出奔。恩人に仇をなしてなお、すさまじい執念で芸術を追求します。晩年の地タヒチで、極貧のなか、創造の魔力に憑かれた彼は凄絶な軌跡の末、最期にどこへ到達したのか?ゴーギャンがモデルとされる、サマセット・モームの歴史的名著です。
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戯曲「アマデウス」は、稀代の音楽家モーツァルトと宮廷楽長サリエリの確執を描いた不朽の名作。優雅な音楽性と粗野な俗物性が共存する天才を受け入れ難いサリエリは悩み、激しい嫉妬にかられます。相手に才能を与えた神を恨み、敵を破滅させるべく妨害を誓うのです。創造主に挑戦する男の葛藤が狂おしく描かれます。
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文豪・芥川龍之介による、王朝時代の古典文芸を題材とした名作短編集です。「地獄変」では、依頼された地獄の屏風絵を完成させるために実の娘を大火にかけ、そのもがき苦しむさまを描き切った絵師の業を描出しています。美しくも残酷な芸術至上主義。芸術にすべてを懸けた男の闇に、背筋が凍ります。
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戯曲風味の会話劇による心理サスペンスです。耽美派作家の重松時子の亡きあと、彼女を偲び、作家や編集者など縁ある女性たちが居館に集います。時子の死にまつわる不審と、互いへの疑惑や推理が告発されては連鎖する。憧憬や嫉妬、献身に焦燥、そして秘密。文筆業という武器を得た女の生態としたたかさに、薄ら寒いものを感じます。
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