炎上、デマ、予告犯罪・・・ネットやSNS発の恐怖を描いたミステリー

ハウスメーカーの営業部長・山縣泰介のSNSが炎上中。女子大生の死体をアップしたことで、殺人犯として警察にも追われます。しかし泰介は、一度もSNSに触れたことがありません・・・。だけどアカウントで綴られているのは、どう見ても泰介の日常。身に覚えのない濡れ衣から逃亡しつつ、事件の解決を目指します。巧みな伏線が連続する傑作です。

子どもが4人しかいない過疎の島で、iPhoneを手に人気「ゆーちゅーばー」を目指すことにした小学生4人組。娘のパパ活をやめさせるために、自らマッチングアプリを始めた父親。不気味な何かが進行していく、現代日本の「今」の姿を映し出した5つのミステリーを収録した短編集です。

幼女殺害事件の犯人は、16歳の少年。しかし、少年法から実名報道がされることはなく、彼の名は闇に葬られた・・・はずでした。数年後、週刊誌が犯人の実名を暴露。その名は「大山正紀」。この報道によって、全国各地にいる無実の「大山正紀」たちの日常が狂い始めます。タイトルの通り、語り手が全員が同姓同名という異色作です。

稲葉麻美の彼氏の富田は、タクシーの座席にスマホを落としてしまいました。それを拾ったのが、巷を賑わせている連続殺人事件の犯人。麻美は彼氏がスマホを落としたとは知らず、殺人鬼に電話をかけて本名を教えてしまいます。次の標的にされた麻美は、逃げ切ることはできるのか・・・。リアルな設定が、想像するだけで恐ろしくなってきます。

東京・大手町で起きた連続殺人。犯人はテロリストとして、世間の注目を集めます。事件を追うのは、毒舌の名刑事・毒島。世間がテロの脅威におびえるなか、彼は犯人を罵倒して頭脳戦を仕掛けます。さらに悲劇が連続するなか、SNS上で事件の手を引く人物の存在が明らかに。SNSの教祖に踊らされる哀れな人々の姿にゾッとすることでしょう。